骨粗鬆症とは?原因・症状・検査から食事・運動による予防法までわかりやすく解説

骨粗鬆症とは?原因・症状・検査から食事・運動による予防法までわかりやすく解説

OBARASOTARO

「骨粗鬆症(骨粗しょう症)」という言葉を聞くと、「高齢になってから気をつける病気」というイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし、骨の健康は高齢になってから突然決まるものではありません。若い頃にどれくらい骨量を蓄えられたか、その後どのような食生活や運動習慣を続けてきたか、そして女性では閉経によるホルモンの変化など、長い年月の積み重ねが骨の状態に関わっています。

また、骨粗鬆症は初期には自覚症状が現れにくく、骨折して初めて気づくこともあります。

「痛くないから大丈夫」と思っていても、自分では気づかないうちに骨の状態が変化している場合があるため、年齢や生活習慣に応じて骨の健康を意識することが大切です。

この記事では、骨粗鬆症とはどのような病気なのか、なぜ女性に多いのか、骨密度や骨質、症状、骨折しやすい部位、検査方法、なりやすい人の特徴から、毎日の食事・運動・転倒対策まで、骨の健康を考えるために知っておきたい基礎知識を順番に分かりやすく紹介します。

目次

骨粗鬆症とは?骨が弱くなる仕組みを知ろう

骨粗鬆症は、骨の強さが低下し、骨折しやすくなる病気です。

一般には「骨がスカスカになる病気」と表現されることもありますが、実際の骨の強さには、骨の量だけでなく骨の構造や状態なども関係しています。

一見すると硬くて変化しないように見える骨ですが、体の中では古くなった骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨をつくる「骨形成」が絶えず繰り返されています。

このように、古い骨が新しい骨へと置き換わっていく仕組みを「骨のリモデリング」と呼びます。

骨吸収と骨形成のバランスが保たれていることで骨は維持されていますが、加齢やホルモンの変化などによって骨吸収が骨形成を上回る状態が続くと、少しずつ骨量が減少していきます。

その結果、骨の強さが低下し、転倒など比較的小さな力でも骨折しやすくなることがあります。

骨も日々つくり替えられています

骨吸収
古くなった骨を壊す働き

骨形成
新しい骨をつくる働き

この2つの働きを繰り返しながら、骨は日々つくり替えられています。

日本骨粗鬆症学会の2025年版ガイドラインに関連する資料では、日本国内の骨粗鬆症有病者は約1,590万人と推計されています。

骨粗鬆症は決して珍しい病気ではなく、年齢を重ねる中で多くの人に関係する健康課題の一つです。

なぜ女性に多い?閉経とエストロゲンの関係

骨粗鬆症は男性にも起こりますが、特に多いのが閉経後の女性です。

その大きな理由の一つが、女性ホルモンのエストロゲンです。

エストロゲンは骨の代謝に関わっており、閉経によって分泌量が大きく減少すると、骨吸収と骨形成のバランスにも変化が生じ、骨量が減少しやすくなります。

そのため、40代・50代は、これまで以上に骨の健康へ目を向けたい時期の一つです。

骨粗鬆症財団では、女性は15~18歳頃、男性は18~20歳頃に最大骨量に達し、その後しばらく維持したのち、女性では閉経前後から骨量が減少しやすくなると説明しています。

つまり、骨の健康を考える生活習慣は高齢になってからだけのものではありません。

若い年代からバランスのよい食事や運動習慣を続けることも、将来の骨の健康を考えるうえで大切です。

骨密度だけではない|「骨質」も骨の強さに関係する

骨の健康について考えるときによく耳にするのが「骨密度」です。

骨密度は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルがどの程度詰まっているかを見る代表的な指標です。

ただし、骨の強さは骨密度だけで決まるわけではありません。

骨の微細な構造や材料としての性質などをまとめた「骨質」も、骨の強さに関係します。

そのため現在では、骨粗鬆症を単純に「骨密度が低い状態」とだけ考えるのではなく、骨密度に加えて骨質や骨折リスクも含めて考えることが大切とされています。

年齢、過去の骨折、家族歴、体格、生活習慣なども含め、さまざまな要因から総合的に骨折リスクを見ていきます。

骨粗鬆症は気づきにくい|こんな変化があれば注意

骨粗鬆症の特徴の一つが、骨量が減少していても自覚症状が現れにくいことです。

骨折して初めて骨粗鬆症が分かる人もいることから、「沈黙の疾患」と呼ばれることもあります。

骨の状態が変化してくると、背骨の骨折などによって次のような変化が現れる場合があります。

骨の状態を確認するきっかけになる変化

・以前より身長が低くなった
・背中や腰が曲がってきた
・立ち上がるときや重い物を持ったときに背中や腰が痛む
・転倒など比較的小さな衝撃で骨折した
・特に大きなけがをしていないのに背中や腰の痛みが続く

こうした変化がある場合、とくに閉経後の女性や高齢者、過去に骨折したことがある方は、「年齢のせい」と決めつけず、医療機関へ相談してみましょう。

 

骨粗鬆症で骨折しやすい場所は?

 

骨粗鬆症で骨折しやすい場所は?

骨粗鬆症では体のさまざまな場所で骨折が起こる可能性がありますが、特に骨折しやすいとされる部位があります。

骨折しやすい部位 特徴
背骨(椎体) 圧迫されるように骨折し、身長の低下や背中の丸まりにつながることがあります
手首 転倒したときに手をついたことをきっかけに骨折することがあります
上腕骨 転倒して肩周辺を打ったときなどに起こることがあります
大腿骨近位部 足の付け根の骨折で、歩行や日常生活に大きな影響を与えることがあります

特に大腿骨近位部骨折は、高齢者の生活機能に大きな影響を与える骨折の一つです。

骨粗鬆症財団によると、大腿骨近位部骨折の80%以上は転倒をきっかけに発生しています。

そのため、骨の健康を意識することと同時に、転倒する機会を減らすことも骨折を防ぐうえで大切です。

どんな人が骨粗鬆症になりやすい?

骨粗鬆症には、年齢や家族歴など自分では変えられない要因と、生活習慣の中で見直せる要因があります。

主な要因
年齢・性別 加齢、女性、閉経後など
家族歴 家族に骨粗鬆症や大腿骨近位部骨折の経験がある
体格 低体重・やせ型
過去の骨折 比較的小さな力で骨折した経験があるなど
生活習慣 運動不足、喫煙、過度の飲酒、極端な食事制限など
病気や薬 ステロイド薬の使用や、一部の疾患による続発性骨粗鬆症など

骨粗鬆症は、「女性だから」「年齢を重ねたから」という一つの要因だけで決まるものではありません。

複数の要因が重なることで、骨折リスクが高くなることがあります。

また、男性でも加齢に伴って骨粗鬆症は増えます。若い人でも、病気や薬、極端な食事制限などが骨の状態に関係する場合があります。

骨粗鬆症の検査|骨密度はどうやって調べる?

骨粗鬆症は自覚症状だけで判断することが難しいため、骨密度を測定して自分の骨の状態を知ることが大切です。

代表的な検査方法がDXA(デキサ)法です。

DXA法は2種類のX線を使って骨密度を測定する方法で、特に腰椎や大腿骨近位部の骨密度測定が診断に用いられます。

そのほか、検診では手の骨をX線で測定するMD法や、かかとなどを超音波で測定するQUS法などが使われることがあります。

QUSは、骨の状態を知るきっかけとして検診などで利用されますが、骨粗鬆症の確定診断や治療効果の判定には、DXAなどによる評価が必要になります。

「YAM」とは?

骨密度検査では、YAM(Young Adult Mean/若年成人平均値)という言葉を見ることがあります。

これは、若い成人の平均的な骨密度を100%として、自分の骨密度がどの程度に相当するかを示す指標です。

ただし、骨粗鬆症は骨密度の数字だけで自己判断するものではありません。

骨折歴、年齢、そのほかのリスク因子なども含め、医師が総合的に判断します。

自治体の骨粗鬆症検診も活用

日本では健康増進事業として、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳の女性を対象とした骨粗鬆症検診が位置づけられています。

実際の実施方法、対象者、費用などは自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の案内を確認してみましょう。

特に閉経前後の女性、過去に比較的小さな力で骨折した経験がある方、低体重の方、家族に大腿骨近位部骨折を経験した方がいる場合などは、自分の骨の状態を知るきっかけとして骨密度測定を検討するのも一つの方法です。

 

骨の健康を意識した食生活|カルシウムだけではない

 

骨の健康を意識した食生活|カルシウムだけではない

骨の健康を考えた食事というと、まず「カルシウム」を思い浮かべる方が多いでしょう。

もちろんカルシウムは大切ですが、骨はカルシウムだけでできているわけではありません。毎日の食事では、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質などを含むさまざまな食品をバランスよく取り入れることが基本になります。

カルシウム|骨を構成する大切なミネラル

カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルで、その大部分は骨や歯に含まれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人女性のカルシウム推奨量は、多くの年代で1日650mg、75歳以上では600mgとされています。

カルシウムは、特定の食品だけに頼るのではなく、毎日の食事の中でさまざまな食品から取り入れていくと続けやすくなります。

カルシウムを含む食品の例

牛乳・乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズなど

小魚
しらす、煮干し、骨ごと食べられる魚など

大豆製品
豆腐、厚揚げなど

野菜
小松菜、チンゲンサイなど

牛乳・乳製品をあまり食べない方でも、小魚、大豆製品、野菜などを組み合わせることで、カルシウムを含む食品の選択肢を広げることができます。

ビタミンD|カルシウムと一緒に意識したい栄養素

ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収に関わり、骨の形成にも関係する栄養素です。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の男女について、ビタミンDの目安量は1日9.0μgとされています。

ビタミンDを含む食品としては、サケ、サンマなどの魚類、きのこ類、卵などがあります。

また、ビタミンDは食事から摂るだけでなく、皮膚でも日光を受けることによってつくられます。

季節や地域、生活スタイルによって日照条件は異なるため、紫外線対策にも配慮しながら、日常生活の中で無理のない範囲で屋外に出ることも一つの方法です。

ビタミンKやたんぱく質も忘れずに

骨の健康を考えるうえでは、ビタミンKやたんぱく質も食事から取り入れたい栄養素です。

ビタミンKは納豆や緑黄色野菜などに含まれています。2025年版の食事摂取基準では、成人男女の目安量は1日150μgです。

また骨には、ミネラルだけでなくコラーゲンなどのたんぱく質も含まれています。

肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを毎日の食事に取り入れ、食事全体のバランスを整えることが大切です。

骨の健康を意識した食事の考え方

・カルシウムを含む食品を毎日の食事に取り入れる
・魚やきのこなど、ビタミンDを含む食品も意識する
・納豆や緑黄色野菜などからビタミンKを取り入れる
・肉、魚、卵、大豆製品などからたんぱく質を摂る
・特定の食品だけに偏らず、食事全体のバランスを考える

サプリメントは「食事を補う」という考え方で

毎日の食事だけでは不足しやすい栄養素を補うために、サプリメントを利用するという選択肢もあります。

サプリメントを利用する場合も、普段の食生活を振り返り、不足しやすい栄養素や商品の配合内容、1日の摂取目安量を確認することが大切です。

すでに骨粗鬆症と診断されている方や治療薬を使用している方は、サプリメントを自己判断で治療の代わりにせず、利用を検討する場合は医師や薬剤師へ相談しましょう。

 

骨の健康を考えた運動習慣

 

骨の健康を考えた運動習慣

骨の健康を考えるうえで、食事と並んで大切なのが体を動かす習慣です。

歩くことや立つことなど、日常の動作でも骨には適度な負荷がかかります。また、体を動かす習慣は筋力やバランス能力を保つことにもつながり、転倒を防ぐという意味でも重要です。

特別なスポーツを始める必要はありません。まずは日常生活の中で、自分が続けやすい運動を取り入れてみましょう。

日常生活に取り入れやすい運動

ウォーキング
歩く時間をつくり、無理のない範囲で継続する

階段を利用する
体調や膝・腰の状態に合わせて、日常の中で体を動かす機会を増やす

下半身の筋力を意識した運動
椅子からの立ち座りなど、日常動作を利用する

バランス運動
安全を確保しながら、バランス能力を保つ運動を取り入れる

骨粗鬆症財団でも、下肢の筋力やバランス能力を保つ運動を紹介しています。

ただし、すでに骨粗鬆症と診断されている方、背骨や大腿骨などを骨折したことがある方、腰や背中に痛みがある方は、運動の種類によっては体への負担が大きくなる場合があります。

自分の状態に合った運動を選ぶために、必要に応じて医師や理学療法士などへ相談しましょう。

骨折を防ぐために大切な「転倒予防」

骨粗鬆症について考えるときは、骨そのものだけでなく、転びにくい環境をつくることも重要です。

特に年齢を重ねると、筋力やバランス能力の変化に加え、視力、服用している薬、住環境など、さまざまな要因が転倒につながることがあります。

骨粗鬆症財団によると、大腿骨近位部骨折の80%以上は転倒をきっかけに発生しています。

家の中で見直したいポイント

・床に物を置きっぱなしにしない
・滑りやすいマットやコード類を整理する
・廊下、階段、トイレなどを明るくする
・必要に応じて手すりを利用する
・脱げやすいスリッパや滑りやすい履物を見直す
・夜間にトイレへ行く動線も確認する

外出時も、滑りやすい路面や段差、暗い場所などでは足元を確認しながら歩きましょう。

筋力やバランス能力を保つことと、転びにくい住環境を整えること。その両方を意識することで、骨折につながるきっかけを減らすことができます。

喫煙と過度の飲酒も見直そう

生活習慣では、喫煙や過度の飲酒も骨の健康に関係します。

日本整形外科学会では、骨粗鬆症予防の生活習慣として禁煙し、アルコールを控えめにすることを挙げています。

喫煙習慣がある方は禁煙を検討し、お酒を飲む方は飲み過ぎない習慣を意識してみましょう。

年代別に考える骨の健康習慣

骨の健康を意識した生活習慣は、どの年代でも大切です。

ただし、年齢によって骨の状態や生活環境は変わるため、それぞれの年代で意識したいポイントも少しずつ異なります。

10代~20代|将来のために骨量を蓄える時期

成長期から若い成人期は、骨量が大きく増える大切な時期です。

この時期は、カルシウムをはじめとした栄養素を含むバランスのよい食事と、適度な運動を習慣にすることが大切です。

特に注意したいのが、体重だけを優先した極端な食事制限や無理なダイエットです。

成長期は体全体をつくる時期でもあるため、十分な食事をとりながら、健康的な生活習慣を身につけていきましょう。

30代|今ある骨量を大切にする時期

仕事や家事、育児などで生活が忙しくなりやすい年代ですが、運動不足や食事の偏りが続かないよう意識したい時期です。

バランスのよい食事、運動習慣、適正体重を意識した生活を続けることが、その先の年代の骨の健康にもつながります。

40代~50代|閉経前後は骨の状態を知るきっかけに

女性では閉経前後から、女性ホルモンの変化に伴って骨量が減少しやすくなります。

カルシウムやビタミンDを含む食生活、運動習慣を意識するとともに、自治体の骨粗鬆症検診などを利用して、一度自分の骨密度を知っておくことも大切です。

家族に大腿骨近位部骨折を経験した人がいる、過去に比較的小さな力で骨折した経験がある、低体重であるなど、気になる要因がある場合は医療機関へ相談しましょう。

60代以降|「骨」と「転倒」の両方を意識する

年齢を重ねると、骨量だけでなく筋力やバランス能力の変化も骨折リスクに関係してきます。

毎日の食事を整えること、無理のない運動を続けること、適正体重を意識することに加えて、転倒しにくい住環境をつくることも大切になります。

身長が以前より低くなった、背中や腰が曲がってきた、背中や腰の痛みが続く、比較的小さな力で骨折した経験がある場合などは、早めに医療機関へ相談しましょう。

年代 意識したいこと
10~20代 バランスのよい食事、運動、極端なダイエットを避ける
30代 食事・運動習慣を整え、適正体重を意識する
40~50代 閉経前後の変化を知り、骨密度測定の機会を活用する
60代以降 食事・運動に加えて、筋力・バランス・転倒予防も意識する

まとめ|骨の健康は毎日の積み重ねから

骨粗鬆症は、骨の強さが低下して骨折しやすくなる病気です。

特に閉経後の女性では骨量が減少しやすくなりますが、骨の健康は高齢になってから突然決まるものではありません。

若い頃の食事や運動、適正体重、閉経前後の変化、年齢を重ねてからの転倒対策まで、長い期間の生活習慣が骨の健康に関わっています。

今日から意識したい骨の健康習慣

1.バランスのよい食事を基本にする
カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質なども意識する

2.体を動かす習慣をつくる
ウォーキングや筋力・バランスを意識した運動を無理なく続ける

3.喫煙・過度の飲酒を見直す
毎日の生活習慣全体から骨の健康を考える

4.転倒しにくい環境をつくる
住環境や履物など、身近なところから見直す

5.自分の骨の状態を知る
年代やリスクに応じて骨密度検査や自治体の検診を活用する

骨粗鬆症は自覚症状がないまま進むこともあるため、元気なうちから自分の骨の状態や生活習慣に目を向けることが大切です。

毎日の食事を少し見直す、歩く時間をつくる、転びやすい場所を整理する、検診の機会に骨密度を測ってみる。

こうした一つひとつの習慣から、無理なく骨の健康を意識していきましょう。

【ご注意】
本記事は、骨粗鬆症や骨の健康について一般的な情報を紹介することを目的としており、診断や治療を目的とするものではありません。

骨粗鬆症が疑われる症状がある方、過去に骨折したことがある方、治療中の方、医薬品を使用している方などは、医師などの医療専門職へご相談ください。食事や運動についても、治療中の方は医療専門職の指示を優先してください。

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