鉄分とは?働き・多い食品・1日の摂取量・不足と鉄サプリの選び方を解説

鉄分とは?働き・多い食品・1日の摂取量・不足と鉄サプリの選び方を解説

OBARASOTARO

「鉄分は何のために必要?」「レバーやほうれん草を食べればいい?」「ヘム鉄と非ヘム鉄は何が違う?」「フェリチンやフェリチン鉄って何?」「鉄サプリはどこを見て選べばいい?」

鉄は、私たちの体に必要な必須ミネラルのひとつです。

特に有名なのが、赤血球に含まれるヘモグロビンの構成成分としての役割です。

さらに鉄は、筋肉に存在するミオグロビンや、体内で働くさまざまな酵素にも関わっています。

鉄を上手に摂るためには、単純な含有量だけでなく、ヘム鉄と非ヘム鉄の違い、体内の鉄の状態、月経の有無、妊娠・授乳、食べ合わせ、サプリメントに使われる鉄の形態などを合わせて考えることがポイントです。

この記事では、鉄とはどんな栄養素なのか、体内での働き、多く含む食品、1日の摂取量、ヘム鉄と非ヘム鉄、吸収を左右する食事、鉄不足と貧血の違い、フェリチンとフェリチン鉄、女性や妊娠期の鉄、鉄サプリの種類と選び方まで詳しく解説します。


目次


鉄とは?体に必要な微量ミネラル

鉄は、元素記号Feで表されるミネラルです。

栄養学では「鉄」と呼び、日常では「鉄分」という言葉も広く使われています。

カルシウムやマグネシウムなどに比べて体内に存在する量が少ないため、鉄は微量ミネラルに分類されます。

成人の体内には数グラム程度の鉄が存在し、その多くが赤血球中のヘモグロビンに含まれています。

量としてはわずかでも、体の正常な機能を支える大切な栄養素です。

豆知識|食品の「鉄分」と金属の鉄は同じFe

少し不思議ですが、食品に含まれる鉄と、鉄製品に使われる金属の鉄は、元素としては同じFeです。

食品の中では金属の塊として存在するのではなく、さまざまなたんぱく質や化合物と結びついた状態で存在しています。

同じ元素でも、どのような化学形態で存在しているかによって体内での扱われ方が変わるところが、鉄の面白い特徴です。


鉄は体内で何をしている?

1.ヘモグロビンの構成成分

鉄の代表的な役割が、赤血球の中にあるヘモグロビンの構成成分になることです。

ヘモグロビンは肺で取り込んだ酸素と結びつき、血液を通して全身へ運ぶ役割を担っています。

日本の栄養機能食品制度でも、基準を満たした食品について、

「鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素です。」

という栄養機能表示が定められています。

2.ミオグロビンにも含まれる

鉄は筋肉中のミオグロビンにも含まれています。

ミオグロビンは筋肉組織で酸素と関わるたんぱく質です。

3.さまざまな酵素にも関わる

鉄は、体内で働くさまざまな酵素やたんぱく質の構成要素としても利用されています。

つまり鉄は、赤血球だけでなく、体内のさまざまな場所で使われているミネラルです。

機能鉄と貯蔵鉄

体内の鉄は、大きく分けると、

  • 機能鉄:ヘモグロビン、ミオグロビン、酵素などとして働く鉄
  • 貯蔵鉄:フェリチンやヘモシデリンなどとして蓄えられている鉄

として考えることができます。

私たちの体は、その日に食べた鉄だけを使うのではなく、体内に蓄えたり再利用したりしながら鉄のバランスを保っています。


豆知識|鉄は体内で何度も再利用される

鉄には、ほかの栄養素とは少し違う興味深い特徴があります。

それが、体内で非常に効率よく再利用されていることです。

赤血球の寿命は、およそ120日です。

古くなった赤血球は主にマクロファージと呼ばれる細胞によって処理されます。

その際、ヘモグロビンに含まれていた鉄は回収され、新しい赤血球を作るためなどに再利用されます。

つまり私たちの体は、体内にある鉄を循環させながら、日々失われる分を食事から補うという仕組みを持っています。

体内には数グラムの鉄が存在する一方、食事から必要とされる量が1日数mg程度なのは、この再利用システムも関係しています。


鉄は1日にどのくらい必要?

鉄の必要量は、年齢・性別に加えて、女性では月経の有無によって大きく異なります。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」による成人の推奨量は次のとおりです。

年齢 男性 女性・月経なし 女性・月経あり
18~29歳 7.0mg 6.0mg 10.0mg
30~49歳 7.5mg 6.0mg 10.5mg
50~64歳 7.0mg 6.0mg 10.5mg
65~74歳 7.0mg 6.0mg
75歳以上 6.5mg 5.5mg

特に30~49歳では、男性7.5mg/日に対し、月経のある女性は10.5mg/日です。

このように鉄は、同じ成人でも生活段階や月経の有無によって必要量が大きく変わる栄養素です。

2025年版では鉄の耐容上限量は「設定なし」

2025年版の食事摂取基準で変わったポイントのひとつが、鉄の耐容上限量です。

2020年版では成人にも耐容上限量が設定されていましたが、2025年版では耐容上限量が設定されていません。

この変更は、現在の科学的根拠では、日本人の耐容上限量を数値として設定するための十分な根拠が得られていないことを反映したものです。

日常では必要量と製品表示を確認し、食品を基本としながら、自分に合った量を取り入れることが基本です。


日本人は実際にどのくらい鉄を摂っている?

2024年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の1日当たり平均鉄摂取量は、

  • 男女計:7.7mg
  • 男性:8.1mg
  • 女性:7.3mg

でした。

ここで大切なのは、これは集団全体の平均値だということです。

たとえば月経のある30~49歳女性の推奨量は10.5mg/日です。

平均摂取量と自分自身の必要量を分けて考え、年齢、性別、月経の有無、妊娠・授乳などに合った基準を見ると分かりやすくなります。


鉄を多く含む食品

鉄は、肉類、魚介類、豆類、野菜、種実類など、さまざまな食品に含まれています。

代表的な食品を、一般的な1食量の目安で見ると次のようになります。

食品 1食量の例
あさり缶詰(水煮) 40g 約12.0mg
豚レバー 40g 約5.2mg
しじみ 50g 約4.2mg
鶏レバー 40g 約3.6mg
牛もも赤肉 80g 約2.2mg
がんもどき 100g 約3.6mg
豆乳 200g 約2.4mg
生揚げ 75g 約2.0mg
小松菜(ゆで) 80g 約1.7mg
そば(ゆで) 200g 約1.6mg

※鉄量は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに、一般的な1食量へ換算した目安です。食品の種類、製品、調理・加工状態などによって数値は異なります。

鉄の含有量を見るときは、「何mg含まれているか」とともに、次に説明するヘム鉄と非ヘム鉄の違いを知っておくと、食品選びがさらに分かりやすくなります。


豆知識|ひじきの鉄分は「釜」で変わる?

「鉄分が多い食品といえば、ひじき」と覚えている方も多いかもしれません。

現在の日本食品標準成分表では、ひじきについて鉄釜で加工したものとステンレス釜で加工したものが区別されています。

これは、加熱加工に使用する釜の材質によって、ひじきに含まれる鉄量が大きく変わることが分かったためです。

昔の食品成分表で「ひじきには非常に多くの鉄が含まれる」とされていた背景には、製造工程で鉄釜から移行した鉄も関係していました。

同じ食品名でも、原料や製造方法が変われば栄養成分値も変わることがあります。

食品成分表が時代とともに更新される理由がよく分かる、鉄ならではの面白い例です。


ヘム鉄と非ヘム鉄の違い

食品中の鉄を理解するときに重要なのが、ヘム鉄と非ヘム鉄です。

比較 ヘム鉄 非ヘム鉄
主な食品 肉類、魚介類など 豆類、野菜、穀類など
吸収の特徴 比較的吸収されやすい 体内の鉄状態や食事の組み合わせの影響を受けやすい
形態 ヘム構造に含まれる鉄 ヘム構造を持たない鉄

植物性食品に含まれる鉄は、基本的に非ヘム鉄です。

肉や魚にはヘム鉄と非ヘム鉄の両方が含まれますが、動物性食品由来のヘム鉄は一般に吸収されやすい特徴があります。

一方、非ヘム鉄も日本人の食生活を支える重要な鉄の供給源です。

豆類、野菜、穀類などから鉄を摂る場合は、食事全体の組み合わせを工夫することで、鉄を取り入れやすい食生活につなげられます。


鉄の吸収を左右する食べ合わせ

特に非ヘム鉄は、体内の鉄の状態や、一緒に食べる食品によって吸収される割合が変化します。

ビタミンCと組み合わせる

ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を高めることが知られています。

たとえば、

  • 小松菜+パプリカ
  • 豆類+ブロッコリー
  • 豆腐料理+果物

のように、鉄を含む植物性食品とビタミンCを含む食品を同じ食事に取り入れる方法があります。

肉・魚・鶏肉を組み合わせる

肉、魚、鶏肉などを一緒に食べることも、食事中の非ヘム鉄の利用に影響することが知られています。

動物性食品と植物性食品を組み合わせることで、さまざまな栄養素を一度に取り入れられるのもメリットです。

お茶・コーヒーやフィチン酸との付き合い方

穀類・豆類などに含まれるフィチン酸や、茶・コーヒーなどに含まれる一部のポリフェノールは、同じ食事に含まれる非ヘム鉄の吸収に影響することがあります。

鉄を意識しているときは、鉄を多く含む食事と濃いお茶・コーヒーの時間を少しずらしたり、ビタミンCを含む食品を一緒に取り入れたりする方法があります。

特定の食品を避けるより、日々の食事全体で組み合わせを工夫すると考えると続けやすくなります。


鉄の吸収は体の中でも調節されている

鉄の吸収率には、食品の種類に加えて、体内の鉄の状態も関わっています。

その中心的な役割を持つのが、肝臓で作られるヘプシジン(hepcidin)というホルモンです。

ヘプシジンは、腸からの鉄吸収や、体内に蓄えられた鉄・再利用される鉄が血液中へ移動する量を調節しています。

そのため、「ヘム鉄は必ず○%、非ヘム鉄は必ず○%吸収される」と固定した数字だけで考えるより、鉄の形・食事内容・体内の鉄状態によって吸収率が変化すると理解する方が実際に近い考え方です。

豆知識|鉄は「吸収する量」を調節してバランスを保つ

鉄は、体外へ積極的に大量排出する仕組みよりも、腸からどのくらい取り込むかを調節する仕組みが重要なミネラルです。

体内の鉄の状態に応じて吸収を調節しながら、鉄のバランスを保っています。

必要量に合わせて取り入れることが大切な理由のひとつです。


鉄不足と鉄欠乏性貧血の違い

鉄不足と貧血は深く関係していますが、それぞれ意味や段階が異なります。

貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度などが一定基準を下回った状態を指します。

一方、体内に蓄えられている鉄が減り始めても、初期にはヘモグロビン値が保たれていることがあります。

そのため医療では、鉄の状態を評価するときにヘモグロビンだけでなく、後述するフェリチンなど複数の検査項目が使われます。

鉄欠乏性貧血とは?

体内の鉄不足が進み、ヘモグロビンを十分に作るための鉄が不足した状態のひとつが鉄欠乏性貧血です。

医学的には、鉄欠乏性貧血などで、

  • 頭痛
  • めまい
  • 動悸
  • 息切れ
  • 爪の変化
  • 異食症

などがみられることがあります。

こうした症状にはさまざまな原因が考えられるため、症状が続く場合は、血液検査などで原因を確認することが適切な対応につながります。


フェリチンとは?「貯蔵鉄」を見る指標

鉄について調べていると、よく登場するのがフェリチンです。

フェリチンは、体内で鉄を内部に蓄える働きを持つたんぱく質です。

血液中のフェリチン濃度は、体内の鉄の蓄えを評価するための重要な指標のひとつとして利用されています。

一般にフェリチンが低い場合は、貯蔵されている鉄が少なくなっている可能性を考える材料になります。

フェリチンはほかの検査項目と合わせて見る

フェリチンは鉄の蓄えを見る重要な指標ですが、感染や炎症などによって値が上昇することもあります。

そのため医療では、フェリチンだけでなく、ヘモグロビン、炎症の有無、そのほかの検査結果などを組み合わせて鉄の状態を評価します。

健康診断や血液検査の数値が気になる場合は、医療機関で検査結果全体を確認してもらうと、自分の鉄の状態をより正確に把握できます。


フェリチン鉄とは?血液検査のフェリチンとの違い

最近では、鉄サプリの商品名や原材料説明で「フェリチン鉄」という言葉を見かけることも増えています。

ここで整理しておきたいのが、血液検査で測定する「フェリチン」と、食品・サプリメントで使われる「フェリチン鉄」という言葉の違いです。

フェリチンは、内部に鉄を蓄えることができるたんぱく質で、人や動物だけでなく、大豆などの植物にも存在します。

食品やサプリメントで「フェリチン鉄」と呼ばれているものは、こうしたフェリチンに保持された鉄を利用した鉄原料を指します。

用語 意味
血清フェリチン 体内の鉄の蓄えを評価するために利用される血液検査の指標
フェリチン鉄 フェリチンたんぱく質に保持された形の鉄を利用した食品・サプリメント原料の呼び方

フェリチン鉄はヘム鉄・非ヘム鉄とは別の「第3の鉄」?

商品説明では「ヘム鉄・非ヘム鉄・フェリチン鉄」の3種類のように紹介されることがあります。

一方、栄養学的な大きな分類では、植物由来のフェリチンに保持された鉄はヘム構造を持たないため、非ヘム鉄の一形態として整理できます。

大豆に自然に含まれる鉄についてもヒトでの吸収が研究されており、その鉄の一部はフィトフェリチンに保持された形で存在しています。

大豆由来の鉄については、食品形態、体内の鉄状態、フィチン酸、ビタミンCなどさまざまな条件が吸収に関係することも研究されています。

そのため鉄サプリを比較するときは、「フェリチン鉄」「ヘム鉄」といった名称だけでなく、1日分に鉄として何mg含まれているか、ほかの配合成分、摂取方法などを合わせて確認することがポイントです。


なぜ月経のある女性は必要量が多い?

鉄の食事摂取基準が男女で大きく異なる理由のひとつが、月経による鉄の喪失です。

2025年版の食事摂取基準では、30~49歳女性の場合、

  • 月経なし:6.0mg/日
  • 月経あり:10.5mg/日

と、それぞれ推奨量が設定されています。

つまり女性の鉄必要量を考えるときは、性別だけでなく月経の有無まで確認することがポイントです。

また、月経量には個人差があります。

月経量が多い状態が続く場合や体調に気になる点がある場合は、医療機関で確認することで、その人に合った対応につながります。


妊娠・授乳期の鉄

妊娠中は、母体の血液量の増加や胎児の成長などに伴い、鉄の必要量が変化します。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人女性の通常の推奨量に対する付加量として、

  • 妊娠初期:+2.5mg/日
  • 妊娠中期:+8.5mg/日
  • 妊娠後期:+8.5mg/日
  • 授乳期:+2.0mg/日

が設定されています。

特に妊娠中期・後期では、通常時より必要量が大きく増えます。

妊娠中は健診で血液の状態を確認する機会も多いため、食事内容や検査結果をもとに、必要に応じて医師・助産師などへ相談しながら鉄を摂ると安心です。


鉄サプリにはどんな種類がある?

鉄を配合したサプリメントを見ると、原材料欄にはさまざまな名称があります。

代表的な例として、

  • ヘム鉄
  • フマル酸鉄
  • 硫酸鉄
  • グルコン酸鉄
  • クエン酸鉄
  • キレート鉄
  • フェリチン鉄

などがあります。

使用される鉄原料によって、化学形態、鉄として含まれる割合、製品設計などが異なります。

二価鉄と三価鉄とは?

無機・有機酸鉄塩などを見ると、二価鉄(ferrous)三価鉄(ferric)という言葉が出てくることがあります。

これは鉄の酸化状態の違いを表すものです。

二価鉄は経口鉄製剤や鉄を含む製品で広く利用されている形態のひとつです。

商品を比較するときは、鉄の化学形態だけでなく、鉄としての配合量、ほかの成分、摂取方法、続けやすさまで合わせて確認すると分かりやすくなります。


「鉄○mg」は何を見る?元素鉄量の考え方

鉄サプリを比較するときに知っておきたいのが、元素鉄(elemental iron)という考え方です。

たとえば、

  • フマル酸第一鉄
  • 硫酸第一鉄
  • グルコン酸第一鉄

では、化合物全体の重さに占める鉄の割合が異なります。

参考として、化合物重量に占める元素鉄の割合はおおよそ、

  • フマル酸第一鉄:約33%
  • 硫酸第一鉄:約20%
  • グルコン酸第一鉄:約12%

です。

そのため鉄サプリでは、原料化合物そのものの重量よりも、「鉄として実際に何mg含まれているか」を確認することが重要です。

海外製品では、

Iron 18 mg(as ferrous fumarate)

のような表記を見かけることがあります。

この場合、商品比較で見る中心的な数字は「Iron 18 mg」の部分です。

ニュージーランドなど海外のサプリメントを比較するときにも役立つ表示の読み方です。


鉄サプリを選ぶポイント

1.まず「鉄として何mgか」を確認する

製品によって、1粒当たり・1カプセル当たり・1日分当たりの鉄量が異なります。

商品を比較するときは、1日の摂取目安量で鉄として何mg摂れるのかを見ると分かりやすくなります。

2.どの鉄原料を使っているかを見る

ヘム鉄、鉄塩、キレート鉄、フェリチン鉄など、商品によって使用している鉄原料は異なります。

原料名を見ることで、その商品の設計を理解する手がかりになります。

3.ほかの配合成分を見る

鉄単独の商品だけでなく、ビタミンC、葉酸、ビタミンB12などを組み合わせた商品もあります。

複合タイプでは、鉄だけを見るのではなく、商品全体の成分構成を確認しましょう。

すでにマルチビタミンやほかのサプリメントを使用している場合は、同じ成分が重複していないかを見ることもポイントです。

4.自分に必要な鉄量に合わせて選ぶ

鉄は、年齢、性別、月経、妊娠などによって必要量が異なります。

配合量の大きさだけで比較するより、自分に必要な量と1日分の含有量を照らし合わせる方が実用的です。

貧血の治療などで使用される医療用鉄剤は、通常の食品・サプリメントとは目的や用量が異なります。

5.続けやすさもチェックする

鉄を多く含む製品では、人によって胃の不快感、吐き気、便秘などを感じることがあります。

鉄の種類や含有量だけでなく、摂取方法、粒の大きさ、1日の回数なども含めて、自分が続けやすい製品かどうかを見るとよいでしょう。


鉄を摂るときに知っておきたい注意点

日常の食事では、さまざまな食品から鉄を必要量に合わせて摂ることが基本です。

一方、鉄を高濃度に含むサプリメントや医療用鉄剤では、摂取量や使用方法を確認することがより重要になります。

胃腸への影響

高用量の鉄では、人によって、

  • 胃の不快感
  • 吐き気
  • 腹痛
  • 便秘
  • 下痢

などがみられることがあります。

サプリメントを利用する場合は、メーカーが示している1日の摂取目安量や使用方法を確認しましょう。

薬との組み合わせ

鉄は、一部の医薬品の吸収に影響することがあります。

たとえば、甲状腺ホルモン製剤のレボチロキシンなどでは、鉄との摂取間隔を調整する場合があります。

治療中・服薬中の方は、鉄を含むサプリメントを始める前に医師や薬剤師へ確認すると安心です。

子どもの手が届かない場所へ保管する

高濃度の鉄を含む製品を子どもが大量に誤飲すると、急性鉄中毒につながる可能性があります。

鉄サプリや鉄剤は、子どもの手が届かない場所に保管することが重要です。

2025年版で上限量が設定されていない場合も適量が基本

2025年版の日本人の食事摂取基準では、鉄の耐容上限量は設定されていません。

この変更は、現在の科学的根拠では、日本人の耐容上限量を数値として設定するための十分な根拠が得られていないことを反映したものです。

食品・サプリメント・医療用鉄剤を区別し、必要量と製品表示を確認しながら、自分に合った量を取り入れることが基本です。


まとめ|鉄は「量」だけでなく、形・吸収・必要量を見る

鉄は、赤血球やヘモグロビンとの関係でよく知られていますが、ミオグロビンやさまざまな酵素にも関わる必須ミネラルです。

この記事のポイントを整理すると、

  • 鉄はヘモグロビンなどを構成する必須の微量ミネラル
  • 体内の鉄は古い赤血球から回収され、効率よく再利用されている
  • 必要量は年齢・性別・月経・妊娠などによって大きく異なる
  • 食品中の鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、吸収のされ方に違いがある
  • ビタミンCや食事の組み合わせも、特に非ヘム鉄の吸収に関係する
  • フェリチンは体内の貯蔵鉄を評価する指標のひとつで、フェリチン鉄は食品・サプリで使われる鉄原料の呼び方
  • 鉄サプリでは原料名とともに「鉄として何mg含まれているか」を確認する
  • 2025年版では耐容上限量は設定されていないため、必要量と製品表示を確認して適量を取り入れることが基本

鉄について考えるときは、単に「鉄分が多い食品」や「鉄の数字が大きいサプリ」を探すだけでなく、自分に必要な量、食品中の鉄の形、食事の組み合わせ、サプリメントなら鉄原料と実際の鉄量まで見ることで、より実用的に商品や食事を比較できます。

また、鉄不足や貧血が気になる場合は、ヘモグロビンやフェリチンなどの検査によって体内の鉄の状態を確認することが、適切な対応を考えるための手がかりになります。


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主な参考情報

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  • 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査報告」
  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
  • World Health Organization. Guideline on use of ferritin concentrations to assess iron status in individuals and populations.
  • NIH Office of Dietary Supplements. Iron – Fact Sheet for Health Professionals.
  • Hackl LS, Moretti D, Sabatier M. Absorption of Iron Naturally Present in Soy. Advances in Nutrition. 2025;16(4):100396.
  • Lönnerdal B. Soybean ferritin: implications for iron status of vegetarians. American Journal of Clinical Nutrition. 2009;89(5):1680S–1685S.
  • Ganz T. Systemic iron homeostasis. Physiological Reviews.
  • Korolnek T, Hamza I. Macrophages and iron trafficking at the birth and death of red cells.

ご注意

本記事は、鉄についての一般的な栄養・健康情報を分かりやすく紹介することを目的としています。

疾病の診断・治療・治癒・予防を目的としたものではなく、特定の食品やサプリメントによる貧血その他の疾病への効果を示すものでもありません。

鉄欠乏、貧血、フェリチンなどの血液検査値は、年齢、性別、妊娠、炎症、基礎疾患などによって解釈が異なる場合があります。

強い疲労感、めまい、息切れ、動悸などが続く場合や、健康診断・血液検査で異常を指摘された場合は、医療機関で原因を確認してください。

妊娠・授乳中、治療中、服薬中の方は、鉄を含むサプリメントや健康食品を利用する前に医師・薬剤師などの医療専門家へご相談ください。

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