薄毛・抜け毛の原因とは?ヘアサイクルと日常生活で見直したいこと、髪と栄養の基礎知識

薄毛・抜け毛の原因とは?ヘアサイクルと日常生活で見直したいこと、髪と栄養の基礎知識

OBARASOTARO

「最近、シャンプーのときに抜ける髪が増えた気がする」

「以前より髪のボリュームが少なくなった」

「分け目や生え際が目立つようになってきた」

こうした髪の変化は、男性・女性を問わず気になりやすいものです。

特に抜けた髪をたくさん見つけると、「このまま薄毛になってしまうのでは?」と不安になることもあるでしょう。

しかし、髪が抜けること自体は、私たちの体に備わった自然な仕組みの一つです。

髪の毛には一定の周期で成長と脱毛を繰り返す「ヘアサイクル」があり、健康な状態でも毎日少しずつ髪は抜け、新しい髪へと生え替わっています。

一方で、抜け毛が急に増えたり、髪が以前より細く短くなったりする場合には、通常の生え替わりとは異なる変化が起きていることもあります。

大切なのは、抜け毛を見つけてすぐに「栄養が足りない」「頭皮の血行が悪い」と一つの理由に結び付けるのではなく、まず髪がどのように成長し、どのような仕組みで抜けるのかを知ることです。

この記事では、薄毛・抜け毛の基礎知識から主な原因、毎日の生活で見直したいこと、医療機関への相談を考えたいケースまで分かりやすく解説します。

後半では、髪と栄養の関係を整理したうえで、プロポリス・ローヤルゼリー・プラセンタについても、それぞれの素材の特徴と毛髪に関する研究の現在地という視点から見ていきます。

この記事でわかること

1.髪はなぜ抜ける?ヘアサイクルの基礎知識
2.薄毛・抜け毛が起こる主な原因
3.薄毛・抜け毛が気になるときに日常生活で見直したいこと
4.受診を考えたいサインと薄毛の治療
5.髪と栄養、健康食品との上手な付き合い方

 

髪はなぜ抜ける?ヘアサイクルの基礎知識

 

髪はなぜ抜ける?ヘアサイクルの基礎知識

髪の毛は、一度生えるとずっと伸び続けるわけではありません。

頭皮の中には毛包(もうほう)と呼ばれる髪を作る組織があり、そこで新しい髪が作られ、成長し、やがて抜け、再び新しい髪へと入れ替わっていきます。

この繰り返しを「ヘアサイクル(毛周期)」と呼びます。

髪が生え替わる基本的なサイクル

① 成長期
毛包で髪が作られ、長く太く成長していく時期です。

② 退行期
活発だった髪の成長が止まり、毛包が縮小していく短い移行期間です。

③ 休止期
髪の成長が休止し、やがて古い髪が抜けて次の新しい髪へと入れ替わる時期です。

頭髪では、成長期が一般に2〜6年程度続きます。

その後、数週間程度の退行期と数か月程度の休止期を経て、古い髪が抜けていきます。

すべての髪が一斉に同じ時期を迎えるわけではなく、それぞれの毛包が異なるタイミングで成長と休止を繰り返しています。

この仕組みによって、健康な状態では一定の毛量が保たれています。

健康な人でも毎日髪は抜けている

ブラシや枕、シャンプーの排水口などに髪が付いていると、「抜け毛が多いのでは?」と思ってしまうかもしれません。

しかし、健康な人でも1日に50〜100本程度の髪が自然に抜けることがあります。

これはヘアサイクルを終えた髪が、新しい髪へ入れ替わる過程で起こる自然な脱毛です。

実際に目にする本数は、髪の長さや洗髪の頻度、ブラッシングなどによっても変わります。

そのため、排水口に落ちた髪を一本ずつ数えて「何本以上だから異常」と判断する必要はありません。

大切なのは、本数だけではなく「以前と比べてどう変化したか」です。
急に抜け毛が増えた状態が続く、髪全体のボリュームが減ってきた、生え際や分け目が変化してきた、といった場合には、その背景を考えることが大切です。

髪はどのくらいの速さで伸びる?

頭髪が伸びる速さには個人差がありますが、平均すると1か月に約1cm前後とされています。

そのため、髪の変化は数日や数週間ですぐに現れるものではありません。

生活習慣やヘアケアを見直した場合でも、毛髪そのものが伸びていくには時間が必要です。

また、大きな体調変化や強いストレスなどをきっかけとした抜け毛でも、その直後ではなく、数か月経ってから増えるケースがあります。

「最近は特に何もなかったのに、なぜ今になって抜け毛が増えたのだろう」と感じることがあるのは、この時間差が関係している場合もあります。

「抜け毛が増えること」と「薄毛が進むこと」は同じではない

薄毛・抜け毛を理解するうえで、もう一つ知っておきたいのが、抜け毛が増えることと、髪が徐々に細くなって薄毛が進むことは必ずしも同じではないという点です。

たとえば、大きな体調変化や出産、急激な体重減少、強いストレスなどをきっかけとして、多くの髪が通常より早く休止期へ移り、数か月後に抜け毛が増えることがあります。

これは「休止期脱毛」と呼ばれる状態の一つで、原因となった出来事が一時的なものであれば、時間の経過とともに落ち着く場合があります。

一方、AGA(男性型脱毛症)などでは、突然大量に抜けることだけが特徴ではありません。

毛髪の成長期が短くなることで、以前より細く、短い髪が増えていく「軟毛化(なんもうか)」が起こり、徐々に地肌が目立つようになることがあります。

つまり、髪の変化を見るときには、抜けた本数だけでなく、

・急に抜け毛が増えたのか
・以前より細く短い髪が増えたのか
・全体的にボリュームが減ってきたのか
・生え際や頭頂部など特定の場所が変化しているのか
・限られた部分だけ髪が抜けているのか

といった「抜け方・薄くなり方」にも目を向けることが大切です。

薄毛・抜け毛の原因は人によって異なる

薄毛については、「頭皮の血行が悪いから」「栄養が足りないから」といった説明を目にすることがあります。

しかし実際には、遺伝やホルモン、体調の変化、免疫、栄養状態、病気、薬剤、髪への物理的な負担など、さまざまな要因が関係します。

そのため、特定の食品や一つのケア方法だけですべての薄毛・抜け毛を説明することはできません。

次の章では、AGA(男性型脱毛症)や女性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症などを含め、薄毛・抜け毛の主な原因を整理していきます。

 

 

薄毛・抜け毛が起こる主な原因

 

薄毛・抜け毛が起こる主な原因

薄毛や抜け毛は、見た目が似ていても原因によって起こり方が異なります。

徐々に髪が細くなっていくものもあれば、体調の変化などをきっかけに一時的に抜け毛が増えるもの、免疫の仕組みが関係するものもあります。

ここでは、代表的な原因を整理して見ていきましょう。

1.AGA(男性型脱毛症)

男性の薄毛で代表的なのが、AGA(男性型脱毛症)です。

AGAは一般に思春期以降に始まり、生え際や頭頂部などを中心として徐々に進行していきます。

その仕組みには、遺伝的な要因や男性ホルモンが関係しています。

男性ホルモンの一種であるテストステロンから作られるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛包に作用すると、影響を受けやすい部分では毛髪の成長期が短くなっていきます。

その結果、本来なら長く太く成長する髪が十分に育つ前に次の周期へ移り、次第に細く短い髪が増える「軟毛化」がみられるようになります。

AGAでみられる髪の変化

毛髪の成長期が短くなる

十分に太く長く成長しにくくなる

細く短い髪が増える

生え際や頭頂部などが徐々に目立つようになる

そのためAGAでは、単に「抜け毛が何本あるか」だけでなく、以前より細く短い髪が増えていないか、生え際や頭頂部に変化がないかを見ることもポイントになります。

2.女性型脱毛症

薄毛は男性だけに起こるものではありません。

女性にも、年齢などに伴って毛髪の密度が徐々に低下する女性型脱毛症がみられます。

男性のAGAのように生え際が大きく後退するというより、頭頂部を中心として全体的に髪のボリュームが減ったり、分け目が以前より広く見えるようになったりすることがあります。

ただし、女性の薄毛では女性型脱毛症だけでなく、鉄不足、甲状腺の病気、急激なダイエット、薬剤など、別の要因が関係している場合もあります。

「年齢によるもの」と自己判断せず、変化が大きい場合や長く続いている場合には、原因を確認することが大切です。

3.体調の変化などで起こる「休止期脱毛」

ある時期から急に抜け毛が増えた場合には、休止期脱毛(telogen effluvium)と呼ばれる状態が関係していることがあります。

大きな身体的・精神的な変化をきっかけとして、通常より多くの毛髪が成長期から休止期へ移行し、その後まとまって抜ける状態です。

きっかけとしては、たとえば次のようなものがあります。

・出産
・高熱を伴う病気
・大きな手術や病気からの回復期
・急激な体重減少や極端な食事制限
・強い精神的ストレス
・ホルモン環境の大きな変化
・一部の薬剤など

休止期脱毛では、きっかけとなった出来事から数か月経ってから抜け毛が増えることがあります。

原因となった出来事が一時的なものであれば、時間の経過とともに落ち着く場合もあります。

ただし、抜け毛が長期間続いている場合や、ほかの体調変化を伴っている場合には、別の原因が関係していないか確認することも必要です。

4.円形脱毛症

円形や楕円形に髪が抜ける場合には、円形脱毛症の可能性があります。

「強いストレスが原因で起こる」と考えられることもありますが、現在では、円形脱毛症は成長期の毛包を主な標的とする自己免疫性疾患と考えられています。

免疫系が毛包に反応することで、毛髪の成長が妨げられると考えられています。

典型的には円形や楕円形の脱毛斑が現れますが、一か所だけの場合もあれば、複数の場所や広い範囲に及ぶ場合もあります。

円形脱毛症は、食事や一般的なヘアケアだけで対応するものではありません。
円形・楕円形の脱毛が突然現れた場合には、皮膚科へ相談しましょう。

5.栄養不足や急激なダイエット

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。

毛髪を含めた体の組織を維持するためには、十分なエネルギーとさまざまな栄養素が必要です。

そのため、極端なダイエットや食事量の大幅な減少によって必要な栄養が不足すると、抜け毛につながることがあります。

特に、タンパク質、鉄、亜鉛などの不足が脱毛の背景となるケースがあります。

一方で、「不足すると髪に影響する」ことと、「たくさん摂れば髪が増える」ことは同じではありません。

特定の栄養素だけを大量に摂るのではなく、普段の食事全体を整えることが基本です。

6.甲状腺など体の病気が関係することも

抜け毛は、頭皮だけの問題とは限りません。

たとえば甲状腺の病気では、髪が細くなったり抜け毛が増えたりすることがあります。

そのほか、鉄不足を伴う状態や一部の病気、薬剤などが毛髪に影響する場合もあります。

特に、

・急に抜け毛が増えた
・髪の変化とともに体調にも変化がある
・抜け毛が長期間続いている

といった場合には、「髪だけの問題」と決めつけないことも大切です。

7.髪型や日常的なヘアケアによる負担

日常的な髪型やヘアケアによって、毛髪や毛包へ負担がかかることもあります。

たとえば、毎日強く髪を引っ張るポニーテールやお団子などを続けていると、毛包に繰り返し力が加わります。

これによって起こる脱毛は「牽引性脱毛症」と呼ばれます。

長期間強い牽引が続くと、元に戻りにくくなる場合もあるため、早めに髪型を見直すことが大切です。

また、

・高温のヘアアイロンやドライヤーを頻繁に使用する
・カラーやパーマなどを繰り返す
・濡れた髪を強くブラッシングする
・髪を強くこする、引っ張る

といった行為は、毛髪そのものを傷め、切れ毛や枝毛を増やす原因になります。

「髪が減った」と感じていても、毛根から抜けているのではなく、ダメージによる切れ毛によってボリュームが少なく見えている場合もあります。

同じ「薄毛」でも、必要な対応はそれぞれ違う

ここまで見てきたように、薄毛・抜け毛にはさまざまな原因があります。

AGAのように遺伝やホルモンが関係するもの、円形脱毛症のように免疫が関係するもの、体調の変化による休止期脱毛、栄養状態や病気、髪への物理的な負担など、その背景はさまざまです。

まず確認したいのは「どのように変化しているか」

いつ頃から変化したのか、急に抜け始めたのか徐々に薄くなったのか、どの部分に変化があるのか。その経過を振り返ることが、原因を考える手がかりになります。

では、日常生活の中ではどのようなことを見直せるのでしょうか。

次の章では、食事・睡眠・ストレス・ヘアケアなど、薄毛・抜け毛が気になるときに日常生活で見直したいことを整理していきます。

 

受診を考えたいサインと薄毛の治療

 

薄毛・抜け毛が気になるときに日常生活で見直したいこと

薄毛や抜け毛が気になると、「生活習慣を変えれば改善できるのでは?」と考えることもあるでしょう。

食事や睡眠、日々のヘアケアは、体や髪を健やかに保つうえで大切です。

ただし、AGA(男性型脱毛症)や女性型脱毛症、円形脱毛症などは、生活習慣だけで防いだり解決したりできるものではありません。

日常生活でできることは、「これをすれば髪が生える」と考えるのではなく、必要な栄養や休息を確保し、髪や頭皮への余計な負担を減らすことを基本に考えましょう。

毎日の食事は「特定の食品」よりバランスを

髪を含めた体の組織を維持するためには、十分なエネルギーとさまざまな栄養素が必要です。

薄毛や抜け毛が気になると、「髪に良い食べ物」を探したくなるかもしれませんが、特定の食品だけで毛髪の状態が決まるわけではありません。

肉、魚、卵、大豆製品、野菜、果物、穀類などを組み合わせ、食事全体のバランスを整えることを基本にしましょう。

食生活で意識したい基本

・食事を極端に減らさない
・タンパク質を含む食品を毎日の食事に取り入れる
・野菜や果物なども組み合わせる
・鉄や亜鉛などを含む食品にも目を向ける
・一つの食品や栄養素だけに偏らない

特に、短期間で大幅に体重を減らすようなダイエットでは、必要なエネルギーや栄養が不足し、後になって抜け毛が目立つことがあります。

体重を減らしたい場合も、無理な食事制限ではなく、体全体の健康を考えながら進めることが大切です。

サプリメントは「多く摂るほどよい」わけではない

薄毛や抜け毛が気になると、鉄や亜鉛、ビタミンなどのサプリメントを追加したくなることがあります。

実際に特定の栄養素が不足している場合には、その不足への対応が必要になることがあります。

しかし、不足していない栄養素を多く摂れば、その分だけ髪に良いというものではありません。

ビタミンやミネラルの中には、過剰摂取に注意が必要なものもあります。

サプリメントを追加する前に、まず普段の食生活を振り返ることが基本です。
不足が疑われる場合や体調の変化がある場合には、必要に応じて医師などへ相談しましょう。

十分な睡眠と休息を確保する

「髪のためには○時までに寝なければならない」といった情報を目にすることがあります。

しかし、薄毛を防ぐために特定の就寝時間が決まっているわけではありません。

大切なのは、髪だけのための特別な睡眠法を探すことではなく、自分に必要な睡眠時間を確保し、体を十分に休ませることです。

慢性的な睡眠不足や疲労が続いている場合には、生活リズム全体を見直してみましょう。

強いストレスが続いているときは無理をしすぎない

ストレスがあるから必ず薄毛になる、というわけではありません。

一方で、大きな精神的・身体的ストレスをきっかけとして、数か月後に休止期脱毛が起こる場合があります。

仕事や人間関係、環境の変化、病気や手術など、そのきっかけは人によってさまざまです。

ストレスを完全になくすことは難しいですが、十分な休息を取る、無理のない範囲で体を動かす、好きなことをする時間をつくるなど、心身を休ませる時間を確保することも大切です。

眠れない、食欲がない、強い気分の落ち込みが続くなど、髪以外にも心身の変化がある場合には、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

頭皮は強くこすらず、やさしく洗う

抜け毛が気になると、「皮脂をしっかり落とさなければ」と頭皮を強く洗いたくなることがあります。

しかし、必要以上に強くこすったり、洗浄力の強い製品を何度も使ったりする必要はありません。

シャンプーでは、爪を立てず、頭皮の汚れや余分な皮脂、整髪料などをやさしく洗い流すことを意識しましょう。

洗髪の頻度も、髪質や皮脂量、汗をかく量、生活環境などによって異なるため、一律に「毎日○回」と決める必要はありません。

シャンプーの役割は、髪や頭皮を清潔に保つことです。
AGAなど医学的な原因による薄毛を、洗髪方法だけで解決できるわけではありません。

濡れた髪や傷んだ髪はやさしく扱う

濡れた髪は摩擦などによるダメージを受けやすい状態です。

タオルで強くこすったり、絡まった髪を無理にブラッシングしたりすると、切れ毛につながることがあります。

洗髪後はタオルで押さえるように水分を取り、髪を強く引っ張らないように整えましょう。

必要に応じてコンディショナーなどを使用し、摩擦や絡まりを減らすことも一つの方法です。

ドライヤーやヘアアイロンの高温を当て続けない

ドライヤーやヘアアイロン、コテなどの熱を繰り返し加えると、毛髪が傷みやすくなります。

ドライヤーでは、一か所へ高温の風を長時間当て続けないようにし、髪から適度な距離を取って使用しましょう。

ヘアアイロンやコテも必要以上の高温や頻繁な使用を避け、髪の状態を見ながら使うことが大切です。

カラーリングやパーマ、縮毛矯正などを繰り返して髪が傷んでいる場合には、施術の間隔を空けるなど負担を減らすことも考えてみましょう。

髪を強く引っ張る状態を長時間続けない

ポニーテールやお団子など、髪を強く引っ張る髪型を長期間繰り返すと、毛包への負担になることがあります。

普段から髪を結ぶ方は、

・必要以上にきつく結ばない
・毎日まったく同じ場所を強く引っ張らない
・頭皮に痛みを感じる髪型を長時間続けない
・ときどき髪を下ろして負担を減らす

といった工夫をしてみましょう。

頭皮に痛みや違和感がある、生え際に細かな切れ毛が増えているなどの変化があれば、髪型を見直すきっかけになります。

頭皮マッサージは「発毛のため」と考えすぎない

頭皮マッサージを気分転換やリラックスのために行っている方もいるでしょう。

一方で、頭皮マッサージだけでAGAなどの脱毛症を治療できるわけではありません。

強く刺激すればよいというものでもないため、行う場合は爪を立てたり強くこすったりせず、頭皮を傷つけない程度のやさしい力にしましょう。

毎日の基本を整えながら、気になる変化は見逃さない

薄毛や抜け毛が気になったときに、特別な食品やシャンプーだけへ答えを求める必要はありません。

日常生活で意識したいこと

✓ 食事を極端に制限せず、バランスよく食べる
✓ 必要な睡眠と休息を確保する
✓ 心身の負担が大きいときは無理をしすぎない
✓ 髪や頭皮を強くこすらない
✓ 過度な熱や薬剤によるダメージを減らす
✓ 髪を強く引っ張る状態を長時間続けない
✓ サプリメントを自己判断でむやみに増やさない

こうした習慣は、すべての脱毛症を防ぐための方法ではありません。

しかし、体の健康を維持し、髪や頭皮への不要な負担を減らすという意味では、日々の基本として大切です。

そして、生活習慣を見直していても抜け毛が長く続く場合や、薄毛が徐々に進んでいる場合には、食事やヘアケアだけで原因を探し続けないことも重要です。

次の章では、医療機関への相談を考えたいサインと、AGAなどに対して行われている代表的な治療について見ていきます。

 

受診を考えたいサインと薄毛の治療

 

受診を考えたいサインと薄毛の治療

抜け毛が増えたり、髪が薄くなったりしても、「病院へ行くほどではないのでは?」と迷うことがあるでしょう。

一時的な体調変化などに伴って抜け毛が増え、その後落ち着くケースもあります。

一方で、AGA(男性型脱毛症)や女性型脱毛症、円形脱毛症、体の病気など、医療機関で診断や治療が行われるものもあります。

いつもとは明らかに違う変化や、長く続く変化がある場合には、皮膚科などへ相談することを考えてみましょう。

こんな変化がある場合は一度相談を

抜け毛は本数だけでは判断できません。

次のような変化がみられる場合には、医療機関への相談を検討する目安になります。

・以前と比べて急に抜け毛が増えた
・円形や楕円形など、一部分だけ髪が抜けている
・生え際が徐々に後退している
・頭頂部や分け目が以前より目立つようになった
・細く短い髪が増えてきた
・抜け毛の多い状態が数か月以上続いている
・頭皮に赤み、痛み、強いかゆみ、腫れなどがある
・眉毛やまつ毛など、頭髪以外にも脱毛がみられる
・髪の変化とともに体調にも変化がある

特に、突然まとまって髪が抜けた場合や、円形の脱毛斑が現れた場合、頭皮に強い炎症などがある場合には、自己流のケアだけで長期間様子を見続けないようにしましょう。

皮膚科ではどのように原因を調べる?

薄毛・抜け毛で医療機関を受診した場合には、頭皮や毛髪の状態だけでなく、これまでの経過なども確認しながら原因を考えていきます。

たとえば、

・いつ頃から変化が始まったか
・急に抜け始めたのか、徐々に進行したのか
・どの部分に変化があるか
・最近、大きな病気や高熱、手術などがなかったか
・急激な体重変化や食事制限がなかったか
・出産など大きな身体変化がなかったか
・現在服用している薬
・家族に似た薄毛の傾向があるか

などが診断の参考になります。

症状によっては、鉄不足や甲状腺など体の状態が関係していないかを確認するため、血液検査などが検討されることもあります。

AGA(男性型脱毛症)の代表的な治療

AGAは、遺伝的な要因や男性ホルモンの作用などが関係して徐々に進行する脱毛症です。

日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、男性型脱毛症に対する治療として、ミノキシジルの外用が推奨されています。

また、男性ではフィナステリドやデュタステリドの内服も治療の選択肢として推奨されています。

これらは作用の仕組みや使用方法がそれぞれ異なり、副作用や使用できないケースもあります。

AGAが疑われる場合には、食事やシャンプーだけで何とかしようとせず、医学的な治療について相談するという選択肢もあります。

医薬品の使用を検討する場合には、自己判断だけで選ばず、医師や薬剤師などに相談しましょう。

女性型脱毛症にも治療の選択肢がある

女性の薄毛についても、年齢だけが原因とは限りません。

女性型脱毛症に対して、日本皮膚科学会の診療ガイドラインではミノキシジルの外用が推奨されています。

一方、男性型脱毛症で用いられるフィナステリドやデュタステリドは、女性型脱毛症に対しては推奨されていません。

また、女性の薄毛には女性型脱毛症以外の原因が関係することもあるため、気になる変化が続く場合には一度診察を受けることも大切です。

円形脱毛症はAGAとは仕組みも対応も異なる

円形脱毛症は、AGAとは異なる脱毛症です。

現在では、成長期の毛包を主な標的とする自己免疫性疾患と考えられています。

脱毛する範囲や年齢、症状の経過などによって、医療機関で検討される治療方法も異なります。

円形や楕円形の脱毛がみられる場合には、一般的なヘアケアや健康食品だけで対応しようとせず、皮膚科へ相談しましょう。

休止期脱毛では背景となった変化を振り返る

休止期脱毛では、大きな病気や高熱、手術、出産、急激な体重減少、強いストレスなどが、その数か月前に起きている場合があります。

きっかけが一時的なものであれば、時間の経過とともに落ち着くケースもあります。

一方、抜け毛が長く続く場合には、別の要因がないか医療機関で確認することも考えましょう。

「服用している薬が原因かもしれない」と思った場合でも、自己判断で薬を中止しないことが大切です。

気になる場合は、その薬を処方した医師や薬剤師へ相談してください。

発毛剤・育毛剤・健康食品は役割が異なる

薄毛について調べていると、「発毛」「育毛」「髪の健康」といった似た言葉を目にしますが、それぞれ同じ意味ではありません。

発毛を目的とした医薬品、頭皮や毛髪を健やかに保つことを目的とする製品、日々の食生活を補う健康食品では、それぞれ位置づけが異なります。

特に健康食品は、AGAや円形脱毛症などを治療するための医薬品ではありません。

薄毛・抜け毛で覚えておきたいこと

✓ 抜け方や薄くなり方によって原因は異なる
✓ 急な脱毛や長く続く変化は受診を考える
✓ AGAや女性型脱毛症には医学的な治療の選択肢がある
✓ 円形脱毛症はAGAとは異なる脱毛症
✓ 健康食品と医薬品は役割が異なる

ここまで、薄毛・抜け毛の仕組みや主な原因、日常生活で見直したいこと、医療機関への相談について見てきました。

最後の章では、髪と栄養の関係を踏まえながら、健康食品をどのように考えればよいのかを整理します。

あわせて、プロポリス・ローヤルゼリー・プラセンタについても、商品としての効果を説明するのではなく、それぞれの素材の特徴と、毛髪についてどのような研究が行われているのかという視点から確認していきます。

 

 

髪と栄養、健康食品との上手な付き合い方

髪も体の一部であり、その健康を支える基本は毎日の食生活です。

特定の食品や栄養素だけに偏るのではなく、タンパク質を含む食品や野菜、果物、穀類などを組み合わせ、必要な栄養をバランスよく摂ることを基本にしましょう。

健康食品やサプリメントは、普段の食生活を補ったり、自分の健康習慣に合わせて取り入れたりするための選択肢の一つです。

AGAや円形脱毛症などの治療を目的とした医薬品ではありません。

一方、健康食品として利用されている天然素材の中には、毛髪との関係について基礎研究や臨床研究が行われているものもあります。

ここでは、プロポリス・ローヤルゼリー・プラセンタについて、それぞれの素材の特徴と、毛髪に関する研究が現在どの段階にあるのかを見ていきます。

プロポリス|植物由来成分を含むミツバチ由来の天然素材

プロポリスは、ミツバチが植物の芽や樹皮などから集めた樹脂性の物質に、蜜蝋などを加えて作る天然素材です。

ミツバチは、巣の隙間を埋めたり、巣の環境を維持したりするためにプロポリスを利用しています。

プロポリスには、フラボノイドやフェノール類など、さまざまな植物由来成分が含まれています。

ただし、その成分構成は一定ではありません。

原料となる植物、産地、季節、ミツバチの種類などによって含まれる成分は異なります。

そのため、「プロポリスには必ず○種類の成分が含まれている」と一律に考えるのではなく、多様な植物由来成分を含む天然素材として捉えるのが適切です。

プロポリスと毛髪に関する研究の現状

プロポリスと毛髪については、動物や細胞を用いた基礎研究が報告されています。

たとえば、ブラジル産プロポリスを使用した研究では、マウスの皮膚や毛包、毛髪形成に関わる細胞などが調べられています。

こうした研究は、プロポリスに含まれる成分と毛包との関係を研究するための手がかりとなります。

一方で、動物を対象とした研究結果を、そのまま人へ当てはめることはできません。

さらに、皮膚へ使用する研究と、食品として口から摂取することも異なります。

プロポリスと毛髪について研究が行われていても、それだけでプロポリスを摂取することによる人の薄毛・抜け毛への作用を示すものではありません。

毛髪との関係については、今後さらに人を対象とした研究の積み重ねが必要な段階と考えるのがよいでしょう。

ローヤルゼリー|女王蜂を支える特徴的な栄養源

ローヤルゼリーは、働き蜂が分泌する乳白色の物質です。

女王蜂は成虫になってからも、ローヤルゼリーを主要な栄養源とします。

ローヤルゼリーには、タンパク質、糖質、脂質のほか、ビタミンやミネラルなど、さまざまな成分が含まれています。

また、ローヤルゼリーに特徴的な脂肪酸として知られているのが、10-HDA(10-ヒドロキシ-2-デセン酸)です。

こうした特徴から、ローヤルゼリーについてはさまざまな分野で研究が行われています。

ローヤルゼリーと毛髪に関する研究の現状

ローヤルゼリーについては、毛髪との関係を調べた研究も報告されています。

2026年には、髪が薄くなったと感じている成人70人を対象として、ローヤルゼリーエキスを配合した外用製剤を12週間使用するランダム化二重盲検プラセボ対照試験が報告されました。

この研究では、毛髪密度や毛髪の伸長、毛髪の質など複数の項目が評価され、結果は項目によって異なりました。

毛髪密度については、ローヤルゼリー群とプラセボ群との間に明確な有意差は確認されていません。

研究者は、今回の結果について、さらに規模の大きな臨床試験による検証が必要としています。

また、この研究で使用されたのは、ローヤルゼリーエキスを配合した製剤を頭皮に塗布する方法です。

ローヤルゼリーを健康食品として経口摂取した研究ではありません。

同じ素材でも、「皮膚へ使用すること」と「食品として摂取すること」は分けて考える必要があります。

ローヤルゼリーと毛髪との関係についても、今後の研究が待たれる分野です。

プラセンタ|さまざまな分野で研究されてきた素材

プラセンタとは「胎盤」を意味します。

健康食品や化粧品では、胎盤そのものではなく、胎盤から抽出・加工されたプラセンタエキスなどが利用されています。

原料には豚、馬、羊などさまざまなものがあり、原料となる動物や製造方法によっても成分構成は異なります。

一般的なプラセンタエキスには、アミノ酸やペプチドなどさまざまな成分が含まれ、これまで美容・健康分野を含むさまざまな研究が行われてきました。

プラセンタと毛髪に関する研究の現状

プラセンタについても、細胞や動物を用いた研究のほか、人を対象とした毛髪研究が報告されています。

2020年には、女性型脱毛症の女性90人を対象として、牛由来プラセンタを配合した外用ローションとミノキシジル2%外用液を比較したランダム化二重盲検試験が報告されました。

ただし、この研究は対象者数や研究期間などに限界があり、使用されたのも牛由来プラセンタを配合した外用製剤です。

健康食品としてプラセンタを経口摂取した研究ではありません。

さらに、「プラセンタ」と呼ばれる素材には原料となる動物の違いがあり、製造方法や使用方法もさまざまです。

ある種類のプラセンタを外用した研究結果を、別の動物由来のプラセンタや経口摂取へそのまま当てはめることはできません。

プラセンタについても、研究で使用された原料や使用方法、対象となった人などを確認しながら情報を見ることが大切です。

「研究されている」と「健康食品として作用が確認されている」は別

プロポリス、ローヤルゼリー、プラセンタには、それぞれ毛髪との関係を調べた研究があります。

しかし、研究内容を詳しく見ると、その段階や条件は同じではありません。

プロポリス
→ 毛髪については動物や細胞を用いた基礎研究が中心

ローヤルゼリー
→ 人を対象とした外用研究もあるが、研究はまだ限定的

プラセンタ
→ 人を対象とした外用研究もあるが、原料や使用方法が異なるため、経口摂取へそのまま当てはめることはできない

健康や美容に関する研究では、細胞での研究、動物での研究、人を対象とした研究では意味が異なります。

さらに、人を対象とした研究であっても、頭皮へ塗ったものなのか、食品として口から摂取したものなのかによって条件は大きく変わります。

「○○について研究がある」という一部分だけを見るのではなく、何を、誰に、どのような方法で使用した研究なのかまで確認することが大切です。

健康食品を選ぶときに大切にしたいこと

薄毛や抜け毛が気になると、「髪に良い」と紹介されている食品や成分が気になることもあるでしょう。

しかし、健康食品を選ぶ際には、毛髪についての情報だけで判断するのではなく、自分の食生活や健康状態、普段の生活に合っているかという視点を持つことが大切です。

また、天然由来の素材であっても、すべての人に適しているとは限りません。

特にプロポリスやローヤルゼリーなどの蜂由来製品は、体質やアレルギーなどにも注意が必要です。

服薬中の方、治療中の病気がある方、妊娠・授乳中の方などは、健康食品を利用する前に医師や薬剤師などへ相談してください。

複数の健康食品やサプリメントを利用する場合には、商品の原材料や一日の摂取目安量を確認し、同じ成分を重複して摂っていないか確認することも大切です。

まとめ|薄毛・抜け毛は、まず自分の変化を知ることから

髪はヘアサイクルに沿って成長と脱毛を繰り返しているため、毎日ある程度の髪が抜けること自体は自然な現象です。

一方、急に抜け毛が増えたり、髪が細く短くなったり、生え際や分け目などに変化がみられたりする場合には、その背景を考えることが大切です。

AGA・女性型脱毛症、休止期脱毛、円形脱毛症、栄養状態、病気、薬剤、髪への物理的な負担など、同じ「薄毛・抜け毛」でも原因はさまざまです。

髪の健康について覚えておきたいこと

✓ 抜け毛だけでなく、髪の太さや薄くなる場所にも目を向ける
✓ 食事は一つの食品に偏らず、バランスを基本にする
✓ 睡眠や休息を確保し、髪や頭皮へ過度な負担をかけない
✓ 健康食品と医薬品の役割を分けて考える
✓ 研究情報は「対象・使用方法・研究段階」まで確認する
✓ 急な脱毛や長く続く変化は医療機関への相談を考える

プロポリス、ローヤルゼリー、プラセンタなどについても毛髪との関係を調べた研究がありますが、研究条件や使用方法はさまざまであり、健康食品としての経口摂取と同じものとして考えることはできません。

薄毛や抜け毛が気になるときは、特定の成分だけに答えを求めず、まず自分の髪がどのように変化しているのかを確認すること。

毎日の食事や睡眠、休息、ヘアケアなど体全体の健康を大切にしながら、気になる変化が続く場合には皮膚科などの医療機関へ相談しましょう。

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