「最近、分け目が以前より目立つ気がする」
「シャンプーのときの抜け毛が増えたような……」
「髪が細くなって、トップのボリュームが出にくくなった」
「白髪も増えてきたけれど、年齢だけが原因なの?」
髪は顔と同じくらい、その人の印象を大きく左右するもの。
だからこそ、年齢とともに髪質やボリュームが変わってくると、気になる女性は少なくありません。
薄毛や抜け毛というと男性の悩みというイメージを持たれがちですが、女性にも髪が細く感じられる、全体の密度が少なく見える、分け目が目立つ、抜け毛が増えたように感じるといった変化があります。
そして女性の髪は、年齢だけではなく、妊娠・出産、更年期、体重の変化、栄養状態、病気や薬、生活環境など、さまざまな要素と関係しています。
そこで気になるのが、美容素材としてよく知られているプラセンタと髪の関係です。
インターネットでは、プラセンタと薄毛・抜け毛・白髪を結びつけた情報も数多く見かけます。
では実際には、どのような研究が行われ、どこまで分かっているのでしょうか。
この記事では、まず髪そのものの仕組みを知るところから始めます。
ヘアサイクル、女性の薄毛・抜け毛、更年期や産後の変化、白髪が生まれる仕組み、髪に関わる栄養、動物性プラセンタの特徴、そしてプラセンタと毛髪について実際に行われている研究まで、順番に見ていきましょう。
大切なのは、まず今の自分の髪にどのような変化が起きているのかを知ること。
それが、大人の女性がこれからも自分の髪と心地よく付き合っていくための第一歩です。
髪はどう生え変わる?まず知りたいヘアサイクル
髪は、一度生えたものがそのままずっと伸び続けているわけではありません。
一本一本の毛髪には、生まれる、成長する、成長を終える、休む、抜けるという周期があります。
これをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。
髪は頭皮の中にある「毛包」でつくられる
普段私たちが「髪」と呼んでいるのは、頭皮の外へ伸びている毛幹の部分です。
一方、髪がつくられる場所は、目には見えない頭皮の中にあります。
皮膚の中には毛包という髪をつくるための器官があり、その下部には毛球があります。
毛球には毛髪を形成していく毛母細胞(毛母ケラチノサイト)などがあり、その近くにある毛乳頭も毛包の成長を調節する重要な構造です。
髪は単なる一本の「糸」ではなく、皮膚の中にある小さな器官が周期的に活動することでつくられているのです。
成長期|髪が伸びていく時期
成長期(アナゲン)は、毛包が活発に活動し、髪が成長していく時期です。
頭髪ではこの期間が長く、一般に数年間続きます。
頭皮では多くの毛包がそれぞれ異なるタイミングで成長しているため、すべての髪が一斉に同じサイクルをたどるわけではありません。
隣り合った毛包でも、それぞれ独立したヘアサイクルを繰り返しています。
退行期|次の段階へ移っていく時期
成長期のあとには、退行期(カタゲン)へ移ります。
これは数週間程度の比較的短い期間で、活発だった毛包の活動が徐々に落ち着いていきます。
長く続いた成長期から、次の休止期へ移るための移行期間と考えると分かりやすいでしょう。
休止期|次のサイクルへ向かう準備期間
その後は休止期(テロゲン)に入ります。
頭髪では一般に数か月程度続き、その後、古い毛髪が抜け落ちて次のサイクルへ進みます。
つまり、髪が抜けること自体も自然なヘアサイクルの一部です。
ヘアサイクルの基本
成長期:毛包が活発に活動し、髪が伸びる時期
退行期:髪の活発な成長が落ち着き、次の段階へ移る時期
休止期:毛包が休み、次のサイクルへ向かう時期
脱毛・脱落:古い毛髪が抜け落ち、次の髪へ入れ替わっていく段階
「抜けた本数」だけではなく、髪全体の変化を見る
抜け毛が気になると、「今日は何本抜けた?」と本数に目が向きがちです。
けれども、髪の状態を知るためには、本数だけではなく全体の変化にも目を向けてみましょう。
たとえば、
- 以前より分け目が広く見える
- 地肌が透けて見える範囲が増えた
- 髪一本一本が細くなったように感じる
- ポニーテールをしたときの束が細く感じる
- トップにボリュームが出にくくなった
- 短く細い髪が増えたように感じる
といった変化も、髪の状態を知るための手がかりになります。
ヘアサイクルは、加齢、遺伝、ホルモン環境、栄養状態、病気、薬、急激な体重変化、出産など身体にとって大きな出来事の影響を受けることがあります。
そのため、「最近抜け毛が増えた」と感じたときには、髪だけでなく、その前後の身体や生活の変化も一緒に振り返ってみるとよいでしょう。
髪は“生える・育つ・休む・抜ける”を繰り返している
髪の太さ、密度、分け目、ボリューム、変化のスピードなども含めて見ていくことで、今の自分の髪をより理解しやすくなります。
女性の薄毛・抜け毛にはどんなものがある?
女性の薄毛・抜け毛には、いくつかの異なるパターンがあります。
同じ「髪が減った気がする」という悩みでも、少しずつ毛髪が細くなっていく場合と、ある時期から抜け毛が増える場合では、背景が異なることがあります。
まずは、女性にみられる代表的な髪の変化を見てみましょう。
女性型脱毛症|分け目や頭頂部の変化から気づくことも
女性型脱毛症(Female Pattern Hair Loss:FPHL)は、女性にみられる代表的な脱毛症のひとつです。
ある日突然まとまって髪が抜けるというより、徐々に毛髪が細くなり、全体の密度が少なく見えるようになることがあります。
たとえば、
- 分け目が以前より広く見える
- 頭頂部の地肌が目立つようになった
- 髪のボリュームが出にくくなった
- 一本一本の髪が細く感じられる
といった変化をきっかけに気づく人もいます。
女性型脱毛症には、遺伝的要素、年齢、ホルモン環境など複数の要素が関係すると考えられています。
また、男性のAGA(男性型脱毛症)と共通する部分がある一方、女性ならではの特徴もあり、同じ仕組みだけで説明されるものではありません。
休止期脱毛|身体の大きな変化のあとに抜け毛を感じることも
休止期脱毛(Telogen Effluvium)は、多くの毛包がまとまって休止期へ移ることで、時間をおいて抜け毛が増えるタイプの脱毛です。
きっかけとして知られているものには、
- 出産
- 大きな病気や高熱
- 手術など身体への大きな負担
- 急激な体重減少
- 極端な食事制限や栄養状態の変化
- 一部の薬剤
などがあります。
特徴的なのは、身体の変化と抜け毛を感じ始める時期に時間差があることです。
大きな出来事の直後ではなく、数か月してから「最近、抜け毛が増えた」と気づくことがあります。
そのため、抜け毛が気になったときには、その数か月前に身体や生活に大きな変化がなかったかを振り返ってみることも役立ちます。
髪だけではなく身体全体から考える
髪の変化には、頭皮だけではなく身体全体の状態が関係する場合があります。
鉄欠乏、甲状腺の病気、栄養状態などが関係するケースもあります。
特に月経のある女性では鉄の状態にも目を向けたいところですし、無理なダイエットや食事量の大幅な減少が続けば、身体全体の栄養状態にも影響します。
髪の変化が大きいときには、頭皮だけでなく身体全体のコンディションも含めて考えるという視点を持っておくとよいでしょう。
円形・部分的な変化や頭皮症状にも目を向ける
薄毛という言葉には、さまざまな状態が含まれます。
円形や部分的にはっきりと髪が抜ける場合には円形脱毛症など、びまん性に髪が薄くなるタイプとは異なる脱毛症もあります。
また、頭皮に赤み、痛み、強いかゆみ、かさぶたなどを伴う場合には、その症状に合ったケアや診察が必要になることもあります。
女性の髪の変化にはいくつかのパターンがある
ゆっくり髪が細くなるタイプ、ある時期から抜け毛が増えるタイプ、部分的に変化するタイプなど、髪の変化にはさまざまなパターンがあります。
いつから、どこが、どのように変化したのかを知ることが、自分の髪と向き合うための大切なポイントです。
40代・50代で髪が変わる?更年期と女性の髪
30代後半、40代、50代と年齢を重ねる中で、
「昔より髪が細くなった」
「トップがふんわりしなくなった」
「同じ髪型なのに、以前と印象が違う」
と感じる女性は少なくありません。
この時期に起こる身体の大きな変化のひとつが、更年期に向かうホルモン環境の変化です。
毛包も女性のライフステージとともに変化する
髪をつくる毛包は、身体のホルモン環境と関わりを持つ組織です。
女性の毛包についても、エストロゲンを含むさまざまなホルモンとの関係が研究されています。
閉経へ向かう時期にはホルモン環境が大きく変化し、閉経後には卵巣から分泌されるエストロゲンが低下します。
こうしたライフステージの変化とともに、髪の密度、一本一本の太さ、毛周期、髪質などにも変化がみられることがあります。
ある日突然すべてが変わるというより、数年かけて少しずつ、
- 髪が以前より細く感じられる
- 全体のボリュームが少なく見える
- トップが立ち上がりにくい
- 髪質やまとまり方が変わった
- 分け目が目立つようになった
といった形で気づく場合もあります。
更年期の髪は、ホルモンだけでなく身体全体の変化から考える
更年期前後の髪を考えるときには、ホルモン環境だけでなく、年齢、遺伝、毛包そのものの変化、栄養状態、病気、薬、体重変化、生活環境などにも目を向けることが大切です。
更年期のタイミングと髪の変化が重なることはありますが、女性型脱毛症や休止期脱毛など、複数の要素が重なっていることもあります。
だからこそ、「年齢だから」とひとまとめにするのではなく、その時の自分の身体全体を見ながら髪の変化を考えることが大切です。
今の髪に合ったケアへ更新していく
長年同じシャンプーを使い、同じようにヘアケアをしていても、40代以降になって髪の印象が変わることがあります。
肌が年齢とともに変化するように、毛包や毛髪もライフステージとともに変化していきます。
そんなときには、
- 今の髪質に合ったヘアスタイルを選ぶ
- 頭皮をやさしく扱えるケアへ見直す
- 食生活や体重の変化にも目を向ける
- 髪の変化を定期的に確認する
- 気になる変化が続く場合には専門家へ相談する
など、今の身体に合わせてケアを更新していくという考え方が役立ちます。
更年期は髪にとってもひとつのライフステージ
40代・50代になると、髪の太さ、ボリューム、質感などに変化を感じることがあります。
ホルモン環境を含めた身体全体の変化として髪を見ながら、その時の自分に合ったケアを選んでいくことが大切です。
そして、女性のホルモン環境と髪の変化を考えるうえで、もうひとつ大きなライフイベントがあります。
それが妊娠と出産です。
出産後に抜け毛が増えたように感じるのはなぜ?
「出産して数か月した頃から、シャンプーのときの抜け毛が増えた」
「排水口にたまる髪を見て驚いた」
「前髪や生え際の印象が以前と違う」
こうした産後の髪の変化を経験する女性もいます。
出産は、女性の身体にとって非常に大きなライフイベントです。
妊娠中から産後にかけてはホルモン環境が大きく変化し、睡眠、食生活、生活リズムも出産前とは大きく変わります。
妊娠・出産とヘアサイクル
妊娠中は、エストロゲンをはじめとするホルモン環境が大きく変化します。
毛包もこうした変化の影響を受けるため、妊娠中と産後ではヘアサイクルの状態が変化することがあります。
出産は、休止期脱毛のきっかけとなる身体的イベントのひとつとして知られています。
休止期へ移った毛髪が実際に抜けるまでには時間があるため、出産直後ではなく、しばらくしてから抜け毛を強く意識することがあります。
「産後すぐはそれほど気にならなかったのに、数か月してから増えた」と感じることがあるのも、こうしたヘアサイクルと関係しています。
産後の髪は、身体と生活の変化を一緒に見る
産後という時期には、ホルモン環境だけでなく生活そのものも大きく変わります。
赤ちゃんのお世話によって睡眠が細切れになったり、自分の食事をゆっくり取ることが難しくなったりすることもあるでしょう。
出産による身体への負担や、体重の大きな変化などが重なる場合もあります。
そのため産後の髪は、妊娠・出産という大きな身体変化と、その後の生活環境を含めて考えることがポイントです。
産後の髪の変化には個人差がある
産後の抜け毛はよく知られた変化ですが、すべての女性に同じタイミング、同じ程度で起こるものではありません。
抜け毛の量、目立ち始める時期、落ち着いていくまでの期間には個人差があります。
妊娠前の髪質や毛量、身体の状態、生活環境などによっても感じ方は変わります。
周囲の人と比べるより、自分の髪がどのように変化しているのかを見ていくことが大切です。
産後の変化を見ながら、必要に応じて専門家へ相談を
産後の髪も、時間とともに変化していきます。
一方で、
- 抜け毛が長期間続いている
- 円形・部分的にはっきり髪が抜けている
- 頭皮に赤みや強いかゆみがある
- 眉毛などにも変化がみられる
- 強い疲労感や体重変化など、髪以外にも気になることがある
といった場合には、髪だけの問題と考えず、皮膚科などの医療機関へ相談してみるのもよいでしょう。
産後の髪も、女性のライフステージのひとつ
妊娠から出産にかけて、女性の身体は大きく変化します。髪にも変化が現れることがありますが、その程度や期間は一人ひとり異なります。
髪だけを見るのではなく、その時の身体全体と生活の変化にも目を向けながら、自分に合ったケアを選んでいくことが大切です。
そして、髪のエイジングを考えるとき、薄毛や抜け毛と並んで気になるのが白髪です。
次は、そもそも髪の色がどのようにつくられ、なぜ白髪へ変化していくのかを見ていきましょう。
白髪はなぜ増える?髪の色が生まれる仕組み
「最近、白髪が増えてきた気がする」
「同じ年齢なのに、白髪が多い人と少ない人がいるのはなぜ?」
「白髪になった髪は、また色が戻ることがある?」
そんな疑問を考えるには、まず髪の色がどのようにつくられているのかを知るところから始めましょう。
髪の色をつくる「メラノサイト」
私たちの髪の色をつくる重要な存在が、毛包にあるメラノサイト(色素細胞)です。
メラノサイトではメラニンという色素がつくられ、それが成長する毛髪へ受け渡されることで髪に色がつきます。
毛髪の色に関わるメラニンには、黒色や褐色に関係するユーメラニンと、赤色や黄色系に関係するフェオメラニンなどがあります。
これらの種類や量、分布によって、黒髪、茶色い髪、金髪、赤毛など、さまざまな髪色が生まれます。
白髪は、毛包の色素産生が変化した髪
毛包には、将来のメラノサイトにつながるメラノサイト幹細胞も存在しています。
年齢を重ねるにつれて、こうした色素をつくる仕組みにも変化が起こります。
成長する毛髪へ受け渡されるメラニンが少なくなると、髪は灰色から白色へと見えるようになります。
髪に色がつくまで
毛包
↓
メラノサイトがメラニンをつくる
↓
成長する毛髪へメラニンが受け渡される
↓
髪に色がつく
白髪が気になり始める年齢には個人差がある
白髪は年齢とともに増えていくことが多いものの、始まる時期や増え方には大きな個人差があります。
その違いには、特に遺伝的な要素が大きく関係すると考えられています。
30代から少しずつ白髪が気になる人もいれば、50代以降になっても比較的少ない人もいます。
若い年代から白髪が目立つ早発性の白髪についても研究されており、遺伝のほか、生活習慣や栄養状態、一部の疾患などとの関係が調べられています。
酸化ストレスと白髪の研究
白髪の研究で注目されているテーマのひとつが酸化ストレスです。
身体では日常的に活性酸素種が生じていますが、それに対する防御とのバランスが変化すると酸化ストレスが高まります。
メラニンをつくる過程でも酸化反応が関わるため、毛包のメラノサイトや色素産生と酸化ストレスとの関係について研究が続けられています。
白髪は、加齢、遺伝、メラノサイト幹細胞の変化、酸化ストレス、環境要因などが組み合わさって生じる現象として捉えられています。
ストレスと白髪にも研究がある
精神的なストレスと毛包の働きとの関係も、近年研究が進んでいる分野です。
頭皮からすでに伸びている毛髪は形成を終えた組織なので、今ある黒髪そのものが一晩で内部から真っ白になるわけではありません。
一方、これから成長する毛髪の色素産生と、身体が受けるストレスとの関係については研究が続いています。
髪の色も、身体全体の変化を映す興味深いテーマのひとつなのです。
白髪と栄養の関係
早い年代から白髪がみられる人を対象とした研究では、ビタミンB12、鉄・フェリチン、ビタミンD、亜鉛、銅などの栄養状態との関連も調べられています。
研究結果はさまざまですが、毛髪も身体の一部であり、日々の栄養状態との関係について研究が続けられています。
特定の栄養素だけに注目するより、身体全体に必要な栄養をバランスよく摂り、不足がある場合には適切に補うという考え方が基本になります。
白髪も、女性の髪に起こる自然な変化のひとつ
白髪には、加齢、遺伝、毛包の色素産生、メラノサイト幹細胞、酸化ストレスなどさまざまな要素が関わり、栄養状態との関連についても研究されています。
白髪の本数を誰かと比べるより、自分の髪がどのように変化しているのかを知ることから始めてみましょう。
白髪との付き合い方も人それぞれ
加齢に伴う白髪は、一般的には少しずつ増えていきます。
毛髪に自然な再色素化がみられた例も報告されており、髪の色素については現在も研究が続いています。
日常では、白髪染め、ヘアマニキュア、カラートリートメントなどを楽しむ方もいれば、グレーヘアを自分らしいスタイルとして楽しむ方もいます。
白髪をどう見せるかも、自分の髪と付き合っていく方法のひとつ。
年齢とともに変わる髪を、自分らしく楽しんでいくという考え方も素敵です。
では、その髪を身体の内側からつくるためには、どのような栄養が関わっているのでしょうか。
髪をつくる栄養|タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミン
髪について調べていると、
「髪には何を食べればいい?」
「亜鉛が髪にいいって本当?」
「ビオチンは必要?」
といった情報を目にすることがあります。
毛包は活発に細胞が入れ替わる組織であり、身体の栄養状態とも関わっています。
髪のために大切なのは、特定のひとつの成分だけを追いかけることよりも、身体全体に必要な栄養をきちんと摂ることです。
タンパク質|髪の主成分「ケラチン」の材料
毛髪の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質です。
そのため、タンパク質やエネルギーが極端に不足する食生活が続けば、髪にも影響することがあります。
肉、魚、卵、乳製品、大豆製品、豆類など、自分の食生活に取り入れやすい食品を組み合わせながら摂ることが基本です。
鉄|女性が意識しておきたいミネラル
鉄は身体のさまざまな機能に必要なミネラルです。
特に月経のある女性では鉄が不足することがあり、鉄欠乏と脱毛との関係についても多くの研究が行われています。
日々の食事から鉄を含む食品を意識することに加えて、疲れやすさなど身体の変化も気になる場合には、医療機関で自分の状態を確認してみる方法もあります。
亜鉛|タンパク質合成や細胞の働きに関わる
亜鉛は、多くの酵素の働きやタンパク質合成、細胞の機能に関わるミネラルです。
亜鉛が不足した場合には毛髪にも変化がみられることがあります。
栄養素にはそれぞれ適切な摂取量があるため、亜鉛も含め、必要な栄養をバランスよく摂ることを基本に考えましょう。
ビタミンD・ビタミンB群なども研究されている
ビタミンD、ビタミンB12、葉酸などと、毛髪や白髪との関係についても研究されています。
栄養状態は一人ひとり異なるため、その人に不足しているものがあるのか、どのような髪の変化が起きているのかによっても意味が変わります。
「髪といえばビオチン」は本当?
美容系のサプリメントでよく目にする栄養素のひとつがビオチンです。
ビオチンは身体に必要なビタミンで、著しく不足した場合には脱毛などの症状がみられることがあります。
通常の食生活では明らかなビオチン欠乏は比較的まれとされているため、髪のためにはまず日々の食生活全体を整えるという視点を持っておくとよいでしょう。
また、高用量のビオチンを含むサプリメントは一部の血液検査結果に影響することが知られているため、利用している場合には検査時に医療機関へ伝えることも大切です。
極端なダイエットと髪の関係
髪と栄養を考えるときに特に意識したいのが、短期間で体重を大きく落とすような極端な食事制限です。
急激な体重減少や、タンパク質・エネルギー摂取量の大きな変化は、休止期脱毛のきっかけになることがあります。
美容のために体型を整える場合にも、髪や肌を含めた身体全体を大切にしながら、無理のない方法を選びたいところです。
髪の栄養は、毎日の食事全体から考える
タンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンなどは、髪だけでなく身体全体を支える大切な栄養素です。
さまざまな食品を組み合わせながら、不足のない食生活を目指すことが、髪を考えるうえでも基本になります。
ここまで、髪の仕組みや女性のライフステージ、栄養について見てきました。
ここからは、この記事のもうひとつのテーマであるプラセンタについて詳しく見ていきましょう。
動物性プラセンタとは?豚・馬・羊・ヒト由来の違い
美容分野でよく目にする「プラセンタ」という言葉。
英語の「placenta」は、日本語で胎盤を意味します。
胎盤は妊娠中に形成され、母体と胎児の間で酸素や栄養などのやり取りを担う重要な器官です。
美容・健康分野で「プラセンタ」と呼ばれるものは、一般には胎盤そのものではなく、胎盤を原料として加工・抽出された素材を指します。
豚・馬・羊など、さまざまな動物由来のプラセンタがある
健康食品や化粧品では、豚、馬、羊などを原料とするプラセンタ素材が利用されています。
同じ「プラセンタ」であっても、由来する動物だけでなく、
- 胎盤原料の産地や管理方法
- 抽出方法
- 濃縮方法
- 酵素処理や加水分解などの製造工程
- 最終製品に含まれる量
- 製造・品質管理
などによって、それぞれ特徴があります。
プラセンタ製品を見るときには、動物種だけを見るのではなく、原料から製造方法、品質管理まで含めて確認すると、その商品の特徴をより理解しやすくなります。
シーププラセンタを見るときは、原料と製造にも注目
シーププラセンタは、羊の胎盤を原料とした動物性プラセンタです。
豚・馬由来と同じく、サプリメントや美容分野で利用されているプラセンタのひとつです。
プラセンタ素材は、同じ動物由来であっても、産地や抽出・濃縮方法、製造工程によって異なる特徴を持ちます。
そのため、シーププラセンタを選ぶときにも、羊由来という点だけでなく、原料の由来、製造方法、配合量、品質管理などを確認することがポイントになります。
胎盤と成長因子|研究ではどう考えられている?
胎盤は妊娠を支える非常に複雑な組織です。
胎盤そのものにはタンパク質やアミノ酸など多種多様な成分が存在し、その生理機能にはさまざまな成長因子やサイトカインも関わっています。
一方、健康食品や化粧品に使用されるプラセンタ素材は、抽出、加熱、酵素処理、加水分解など、それぞれ異なる製造工程を経てつくられます。
そのためプラセンタに関する研究を見るときには、何由来の原料なのか、どのように加工された素材なのか、そしてどのような方法で使用された研究なのかを見ることが大切です。
医療で使われるヒト由来プラセンタ
動物由来の健康食品・化粧品とは別に、日本ではヒト胎盤由来成分を使用した医療用医薬品もあります。
代表的な注射剤には、
-
メルスモン:更年期障害、乳汁分泌不全
-
ラエンネック:慢性肝疾患における肝機能の改善
があります。
これらは医療用医薬品として承認されたもので、医師の管理のもとで使用されます。
同じ「プラセンタ」という名前でも、健康食品や化粧品の動物性プラセンタと、医療用のヒト胎盤由来製剤では、原料・製法・使用目的・法的な位置づけが異なります。
プラセンタを見るときのポイント
・何由来のプラセンタか
・どのような製造方法でつくられているか
・健康食品、化粧品、医薬品のどれに使われているか
・飲む、塗る、注射など、どのような方法で使われるものか
・どのような品質管理が行われているか
こうして整理すると、次に気になるのは、プラセンタと毛髪について実際にはどのような研究が行われているのかという点です。
ここからは、いくつかの研究を見ながら考えてみましょう。
プラセンタと薄毛・抜け毛の研究|どこまで分かっている?
プラセンタと毛髪との関係については、細胞研究、動物研究、外用製剤を使用したヒト研究など、さまざまな角度から研究が行われています。
特に興味深いのは、女性を対象としてプラセンタ外用製剤を調べた臨床研究も存在することです。
女性型脱毛症を対象とした牛プラセンタ外用研究
2020年には、女性型脱毛症の女性90名を対象として、牛由来プラセンタエキスを含む頭皮用ローションと、ミノキシジル2%外用剤を比較したランダム化比較試験が報告されています。
6か月間にわたり、トリコスコピーによる毛髪数や写真評価などが行われ、プラセンタと毛髪との関係を人を対象に検討した研究のひとつとして興味深い報告です。
ここでポイントになるのは、この研究で使われたのが牛由来プラセンタを配合した頭皮用の外用ローションであることです。
羊由来プラセンタを経口摂取する方法とは、原料も使用方法も異なる研究になります。
プラセンタ研究を読むときのヒント
「プラセンタ」という名称だけを見るのではなく、何由来のプラセンタを、どのような方法で使用した研究なのかを見ることで、その研究が何を調べたものなのか理解しやすくなります。
毛包と成長因子の研究
毛包の成長には、さまざまな成長因子や細胞間のシグナルが関係しています。
一方、プラセンタ素材も、原料や抽出方法、加工方法によって含まれる成分の状態が異なります。
そのため研究では、どのようなプラセンタ素材を、どの量、どの方法で使用したのかが重要なポイントになります。
こうした研究の積み重ねによって、胎盤由来素材と毛包との関係が少しずつ調べられています。
プラセンタと白髪についての研究
白髪と胎盤由来成分の関係についても、基礎研究が行われています。
2009年には、プラセンタ抽出物から分離されたC18:0スフィンゴ脂質を使い、加齢に伴う毛髪の色素変化をマウスで調べた研究が報告されています。
研究では、毛包のメラノサイトに関連するMITFなど、毛髪の色素形成に関わる変化が調べられました。
さらに近年も、胎盤由来成分と毛髪の色素について、マウスモデルを用いた基礎研究が報告されています。
毛包のメラノサイトや色素産生と胎盤由来成分との関係は、現在も研究が続けられている興味深い分野といえるでしょう。
これらはマウスモデルで胎盤由来成分と毛髪の色素変化を検討した基礎研究であり、経口の羊由来プラセンタとは、対象・原料・使用方法が異なる研究です。
プラセンタ研究を読むときに確認したいポイント
美容や健康について調べていると、「この成分が研究されています」という情報を目にすることがあります。
そんなときは、結果だけではなく、
- 人を対象とした研究か、動物・細胞研究か
- 何由来のプラセンタか
- 飲んだのか、塗ったのか、注射したのか
- 何人を対象にしたのか
- どのくらいの期間調べたのか
- どのような変化を評価したのか
まで見てみると、その研究をより深く理解できます。
プラセンタと毛髪の関係は、女性を対象にした研究から毛髪の色素を調べる基礎研究まで、さまざまな角度から研究されているテーマです。
研究の条件まで確認することで、その研究で分かったことを、より正確に理解しやすくなります。
プラセンタと髪の研究を見るポイント
・プラセンタと毛髪についてさまざまな研究が行われている
・女性を対象とした外用プラセンタ研究も報告されている
・毛髪の色素については動物・基礎研究も行われている
・研究ごとに由来するプラセンタや使用方法が異なる
・研究条件まで見ることで、その内容をより正確に理解できる
では、こうした髪の仕組みや研究を知ったうえで、毎日の生活ではどのようなことを意識できるでしょうか。
髪と頭皮のために毎日意識したいこと
薄毛や抜け毛、白髪が気になり始めると、何か特別なケアを探したくなることもあるでしょう。
けれども髪は、毛包、栄養状態、ホルモン環境、年齢、遺伝、毎日の生活など、さまざまな要素と関わっています。
だからこそ、髪だけを見るのではなく、毎日の暮らしの中から髪と頭皮をいたわっていくという考え方がおすすめです。
1.バランスのよい食事を大切にする
髪も身体の一部です。
タンパク質をはじめ、鉄、亜鉛、ビタミンなどさまざまな栄養素を、日々の食事からバランスよく摂ることを意識しましょう。
短期間で大きく体重を落とすより、身体全体を大切にしながら無理のない食生活を続けることが、長い目で見ても大切です。
2.頭皮も「皮膚」としてやさしく扱う
頭皮も顔や身体と同じ皮膚です。
シャンプーでは爪を立てず、指の腹を使ってやさしく洗いましょう。
自分の頭皮や髪質に合ったヘアケアを選び、洗ったあとはしっかりすすぐことも大切です。
頭皮に赤み、強いかゆみ、湿疹などが続く場合には、皮膚科へ相談してみるのもよいでしょう。
3.紫外線から髪と頭皮を守る
頭皮や毛髪も日常的に紫外線を受けています。
日差しの強い日や長時間屋外で過ごすときには、帽子や日傘などを上手に活用してみましょう。
分け目は特に日差しが当たりやすいため、ときどき分け目を変える方法もあります。
4.ヘアカラーも、自分の頭皮に合わせて楽しむ
白髪が増えると、ヘアカラーを使う機会も増えてきます。
製品の使用方法や注意事項を守り、自分の頭皮の状態を確認しながら楽しみましょう。
美容室でカラーリングする場合には、頭皮が敏感になっているときなどは事前に伝えておくと安心です。
5.髪を強く引っ張るスタイルを続けすぎない
きつく結ぶポニーテールやお団子、エクステンションなど、髪を強く引っ張る状態を長期間続けると毛包への負担になることがあります。
ヘアスタイルを楽しみながら、ときには髪と頭皮を休ませる日をつくるのもよいでしょう。
6.睡眠や休息も大切な美容時間
睡眠や休息は、身体全体の健康を維持するために欠かせません。
特に産後や仕事・家事で忙しい時期には、すべてを完璧にしようとするより、できる範囲で自分の身体を休ませる時間をつくることも大切です。
身体をいたわることも、大人の女性の美容習慣のひとつと考えてみましょう。
7.同じ条件で髪を記録してみる
髪は毎日見ているため、少しずつ進む変化には意外と気づきにくいものです。
髪のボリュームや分け目が気になる場合には、月に一度程度、
など、なるべく同じ条件で写真を撮っておく方法もあります。
一日の抜け毛だけを気にするより、数か月単位で自分の髪の変化を見ていくことができます。
8.気になる変化は早めに確認する
髪は年齢とともに自然に変化していきます。
同時に、髪の変化が身体の状態を知るきっかけになることもあります。
特に、
- 短期間で抜け毛が急激に増えた
- 円形・部分的にはっきり髪が抜けた
- 頭皮に強い赤み、痛み、かゆみがある
- 分け目や地肌の見える範囲が急速に広がっている
- 眉毛やまつ毛などにも脱毛がみられる
- 疲労感や体重変化など、髪以外にも気になる変化がある
といった場合には、皮膚科などの医療機関へ相談してみましょう。
大人の女性のための髪ケア 8つのポイント
・バランスのよい食事を意識する
・頭皮をやさしく清潔に保つ
・強い紫外線から髪と頭皮を守る
・ヘアカラーを自分の頭皮に合わせて楽しむ
・髪を強く引っ張るスタイルを続けすぎない
・睡眠・休息を含め身体全体をいたわる
・定期的に自分の髪の変化を見る
・気になる変化は専門家へ相談する
薄毛・抜け毛・白髪について気になる疑問
Q.女性の薄毛は、更年期になると増えやすいですか?
更年期前後にはホルモン環境が大きく変化し、髪の太さ、密度、質感などに変化を感じる女性がいます。
年齢や遺伝、女性型脱毛症、栄養状態なども関係するため、更年期を含めた身体全体の変化として見ると分かりやすくなります。
Q.出産後の抜け毛はどうして数か月後に目立つのですか?
毛髪が休止期へ移ってから実際に抜けるまでには時間があります。
そのため、妊娠・出産に伴う身体の変化から少し時間がたった後に、抜け毛を強く感じることがあります。
Q.白髪と薄毛は同じ仕組みで起こるのですか?
白髪と薄毛はどちらも毛包で起こる変化ですが、中心となる仕組みは異なります。
白髪ではメラノサイトや毛髪の色素産生が重要で、薄毛ではヘアサイクルの変化や、タイプによっては毛包の小型化などが関係します。
年齢や栄養状態など、両方に共通して関係する要素も研究されています。
Q.髪のボリュームが気になり始めたら、まず何から始めればいい?
まずは、いつ頃から、どの部分が、どのように変化したのかを確認してみましょう。
同じ条件で写真を残したり、食生活や急激な体重変化、出産、病気、薬など数か月前の出来事を振り返ったりするのも役立ちます。
そのうえで、食生活、頭皮ケア、ヘアスタイルなど、今の自分に合ったケアから少しずつ取り入れていくのがおすすめです。
Q.プラセンタと髪について本当に研究されているのですか?
はい。女性型脱毛症を対象とした牛由来プラセンタ外用製剤の臨床研究や、胎盤由来成分と毛髪の色素について調べた基礎研究などが報告されています。
研究を見る際には、由来するプラセンタ、使用方法、対象が人か動物かなどの条件まで確認することで、その内容をより正確に理解できます。
まとめ|髪の変化を知ることから、大人のヘアケアを始めよう
髪は、私たちが思っている以上に複雑な仕組みで生まれ、成長し、休み、抜け、また次のサイクルへ進んでいます。
そして女性の髪も、人生を通してずっと同じではありません。
年齢、更年期、妊娠・出産、遺伝、栄養状態、体重変化、病気や薬など、さまざまな要素によって髪の太さ、密度、ボリュームは変化することがあります。
白髪も、毛包のメラノサイトやメラノサイト幹細胞、遺伝、加齢、酸化ストレスなど、多くの要素が関係する興味深い身体の変化です。
美容素材として知られているプラセンタと毛髪についても研究が行われています。
女性型脱毛症を対象とした外用プラセンタの研究や、毛髪の色素について調べた基礎研究など、さまざまな角度から研究が続けられています。
研究を知ることは、自分の髪について考えるためのひとつのヒントになります。
そして何より大切なのは、自分の髪と身体に今どのような変化が起きているのかを知ることです。
食事を大切にする。
頭皮をやさしく扱う。
紫外線から髪と頭皮を守る。
その時の髪に合ったヘアスタイルを楽しむ。
身体をゆっくり休ませる時間をつくる。
そして、気になる変化があれば専門家へ相談する。
髪の量や白髪の本数だけを若い頃と比べるのではなく、ライフステージとともに変化していく自分の髪を知り、その時の自分に合ったケアを選んでいくこと。
それも、大人の女性が美しい髪と長く付き合っていくための大切な美容習慣です。
ご注意
この記事は、毛髪・頭皮の構造、女性の薄毛・抜け毛、白髪、更年期・産後の身体変化、栄養、プラセンタに関する研究についての一般的な情報提供を目的としています。プラセンタを使用した健康食品は、脱毛症の診断・治療・予防、発毛・育毛、白髪の改善を目的とする医薬品ではありません。急激な抜け毛、部分的な脱毛、頭皮の強い炎症など気になる症状や変化がある場合は、皮膚科などの医療機関へご相談ください。
参考情報