トンカットアリとは?テストステロンとの関係・男性と女性の研究・選び方までわかりやすく解説

トンカットアリとは?テストステロンとの関係・男性と女性の研究・選び方までわかりやすく解説

OBARASOTARO

「トンカットアリ」という名前を聞いて、男性向けのサプリメントを思い浮かべる方も多いかもしれません。

実際、トンカットアリは、男性の健康やテストステロンとの関係を中心に研究が進んできた植物です。 そして近年では、ストレス、運動、加齢期の生活の質、さらに女性を対象とした臨床研究へも研究の範囲が広がっています。

トンカットアリ(Tongkat Ali)は、東南アジアの熱帯地域に自生する植物。 マレーシアなどでは古くから根を利用する文化があり、現在では伝統植物としての背景と、現代の研究の両面から注目されています。

この記事では、トンカットアリとはどんな植物なのか、なぜ根が使われるのか、特徴的な成分、テストステロンや男性の性的ウェルビーイングとの研究、ストレスや運動との関係、そして女性を対象とした研究まで、現在わかっていることをできるだけ分かりやすくご紹介します。


目次

  1. トンカットアリとは?東南アジア生まれの植物
  2. なぜ「根」が使われる?特徴的な成分ユリコマノンとは
  3. トンカットアリとテストステロンの研究
  4. 男性の健康・性的ウェルビーイングとの研究
  5. ストレスや毎日のコンディションとの研究
  6. 女性を対象とした研究も広がっている
  7. トンカットアリを選ぶときに見たいポイント
  8. 摂取するときに知っておきたいこと

トンカットアリとは?東南アジア生まれの植物

トンカットアリ(学名:Eurycoma longifolia)は、ニガキ科に属する東南アジア原産の植物です。

マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムなどの熱帯地域に分布し、英語ではLong JackMalaysian Ginseng(マレーシア人参)と呼ばれることもあります。

朝鮮人参や高麗人参はウコギ科の植物で、トンカットアリとは植物分類が異なります。 「マレーシア人参」という呼び名は、東南アジアで古くから利用されてきた伝統植物としてのイメージから使われる通称です。

東南アジアでは植物のさまざまな部位が伝統的に利用されてきましたが、現在のサプリメントや臨床研究で特に多く使われているのがです。

根を煎じた飲み物には非常に特徴的な苦味があります。 現代では水抽出エキスや乾燥エキスなどへ加工し、カプセルやタブレットとして利用しやすくした製品が多く見られます。

「トンカットアリ」って、ちょっと不思議な名前

「Tongkat Ali」という名前は、英語では「Ali's walking stick(アリの杖)」と訳されることがあります。

また、インドネシアでは「Pasak Bumi」という名前でも知られており、同じ植物でも地域によってさまざまな呼び名があります。

日本ではまだ少し聞き慣れない名前ですが、東南アジアでは長く知られてきた植物のひとつです。

そして、この植物特有の強い苦味にも、トンカットアリを知るうえで重要な成分が関係しています。


なぜ「根」が使われる?特徴的な成分ユリコマノンとは

トンカットアリの根には、さまざまな植物成分が含まれています。

なかでも研究でよく登場するのが、クアシノイド(quassinoids)と呼ばれる成分群です。

クアシノイドはニガキ科の植物に見られる、非常に苦味の強い植物成分です。 トンカットアリでは、その代表的な成分としてユリコマノン(eurycomanone)が知られています。

このほかにも複数のクアシノイド、アルカロイド、トリテルペン系成分など、さまざまな植物由来成分が確認されています。

同じトンカットアリでも「原料のつくり方」に違いがある

トンカットアリ商品の違いは、使用する部位、抽出方法、濃縮方法、標準化されている成分などに表れます。

たとえば、

  • 根そのものを乾燥・粉末化したもの
  • 根を水で抽出したエキス
  • 濃縮したエキス
  • 特定の植物成分を一定範囲に管理した標準化エキス

などがあります。

人を対象とした臨床研究でも、単なる根粉末ではなく、成分や製法が一定の規格で管理された標準化根エキスが使われるケースが多くあります。

そのためトンカットアリを見るときは、「何mg入っているか」に加えて、どの部位を使い、どんな方法で抽出し、どのような規格で管理された原料なのかまで確認すると、商品の違いが分かりやすくなります。


トンカットアリとテストステロンの研究

トンカットアリが世界的に注目される大きな理由のひとつが、テストステロンとの関係です。

テストステロンはアンドロゲンと呼ばれるホルモンのひとつで、男性では主に精巣でつくられます。 筋肉や骨、性機能など、体のさまざまな働きに関係しています。

また、テストステロンは女性の体内でもつくられているホルモンです。 男女では量や生理的な役割に違いがありますが、どちらの体にも存在しています。

研究では「体内のテストステロン値の変化」が調べられている

トンカットアリ研究では、標準化された根エキスを摂取したときに、体内のテストステロン値にどのような変化が見られるかが調べられています。

2022年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、9つの臨床研究が検討され、そのうち5つのランダム化比較試験を統合した解析で、トンカットアリを摂取した男性について総テストステロン値の変化が報告されました。

こうした結果から、トンカットアリと男性のテストステロンとの関係は、現在も人を対象とした研究が続けられている重要なテーマのひとつになっています。

研究ごとに使用された原料、抽出方法、摂取量、摂取期間、参加者の年齢や健康状態などには違いがあります。

そのため現在の研究を見るときは、「どのトンカットアリエキスを、どのような人が、どのくらいの期間摂取した研究なのか」まで確認すると、結果をより正確に理解できます。


男性の健康・性的ウェルビーイングとの研究

トンカットアリは、東南アジアで男性の健康や滋養に関わる伝統植物として長く利用されてきた背景があります。

そのため現代の臨床研究でも、テストステロン値だけでなく、性的ウェルビーイング、性機能に関する質問票、身体機能、精液に関する指標、生活の質などが研究対象になっています。

たとえば30~55歳の男性109人を対象とした12週間のランダム化二重盲検比較試験では、標準化されたトンカットアリ根水抽出物300mg/日が研究されました。

この試験では、身体機能や性的ウェルビーイングに関する質問票に加えて、精子運動性や精液量なども評価され、いくつかの指標で変化が報告されています。

こうした人での研究が、トンカットアリと男性の健康との関係が研究される背景のひとつになっています。

同時に大切なのは、これらの結果が、研究で使用された特定の標準化エキス、摂取量、期間、対象者という条件のもとで得られたものだということです。

妊活や性機能の悩みは、研究情報と医療をそれぞれの役割で考える

トンカットアリでは、男性の生殖機能や性的ウェルビーイングに関する研究も行われています。

妊娠の成立には男女双方のさまざまな要因が関係し、性機能についても血管、神経、ホルモン、服薬、生活習慣、心理的要因など、複数の要素が関係します。

そのため、トンカットアリは男性の生殖・性機能に関する研究も進められている植物素材として理解し、具体的な妊活や性機能の悩みについては必要に応じて医療機関で原因を確認することが大切です。


ストレスや毎日のコンディションとの研究

トンカットアリの研究テーマは、男性ホルモンや性的ウェルビーイングから、さらに幅広い分野へ広がっています。

そのひとつが、ストレス、気分、日常のコンディションとの関係です。

中程度のストレスを感じていた男女63人を対象とした4週間のランダム化比較試験では、標準化されたトンカットアリ根エキスが使用され、緊張・怒り・混乱などの気分指標や、唾液中コルチゾール・テストステロンなどが調べられました。

この研究の興味深い点は、男性だけでなく女性も参加していたことです。

比較的小規模で4週間という短期間の研究ではありますが、トンカットアリがストレス環境や日常のウェルビーイングとの関係からも研究されていることが分かります。

筋トレをする人にも知られている理由

テストステロンや身体機能との研究があることから、トンカットアリはスポーツや筋力トレーニングをする人の間でも知られる植物素材になっています。

筋肉づくりの基本になるのは、筋力トレーニング、十分な栄養、たんぱく質、休養、睡眠です。

トンカットアリについても運動や身体機能をテーマにした研究があり、こうした基本的な生活・運動習慣を土台として、植物エキスを組み合わせた場合の変化が研究されています。

スポーツ分野では、運動・栄養・休養という基本とともに研究されている植物素材としてトンカットアリを見ると、その位置づけが分かりやすくなります。


女性を対象とした研究も広がっている

トンカットアリは男性を中心に研究されてきましたが、近年は女性を対象とした臨床研究も行われるようになっています。

特に近年は、中年女性の生活の質やコンディションをテーマとした研究も登場しています。

2025年には、40~55歳の更年期症状を持つ女性138人を対象に、標準化されたトンカットアリ水抽出物を12週間摂取するランダム化二重盲検プラセボ対照試験が発表されました。

この研究では50mg群、100mg群、プラセボ群が設定され、100mg群では更年期に関するQOL評価(MENQOL)の総合スコアや、身体・性的領域などで統計学的な変化が報告されました。

また、この試験では女性の生殖ホルモンプロフィールに有意な変化は確認されませんでした。

この点は、女性とトンカットアリの関係を理解するうえで興味深いポイントです。

現在の研究からは、トンカットアリについて、更年期世代を含む女性の生活の質やコンディションとの関係も研究され始めていることが分かります。

男性を中心に蓄積されてきた研究が女性へも広がっていることで、トンカットアリという植物の研究領域は以前より幅広くなっています。


トンカットアリを選ぶときに見たいポイント

トンカットアリには、根粉末、濃縮エキス、水抽出エキス、標準化エキスなど、さまざまな原料があります。

そのため商品を比較するときは、「トンカットアリ○○mg」という数字に加えて、原料そのものの内容を見ることがポイントです。

たとえば「100:1」「200:1」「200倍濃縮」などの表示を見かけることがあります。 これらは原料や抽出物の濃縮に関する情報ですが、品質や臨床研究との関係を考えるときには、濃縮倍率とあわせて原料規格も確認すると分かりやすくなります。

そこで確認したいのが、

  • 根を使用しているか
  • どのような方法で抽出しているか
  • ユリコマノンなど、標準化されている成分があるか
  • 原料メーカーや製造工程が明確か
  • 品質検査や成分管理が行われているか
  • 1日量としてどのくらいのエキスを摂取する設計か

特に臨床研究を参考に商品を選ぶ場合は、研究で使用されたエキスと市販商品の原料が同じものなのか、または近い規格なのかまで見ると、より比較しやすくなります。

植物エキスの世界では、植物名だけでなく「どのような原料に仕上げられているか」も商品の個性です。

トンカットアリは、その違いがとても分かりやすく表れる植物素材のひとつです。


摂取するときに知っておきたいこと

トンカットアリの安全性を考えるときも、「トンカットアリ」という植物名だけでなく、実際に使われている抽出物の規格や摂取条件を見ることがポイントになります。

一部の短期臨床試験では、研究で使用された特定の標準化エキスについて良好な忍容性が報告されています。 安全性評価は、エキスの種類、濃度、摂取量、摂取期間などによって異なります。

欧州食品安全機関(EFSA)は2021年、Novel Foodとして申請された特定のトンカットアリ標準化水抽出物について評価し、遺伝毒性に関する試験結果を踏まえて、その申請原料について安全性は確立されていないと結論づけました。

これは、申請された特定規格の水抽出物について行われた評価です。 トンカットアリには抽出方法や規格の異なるさまざまな原料が存在するため、実際の商品ではどのような原料が使用されているのかを確認することが大切です。

また、米国NIHのLiverToxでは、トンカットアリ摂取との関連が疑われた肝障害の症例が報告されています。 現時点では報告は限られており、他の要因が関係した可能性も含めて評価されています。

こうした情報からも、トンカットアリを選ぶ際には原料の規格、製造元、品質管理、摂取量まで確認することがポイントになります。

商品を利用する場合は、メーカーが示す摂取目安量や注意事項を確認して使用しましょう。

妊娠中・授乳中の方、持病がある方、治療中・服薬中の方、ホルモンに関連する治療を受けている方などは、摂取前に医師や薬剤師などの専門家へ確認してください。

体調に普段と異なる変化を感じた場合は使用を中止し、必要に応じて専門家へ相談してください。


まとめ|伝統と現代研究の両方から見るトンカットアリ

トンカットアリは、マレーシアをはじめとする東南アジアで長く利用されてきたニガキ科の植物です。

特徴的な苦味を持つ根には、ユリコマノンをはじめとするクアシノイドなど、さまざまな植物成分が含まれています。

現在では、標準化された根エキスを中心に、テストステロン、男性の性的ウェルビーイング、身体機能、ストレスや気分、運動、加齢期の生活の質などとの関係が研究されています。

男性のテストステロンについては複数の臨床研究をまとめたメタ解析も発表され、男性の性的ウェルビーイングなどを評価したランダム化比較試験も行われています。

さらに近年では、男女を対象としたストレス研究に加えて、40~55歳の女性を対象とした臨床試験も登場し、女性のQOLやコンディションへも研究テーマが広がっています。

トンカットアリは、東南アジアで長く利用されてきた伝統植物から、現在では男女を含むさまざまなテーマへ研究が広がっている植物素材として見ると、その背景がより分かりやすくなります。

そして商品を選ぶときには、数字の大きさとあわせて、

どの部位を使っているのか。
どのように抽出されているのか。
どんな成分で標準化されているのか。
どのような品質管理が行われているのか。

という原料の背景まで確認することで、それぞれのトンカットアリ商品の違いが見えてきます。

伝統的な利用の歴史と、現代の臨床研究。 その両方を知ることで、トンカットアリという植物をより深く理解することができます。


ご注意

本記事は、トンカットアリ(Eurycoma longifolia)に関する植物学的情報、伝統的利用、および公開されている研究について一般的な情報を提供することを目的としています。

研究結果は、研究で使用された特定の抽出物、摂取量、期間、対象者などの条件に基づくものであり、個々の市販商品について同じ結果を示すものではありません。

疾病の診断・治療・予防、ED、不妊症、更年期障害など健康状態に関する具体的な判断については、医師・薬剤師などの専門家へご相談ください。

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