「健康診断でLDLコレステロールが高いと言われたけれど、体調は特に悪くない」
「動脈硬化という言葉はよく聞くけれど、実際に血管の中で何が起こっているの?」
「コレステロールが高いと、必ず動脈硬化になるの?」
健康診断の結果をきっかけに、こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
動脈硬化は、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりし、血管の構造や働きが変化した状態の総称です。
分かりやすく「血管の老化」と表現されることもありますが、単純に年齢だけで決まるものではありません。
脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満など、さまざまな要因が動脈硬化と関係しています。
なかでも、LDLコレステロールが高い状態は、アテローム性動脈硬化を考えるうえで重要な危険因子のひとつです。
一方で、コレステロールや中性脂肪は、本来私たちの体に必要な成分でもあります。
大切なのは「脂質=悪いもの」と考えることではなく、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などの値を確認し、血圧や血糖、喫煙、体重なども含めて自分の健康状態を考えることです。
この記事では、動脈硬化とはどのような状態なのか、脂質異常症やLDLコレステロールとの関係、危険因子、検査、そして毎日の食生活や運動で意識したいことまで、血管の健康について分かりやすく解説します。
この記事について
本記事は、動脈硬化や脂質異常症、血管の健康について理解するための一般的な情報を紹介しています。病気の診断や治療を目的としたものではありません。健康診断で異常を指摘された方や、胸の痛み、息苦しさ、突然の手足のしびれ・麻痺など気になる症状がある方は、自己判断せず医療機関へご相談ください。
動脈硬化とは?「血管の老化」だけではない
動脈は、心臓から送り出された血液を全身へ届ける血管です。
動脈の壁には弾力性がありますが、加齢やさまざまな危険因子の影響を受けることで、血管壁が厚くなったり硬くなったり、血管の内側が狭くなったりすることがあります。
こうした動脈の構造や機能が変化した状態を総称して「動脈硬化」と呼びます。
動脈硬化というと「年齢を重ねれば誰にでも起こる血管の老化」というイメージを持つかもしれません。
確かに加齢は関係する要因のひとつですが、それだけで動脈硬化の状態が決まるわけではありません。
例えば、
- LDLコレステロールが高い
- 血圧が高い
- 糖尿病や高血糖がある
- 喫煙習慣がある
- 肥満、特に内臓脂肪が多い
- 運動不足
- 遺伝的な要因や家族歴
など、複数の要因が動脈硬化や心血管疾患のリスクに関係します。
そのため、血管の健康を考えるときには「年齢だから仕方がない」と考えるのではなく、健康診断の結果や毎日の生活習慣を確認し、変えられる要因を少しずつ整えていくことが大切です。
アテローム性動脈硬化はどのように進む?
動脈硬化にはいくつかのタイプがあります。
そのなかでも、心筋梗塞や脳梗塞などとの関係から特に重要なのが、アテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)です。
これは、動脈の壁に脂質などが蓄積し、「プラーク」と呼ばれる病変が形成されていくタイプの動脈硬化です。
複雑な仕組みですが、大まかな流れを見てみましょう。
-
LDLなどが動脈壁に入り込む
血液中のLDL由来のコレステロールが動脈壁に蓄積することが、アテローム性動脈硬化の形成に関わります。
-
血管壁で炎症反応が起こる
動脈壁に入り込んだLDLが変化すると、それに反応して免疫細胞などが集まります。
-
プラークが形成される
マクロファージが変化したLDLを取り込んで泡沫細胞となるなど、さまざまな変化が重なり、血管壁にプラークが形成されていきます。
-
血管の内側が狭くなることがある
プラークが大きくなることで、血液が通る空間が狭くなり、血流に影響する場合があります。
-
プラークの破綻によって血栓が形成されることがある
プラークが破綻すると、その場所に血小板などが集まり、血栓が形成される場合があります。
血栓によって重要な血管の血流が突然妨げられると、心臓では心筋梗塞、脳では脳梗塞などにつながる可能性があります。
つまり、動脈硬化で注意したいのは「血管が硬くなること」だけではなく、血管壁に起こる変化によって重要な臓器への血流が妨げられる可能性があることです。
動脈硬化にはアテローム性動脈硬化以外のタイプもある
動脈硬化には、アテローム性動脈硬化以外にも、中膜にカルシウムが沈着して血管が硬くなるタイプや、脳・腎臓などの細い動脈に生じる細動脈硬化などがあります。
ただし、一般的にコレステロールや脂質異常症との関係で問題になることが多いのは、アテローム性動脈硬化です。
動脈硬化と脂質異常症にはどんな関係がある?
動脈硬化について知るうえで、ぜひ理解しておきたいのが「脂質異常症」です。
脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準から外れた状態を指し、主に、
- LDLコレステロールが高い
- HDLコレステロールが低い
- 中性脂肪(トリグリセライド)が高い
といった状態があります。
ここで誤解したくないのが、「コレステロールや脂質そのものが悪い」というわけではないことです。
コレステロールは細胞膜やステロイドホルモン、胆汁酸などの材料として利用されます。
中性脂肪も、体を動かすためのエネルギー源やエネルギーを蓄える形として必要な脂質です。
問題になるのは、LDLコレステロールが高い状態など、脂質の異常が続き、ほかの危険因子も含めて心血管疾患のリスクが高まる場合です。
LDL・HDLコレステロールと中性脂肪の違い
LDLコレステロールとは?
コレステロールは水に溶けにくいため、血液中では「リポタンパク」という粒子によって運ばれています。
LDLはそのひとつで、コレステロールを肝臓から末梢の組織へ運ぶ役割があります。
LDLそのものは体に必要な仕組みの一部ですが、血液中のLDLコレステロールが高い状態が続くことは、アテローム性動脈硬化性疾患の重要な危険因子です。
一般には「悪玉コレステロール」と呼ばれますが、「LDL=体に不要なもの」という意味ではありません。
HDLコレステロールとは?
HDLも、血液中でコレステロールを運ぶリポタンパクのひとつです。
末梢組織などからコレステロールを受け取り、肝臓へ運ぶ仕組みに関わっていることから、一般には「善玉コレステロール」と呼ばれています。
ただし、「HDLは高ければ高いほどよい」「HDLだけを増やせばよい」と単純に考えるものではありません。
健康診断の結果を見る際には、HDLだけではなく、LDLコレステロールや中性脂肪、さらに血圧、血糖、喫煙なども含めて総合的に考えることが大切です。
中性脂肪(トリグリセライド)とは?
中性脂肪は、食事から摂った脂質や、余ったエネルギーなどから体内でつくられ、エネルギー源として利用・貯蔵されます。
そのため、中性脂肪そのものも体に必要です。
一方で、中性脂肪が高い状態は、ほかの脂質異常や肥満、糖代謝などと関連している場合があります。
健康診断で中性脂肪が高いと指摘された場合には、飲酒量、甘い飲み物や菓子類、食べ過ぎ、体重、運動量など、普段の生活を振り返ってみることも大切です。
脂質異常症は自覚症状がほとんどない
脂質異常症で特に注意したいのは、多くの場合、自覚症状がほとんどないことです。
LDLコレステロールや中性脂肪が高くても、痛みや違和感を感じるとは限りません。
そのため、
「体調がいいから大丈夫」
「特に症状がないから、健康診断の結果は気にしなくていい」
とは考えないことが大切です。
健康診断や血液検査を受けて初めて、LDLコレステロール、中性脂肪、血糖、血圧などの異常に気づくこともあります。
症状がない時期から自分の数値を知っておくことが、将来の健康を考える第一歩になります。
次は、動脈硬化が心臓・脳・脚などの血管にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、そしてコレステロール以外にどのような危険因子があるのかを見ていきます。
動脈硬化そのものは、初期の段階では自覚症状がないことも少なくありません。
しかし、動脈硬化によって血管が狭くなったり、プラークの破綻をきっかけに血栓ができたりすると、その先にある臓器へ十分な血液が届かなくなることがあります。
どの血管に変化が起こるかによって、現れる病気や症状は異なります。
心臓の血管|狭心症・心筋梗塞
心臓の筋肉へ血液を送っているのが「冠動脈」です。
冠動脈が動脈硬化によって狭くなり、心筋への血流が不足すると、運動時などに胸の痛みや圧迫感が現れる狭心症につながることがあります。
また、冠動脈のプラークが破綻して血栓が形成され、血流が急激に妨げられると、心筋の一部が壊死する心筋梗塞につながる場合があります。
強い胸の痛みや圧迫感、息苦しさ、冷や汗などが突然現れた場合には、速やかな医療対応が必要です。
脳の血管|脳梗塞など
脳へ血液を送る血管が詰まると、脳梗塞が起こることがあります。
突然、
- 顔の片側が動かしにくい
- 片方の腕や脚に力が入らない、しびれる
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 相手の言葉を理解しにくい
などの症状が現れた場合には、緊急の対応が必要です。
症状が一度軽くなった場合でも、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ相談することが重要です。
脚の血管|末梢動脈疾患
脚などの動脈が動脈硬化によって狭くなり、血流が低下する病気を末梢動脈疾患(PAD)と呼びます。
代表的な症状のひとつが、歩くとふくらはぎなどが痛くなり、休むと楽になる「間欠性跛行」です。
進行すると、安静時にも脚が痛んだり、傷が治りにくくなったりする場合があります。
大動脈|大動脈瘤など
動脈硬化や加齢、高血圧などは、大動脈の病気とも関係します。
大動脈の壁が弱くなり、一部がこぶのように拡張した状態を「大動脈瘤」と呼びます。
大動脈瘤は症状がないまま見つかることもありますが、大きさや場所などによっては医療機関での経過観察や治療が必要になります。
腎臓の血管にも影響することがある
腎臓は多くの血液が流れる臓器であり、血管の健康と深く関係しています。
腎臓へ血液を送る動脈に動脈硬化が起こることもあり、高血圧や腎機能などとの関係を含めて評価される場合があります。
このように、動脈硬化は「血管だけの問題」ではありません。
血管は全身へ酸素や栄養を届ける通り道だからこそ、心臓・脳・脚・腎臓など、さまざまな臓器の健康と関係しています。
LDLだけではない|動脈硬化の主な危険因子
動脈硬化について考えると、「コレステロールを下げれば大丈夫」と思うかもしれません。
しかし、実際の心血管疾患リスクはLDLコレステロールだけで決まるものではありません。
代表的な危険因子として、次のようなものがあります。
- LDLコレステロール高値などの脂質異常症
- 高血圧
- 糖尿病・高血糖
- 喫煙
- 肥満、特に内臓脂肪の蓄積
- 運動不足
- 加齢
- 家族歴や遺伝的要因
- 慢性腎臓病など一部の疾患
これらの危険因子が複数重なると、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクが高くなる場合があります。
だからこそ健康診断では、コレステロールだけを見るのではなく、血圧、血糖、体重、喫煙習慣なども含めて自分の状態を確認することが大切です。
高血圧
血圧が高い状態が続くことは、血管や心臓に負担をかけ、動脈硬化性疾患の重要な危険因子となります。
高血圧も自覚症状がないことが多いため、「具合が悪くないから大丈夫」とは限りません。
健康診断だけでなく、必要に応じて家庭で血圧を測ることも、自分の状態を知る手がかりになります。
糖尿病・高血糖
糖尿病は、動脈硬化性疾患のリスクと深く関係しています。
血糖値やHbA1cに異常を指摘されている場合には、脂質や血圧などとあわせて管理することが重要です。
喫煙
喫煙は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患に関わる重要な危険因子です。
血管の健康を考えるうえで、禁煙は非常に重要な生活習慣のひとつです。
肥満・内臓脂肪
体重だけで健康状態が決まるわけではありませんが、内臓脂肪の蓄積は、高血圧、脂質異常、血糖異常などと重なりやすくなります。
そのため、体重だけでなく腹囲や血圧、血液検査の結果などを一緒に確認することが大切です。
加齢・家族歴
年齢や遺伝的な体質など、自分では変えることのできない要因もあります。
だからこそ、「変えられないもの」を気にし続けるより、食事、運動、喫煙など、自分で見直すことのできる要因に目を向けることが大切です。
LDLコレステロールが高いと、必ず動脈硬化になる?
LDLコレステロールが高い状態は、アテローム性動脈硬化性疾患の重要な危険因子です。
ただし、健康診断で一度LDLコレステロールが高かったからといって、その結果だけで「すでに重い動脈硬化がある」と判断することはできません。
実際のリスクは、年齢、性別、血圧、糖尿病、喫煙、腎機能、家族歴、これまでに心筋梗塞や脳梗塞などを起こしたことがあるかなど、さまざまな情報をもとに評価されます。
また、必要となるLDLコレステロールの管理目標も、個人のリスクによって異なる場合があります。
健康診断の数字を自己判断で「大丈夫」「危険」と決めるのではなく、自分のリスク全体を知ることが重要です。
若くても注意したい「家族性高コレステロール血症」
「コレステロールが高くなるのは中高年になってから」と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。
家族性高コレステロール血症(FH)は、遺伝的な要因によって生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい疾患です。
若い頃からLDLコレステロールが高い状態が続くため、早期に発見して適切に管理することが重要です。
例えば、
- 若い頃からLDLコレステロールがかなり高い
- 家族にもコレステロールが高い人が多い
- 家族や近親者に若い年齢で心筋梗塞などを発症した人がいる
といった場合には、自己判断で食事だけの問題と考えず、医療機関へ相談してください。
家族性高コレステロール血症では、生活習慣だけでは十分にLDLコレステロールが下がらないこともあり、医師による評価や治療が重要になります。

健康診断で何を見る?血管の健康を考える主な検査
動脈硬化は、見た目や自覚症状だけでは分からないことがあります。
だからこそ、定期的な健康診断や必要に応じた検査によって、自分の状態を確認することが大切です。
血液検査
健康診断では、脂質に関する項目として主に、
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 中性脂肪(トリグリセライド)
などを確認します。
さらに、血糖値やHbA1c、腎機能なども、心血管リスクを考えるうえで重要な情報になります。
検査結果は、ひとつの項目だけを切り離して判断するのではなく、ほかの検査値や既往歴、生活習慣などとあわせて考えることが重要です。
血圧測定
高血圧は動脈硬化性疾患の重要な危険因子のひとつです。
血圧は緊張、運動、睡眠、測定環境などによっても変動するため、医療機関での測定だけでなく、必要に応じて家庭血圧が参考にされることもあります。
頸動脈超音波検査
首にある頸動脈を超音波で観察し、血管壁の状態やプラーク、狭窄の有無などを確認する検査です。
すべての人が健康診断として受ける検査ではありませんが、医師が必要と判断した場合に行われることがあります。
ABIなどの検査
ABI(足関節上腕血圧比)は、腕と足首の血圧を比較することで、脚の動脈の血流状態を評価するために使われる検査です。
末梢動脈疾患が疑われる場合などに行われることがあります。
検査結果は「基準値を超えたか」だけで判断しない
健康診断では基準値から外れた項目に目が向きがちですが、同じLDLコレステロール値でも、その人の健康状態によって意味合いが異なる場合があります。
例えば、すでに冠動脈疾患などがある方と、それまで心血管疾患を発症していない方では、医療上の管理目標が同じとは限りません。
また、糖尿病、慢性腎臓病、喫煙など、ほかの危険因子の有無も考慮されます。
健康診断は「数字に一喜一憂するため」のものではなく、自分では気づきにくい変化を知り、必要な行動につなげるための機会と考えるとよいでしょう。
異常を指摘されたら放置しない
脂質異常症や高血圧、高血糖は、自覚症状がほとんどないまま続くことがあります。
そのため、再検査や受診を勧められた場合には、「体調は悪くないから」とそのままにせず、指示に沿って確認することが大切です。
早い段階で自分の状態を知ることができれば、食生活や運動などを見直したり、必要に応じて医療機関で適切な管理を受けたりすることにつながります。
次は、血管の健康を考えるうえで毎日の生活に取り入れやすい、食事・脂質の選び方・運動・禁煙などの生活習慣について詳しく見ていきます。
血管の健康のために見直したい生活習慣
健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪、血圧などを指摘されると、「何を食べれば数値が下がるのだろう?」と考える方も多いでしょう。
しかし、血管の健康は特定の食品だけで決まるものではありません。
食事、身体活動、喫煙、飲酒、体重管理など、毎日の生活習慣を総合的に考えることが大切です。
また、すでに脂質異常症、高血圧、糖尿病などで治療を受けている場合には、生活習慣だけで自己判断せず、医師の指示に沿って治療を続けましょう。
脂質異常症を考えた食事|「脂質を食べない」ではなく種類と全体のバランスを
コレステロールや中性脂肪が気になると、「できるだけ脂質を食べない方がよい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、脂質は体を構成する成分やエネルギー源として必要な栄養素です。
大切なのは脂質をすべて避けることではなく、摂りすぎに注意しながら、脂肪酸の種類や食事全体のバランスを考えることです。
飽和脂肪酸を摂りすぎていないか確認する
脂質を考えるうえで知っておきたいもののひとつが「飽和脂肪酸」です。
飽和脂肪酸は、肉の脂身、バター、ラード、生クリームなどに比較的多く含まれています。
飽和脂肪酸を多く摂る食生活は、LDLコレステロール値に影響することがあります。
だからといって、肉や乳製品をすべて避ける必要はありません。
例えば、
- 脂身の多い肉ばかりに偏らない
- 肉だけでなく魚や大豆製品も取り入れる
- バターや生クリームを大量に使う食事が続いていないか確認する
- 菓子類や加工食品などから摂る脂質にも目を向ける
といった形で、普段の食生活全体を見直してみましょう。
不飽和脂肪酸を含む食品も上手に取り入れる
魚、植物油、ナッツ類などには、不飽和脂肪酸が含まれています。
脂質の摂り方を見直す際には、単純に「脂質を減らす」だけではなく、飽和脂肪酸を多く含む食品に偏っている場合、その一部を不飽和脂肪酸を含む食品へ置き換えるという考え方もあります。
ただし、植物油やナッツもエネルギーを含む食品です。
「体によい脂質なら、たくさん摂ってもよい」ということではありません。
魚を食生活に取り入れる
サバ、イワシ、サンマ、サーモンなどの魚には、EPAやDHAと呼ばれるn-3系多価不飽和脂肪酸が含まれています。
魚はEPA・DHAだけでなく、たんぱく質なども摂ることのできる食品です。
そのため、「EPAやDHAだけを摂ればよい」と考えるのではなく、肉、魚、大豆製品などを組み合わせながら、食事に変化をつけていくとよいでしょう。
青魚を食べれば動脈硬化が治る、あるいは魚だけで心血管疾患を防げるという意味ではありません。
魚も、バランスのよい食生活を構成する食品のひとつとして考えましょう。
食物繊維をさまざまな食品から
野菜、果物、豆類、きのこ、海藻、穀類などには食物繊維が含まれています。
食物繊維というと野菜だけを思い浮かべがちですが、豆類や大麦、オートミールなどの穀類から摂ることもできます。
また、野菜には食物繊維だけでなく、ビタミンやミネラルなどさまざまな栄養素が含まれています。
「この野菜を食べればコレステロールが下がる」と一つの食品に期待するより、いろいろな植物性食品を組み合わせて食べることを意識してみましょう。
大豆製品も食事の選択肢に
豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品は、植物性のたんぱく質を摂ることのできる食品です。
毎日の主菜が肉料理に偏っている場合には、魚料理や大豆製品を取り入れることで、食事のバリエーションも広がります。
特定の大豆食品を大量に食べる必要はありません。
肉・魚・卵・大豆製品など、それぞれの食品を楽しみながら組み合わせていきましょう。
野菜・果物は「色々な種類」を楽しむ
野菜や果物には、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが含まれています。
毎日同じものだけを食べるより、旬のものや色の異なる野菜・果物を取り入れると、食事の楽しみも広がります。
「血管に良い食材ランキング」を探すより、さまざまな食品を楽しみながら、食生活全体を整えることを意識した方が続けやすいでしょう。
中性脂肪が気になるときは、脂質だけを見ない
「中性脂肪」という名前から、脂っこいものだけを減らせばよいと思われることがあります。
しかし、中性脂肪の値には、食べ過ぎや飲酒、糖質を多く含む食品・飲料、体重、身体活動なども関係します。
中性脂肪が高いと指摘された場合には、脂質だけではなく、普段の食生活全体を振り返ってみましょう。
甘い飲み物や菓子類
清涼飲料水、砂糖を多く含む飲み物、菓子類などを頻繁に摂っている場合には、知らないうちにエネルギーや糖類の摂取量が多くなっていることがあります。
すべてを禁止する必要はありませんが、「喉が渇くたびに甘い飲み物を飲む」「毎日なんとなく菓子を食べる」といった習慣があれば、頻度や量を見直してみるのもひとつの方法です。
お酒も量を意識する
飲酒習慣がある場合には、飲む量や頻度にも目を向けましょう。
アルコールの摂りすぎは中性脂肪が高くなることなどと関係します。
また、お酒そのものだけでなく、一緒に食べる料理やおつまみが増えることで、1日のエネルギー摂取量が多くなる場合もあります。
「この種類のお酒なら健康によい」と考えて飲酒量を増やすのではなく、飲む場合には量を意識することが大切です。
血圧が気になるなら「塩分」にも目を向ける
血管の健康を考えるときには、コレステロールだけでなく血圧も重要です。
塩分を摂りすぎる食生活は、高血圧と関係します。
塩分というと食卓で使う塩やしょうゆだけを考えがちですが、加工食品、漬物、汁物、麺類のスープ、惣菜などにも含まれています。
例えば、
- しょうゆやソースをかける前に味を確認する
- だし、香辛料、酢、柑橘類などを活用する
- 麺類の汁をすべて飲まない
- 加工食品の栄養成分表示を確認する
など、小さな工夫を積み重ねることができます。
一度に極端な薄味へ変えるより、少しずつ味覚を慣らしていく方が続けやすいでしょう。
運動は血管の健康を考えるうえでも大切
血管の健康を考えるとき、食事だけに意識が向きがちですが、身体活動も重要な生活習慣のひとつです。
運動習慣がない方が、いきなり激しいトレーニングを始める必要はありません。
まずは日常生活の中で、体を動かす機会を少しずつ増やしてみましょう。
例えば、
- ウォーキングをする
- 近い場所なら歩いて移動する
- 階段を使う
- 座っている時間が長い場合は、ときどき立って動く
- 無理のない範囲で筋力トレーニングを取り入れる
などがあります。
大切なのは、「1週間だけ頑張る」ことではなく、自分の体力や生活に合わせて続けられる方法を見つけることです。
心臓病などの持病がある方、運動時に胸痛や強い息切れなどがある方、医師から運動について指示を受けている方は、自己判断で運動量を増やさず医療機関へ相談してください。
体重だけを目標にしなくてもよい
肥満や内臓脂肪がほかの危険因子と重なっている場合には、体重管理が重要になることがあります。
ただし、健康的な生活習慣の目的を「体重計の数字を減らすこと」だけにする必要はありません。
歩く習慣ができた、座っている時間が減った、食事内容が整ってきた、禁煙できたなども、健康管理における大切な変化です。
喫煙しているなら、禁煙はとても重要
喫煙は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患に関係する重要な危険因子です。
そのため、血管の健康を考えるうえでは、禁煙について考えることが非常に重要です。
長年吸ってきたから今さら遅い、と考える必要はありません。
自分だけで禁煙することが難しい場合には、医療機関の禁煙支援などを利用する方法もあります。
受動喫煙を避けることも大切です。
「血液サラサラ」という言葉をどう考えればいい?
食品や健康情報の中では、「血液サラサラ」「ドロドロ血液」という表現を目にすることがあります。
しかし、「サラサラ血液」「ドロドロ血液」は、動脈硬化や脂質異常症の正式な医学的診断名ではありません。
血管の健康状態を、血液がサラサラかドロドロかという一つのイメージだけで判断することはできません。
また、特定の食品や飲み物を摂ることで「血液がサラサラになる」「血管の詰まりを解消できる」と考えるのも適切ではありません。
血管の健康を考えるときには、
- LDL・HDLコレステロール
- 中性脂肪
- 血圧
- 血糖
- 喫煙
- 体重や腹囲
- 運動習慣
- 既往歴や家族歴
などを総合的に見ることが大切です。
分かりやすいキャッチフレーズだけで健康状態を判断せず、健康診断などの客観的な情報を活用しましょう。
次は、健康食品やサプリメントをどのように位置づければよいのか、水分補給やお茶との付き合い方、そしてよくある疑問を整理していきます。
健康食品・サプリメントはどう取り入れる?
血管の健康やコレステロールについて調べていると、EPA・DHA、食物繊維など、さまざまな成分を配合した健康食品やサプリメントを目にすることがあります。
毎日の食生活を振り返りながら、自分に必要な栄養素や食品成分について考えることは、健康への意識を高めるきっかけにもなります。
一方で、健康食品やサプリメントは医薬品とは異なり、動脈硬化や脂質異常症そのものを診断・治療するためのものではありません。
基本となるのは、さまざまな食品を組み合わせた食事、適度な身体活動、十分な休養、禁煙など、毎日の生活習慣です。
そのうえで、普段の食生活だけでは不足しがちな栄養素などを補う目的で、サプリメントを生活に取り入れるという考え方があります。
成分名だけで選ばず、表示を確認する
サプリメントを選ぶ際には、「血管によさそう」「コレステロールによさそう」といったイメージだけで判断せず、商品に記載されている情報を確認しましょう。
例えば、
- どのような成分が含まれているか
- 1日当たりの摂取目安量
- 成分の含有量
- 使用上の注意
- 複数の商品で同じ成分を重ねて摂っていないか
などを確認しておくと安心です。
「健康によさそうだから多く摂る」という考え方ではなく、商品の表示を確認し、自分の食生活や健康状態に合わせて上手に取り入れることが大切です。
治療中の方は自己判断で置き換えない
脂質異常症、高血圧、糖尿病などで医薬品を使用している場合には、処方された薬を自己判断で中止し、健康食品やサプリメントへ置き換えないようにしましょう。
また、健康食品やサプリメントに含まれる成分によっては、医薬品との相互作用などに注意が必要な場合があります。
医薬品を使用している方や治療中の方が新しいサプリメントを利用する場合には、必要に応じて医師や薬剤師へ相談してください。
毎日の水分補給|水や無糖のお茶を楽しむ
食生活を整えるときには、「何を食べるか」だけでなく「普段何を飲んでいるか」に目を向けてみるのもよいでしょう。
水分補給の基本として水を利用するほか、無糖のお茶も日常の飲み物の選択肢になります。
緑茶、麦茶、ほうじ茶、ハーブティー、ルイボスティーなど、食事や気分に合わせてさまざまなお茶を楽しむことができます。
ルイボスティーも無糖のお茶の選択肢のひとつ
ルイボスティーは、南アフリカ原産の植物「アスパラサス・リネアリス(Aspalathus linearis)」から作られるお茶です。
一般的なお茶として楽しむことができ、カフェインを含まないため、カフェインを控えたいときの飲み物として選ばれることもあります。
ストレートで飲めば砂糖を加える必要もなく、温かくしても冷やしても楽しめます。
大切なのは、ルイボスティーを飲めば動脈硬化を防げる、コレステロールを下げられるという意味ではないことです。
健康効果を期待して特定のお茶だけを飲むのではなく、毎日の水分補給を楽しむための選択肢のひとつとして取り入れるとよいでしょう。
甘い飲み物を日常的に多く飲んでいる方であれば、水や無糖のお茶を選ぶ機会を増やすことで、普段の飲み物を見直すきっかけにもなります。
動脈硬化・脂質異常症についてよくある質問
LDLコレステロールが高いと、必ず動脈硬化になりますか?
LDLコレステロールが高い状態は、アテローム性動脈硬化性疾患の重要な危険因子です。
ただし、一度の検査でLDLコレステロールが高かったという結果だけから、動脈硬化の程度や将来のリスクをすべて判断できるわけではありません。
年齢、血圧、糖尿病、喫煙、腎機能、家族歴、これまでの心血管疾患の有無など、さまざまな要因を含めて評価します。
健康診断で高値を指摘された場合には、自己判断で放置せず、再検査や受診の指示があればそれに従いましょう。
脂質異常症は症状がなくても受診した方がよいですか?
脂質異常症は、多くの場合、はっきりとした自覚症状がありません。
そのため、体調だけからLDLコレステロールや中性脂肪の状態を判断することは難しく、健康診断や血液検査が自分の状態を知る重要な手がかりになります。
健康診断で「要受診」「要精密検査」「再検査」などを指示された場合には、症状がなくても指示に沿って医療機関へ相談しましょう。
コレステロールが気になるなら、脂質はできるだけ減らした方がよいですか?
脂質をすべて避ければよいわけではありません。
脂質はエネルギー源になるほか、細胞膜などを構成するためにも必要な栄養素です。
脂質異常症を考えた食生活では、脂質の総量だけでなく、飽和脂肪酸を多く含む食品に偏っていないか、魚や植物油などをどのように組み合わせているかなど、脂質の種類と食事全体のバランスを見ることが大切です。
「血液サラサラ」といわれる食品を食べればよいですか?
「血液サラサラ」「ドロドロ血液」は、動脈硬化や脂質異常症の正式な医学的診断名ではありません。
また、特定の食品を食べるだけで、動脈硬化を治療したり、血管の詰まりを解消したりできるわけではありません。
血管の健康を考える際には、特定の食品だけに注目するのではなく、LDL・HDLコレステロール、中性脂肪、血圧、血糖、喫煙、運動などを含めて考えましょう。
健康診断で異常を指摘されたら、まず何をすればよいですか?
まず、健康診断の結果を確認し、「要受診」「要精密検査」「再検査」などの指示がある場合には、その指示に従いましょう。
同時に、食事、運動、喫煙、飲酒、体重など、普段の生活習慣を振り返ることもできます。
ただし、「食生活を変えてから次の健康診断まで様子を見よう」と自己判断し、必要な受診を先延ばしにしないことが大切です。
特にLDLコレステロールが著しく高い場合や、家族性高コレステロール血症が疑われる場合、糖尿病、高血圧などほかの危険因子がある場合には、医療機関での評価が重要になります。
まとめ|血管の健康は「ひとつの数字」ではなく生活全体から考える
動脈硬化は、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりし、血管の構造や働きが変化した状態の総称です。
「血管の老化」と表現されることもありますが、年齢だけで決まるものではありません。
特にアテローム性動脈硬化にはLDLコレステロールが深く関係しますが、それだけではなく、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、運動不足、加齢、遺伝的要因など、さまざまな危険因子が関係しています。
まずは自分の数字を知ることから
脂質異常症や高血圧などは、自覚症状がないまま続くことがあります。
だからこそ、健康診断で、
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 中性脂肪
- 血圧
- 血糖・HbA1c
などを確認することは、自分の健康状態を知る大切な機会になります。
一つの数字だけで一喜一憂するのではなく、これまでの検査結果や生活習慣も含めて変化を見ていきましょう。
「食べない」より、毎日の食事を整える
血管の健康を考える食事は、脂質をすべて避けたり、特定の食品だけを食べ続けたりするものではありません。
肉だけに偏らず魚や大豆製品も取り入れる。
野菜、果物、豆類、きのこ、海藻、穀類など、さまざまな食品を楽しむ。
塩分、甘い飲み物、お酒なども、自分の生活に合わせて量や頻度を見直す。
こうした毎日の小さな選択を積み重ねることが、長く続けられる食生活につながります。
歩く、動く、そしてタバコを吸わない
食生活と同じように、身体活動や喫煙習慣も血管の健康を考えるうえで重要です。
運動を始めるからといって、最初から激しいトレーニングをする必要はありません。
歩く時間を増やす、座っている時間を減らす、無理のない範囲で筋力トレーニングをするなど、自分が続けやすい方法から始めることができます。
喫煙している場合には、禁煙も非常に重要です。
健康診断を「怖い結果を見る日」にしない
健康診断で数値を指摘されると、不安になることもあるでしょう。
しかし、症状がない段階で変化に気づけることは、自分の生活を見直したり、必要な医療につながったりする機会でもあります。
「コレステロールが高かったから、もう手遅れ」と考える必要も、「体調がいいから大丈夫」と放置する必要もありません。
自分の状態を知り、必要なところから少しずつ整えていくこと。
食事を楽しみ、体を動かし、定期的に自分の健康状態を確認する。
そうした毎日の積み重ねを、これからの血管と体の健康を考えるきっかけにしていきましょう。
免責事項
本記事は、動脈硬化、脂質異常症、コレステロール、食事・生活習慣などに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。健康状態や必要な治療・生活指導には個人差があります。健康診断で異常を指摘された方、気になる症状がある方、持病のある方、医薬品を使用している方、治療中の方は、医師などの医療専門職へご相談ください。健康食品やサプリメントを利用する場合は、商品に記載された摂取目安量や使用上の注意をご確認ください。