血糖値とは?基準値・上がる仕組み・食後血糖・HbA1c・GI値をわかりやすく解説

血糖値とは?基準値・上がる仕組み・食後血糖・HbA1c・GI値をわかりやすく解説

OBARASOTARO

「血糖値ってそもそも何?」「基準値はどのくらい?」「甘いものを食べたときだけ上がる?」「HbA1cとは何が違う?」「血糖値スパイクって何?」「GI値が低ければいい?」

血糖値は健康診断でもよく目にする数字ですが、その意味を正しく理解するには、食べたものがどのようにブドウ糖へ変わり、インスリンや肝臓、筋肉によってどのように調節されているのかを知ることが大切です。

また、血糖値には空腹時血糖、食後血糖、随時血糖、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)などさまざまな測定方法があり、HbA1cはその瞬間の血糖値とは違う情報を示します。

この記事では、血糖値とは何か、基準値、食後に上がる仕組み、インスリンと肝臓の働き、食後血糖、いわゆる血糖値スパイク、HbA1c、GI・GL、炭水化物、食物繊維、食べる順番、運動、CGMまで、基礎から分かりやすく解説します。


目次


血糖値とは?

血糖値とは、簡単にいうと血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度です。

「血糖」という名前から、血液中にあるすべての糖類を測っているように思われることがありますが、一般に血糖値として測定しているのはブドウ糖です。

検査結果では血漿ブドウ糖値と書かれていることもあります。

豆知識|「血糖」の正体はブドウ糖

血糖値の「糖」は、家庭で使う砂糖そのものを意味しているわけではありません。

血液中を流れている主な糖として測定されるのはグルコース(ブドウ糖)です。

食事から摂った炭水化物の多くは消化・吸収の過程でブドウ糖などに分解され、体内で利用されます。


ブドウ糖は体にとって大切なエネルギー源

ブドウ糖は、人の体にとって重要なエネルギー源です。

特に脳や筋肉をはじめ、多くの組織がエネルギーを得るために利用しています。

そのため体には、血液中のブドウ糖を必要な範囲に保つための精密な調節機構があります。

その中心となるのが、

  • 膵臓
  • インスリン
  • グルカゴン
  • 肝臓
  • 筋肉

などです。

血糖値では、必要なエネルギーを各組織へ届けながら適切な範囲に保たれることが重要です。


食事をすると血糖値はなぜ上がる?

ご飯、パン、麺類、いも類、果物などに含まれる炭水化物を食べると、消化によって糖質が分解され、小腸から吸収されます。

その結果、ブドウ糖が血液中へ入り、食後には血糖値が上昇します。

これは食事をしたあとの正常な生理反応です。

血糖値が上がると膵臓のβ細胞がその変化を感知し、インスリンを分泌します。

そしてブドウ糖は筋肉などの細胞へ取り込まれたり、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられたりして利用されます。


インスリンは何をしている?

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンです。

食後に血糖値が上昇するとインスリン分泌が増え、

  • 筋肉などへのブドウ糖の取り込みを促す
  • 肝臓からのブドウ糖放出を調節する
  • ブドウ糖をグリコーゲンなどとして蓄える方向へ調節する

といった働きを通じて血糖値の調節に関わります。

豆知識|インスリンには「基礎分泌」と「追加分泌」がある

インスリンは、食事をしたときだけ分泌されるホルモンではありません。

健康な人では、食事をしていない時間にも少量ずつ分泌される基礎分泌と、食後の血糖上昇に合わせて増える追加分泌があります。

この2つの分泌によって、空腹時から食後まで血糖値が調節されています。


食べていない時間も血糖値が保たれる理由

食事をしていない時間には、肝臓が血糖値を保つうえで重要な役割を担っています。

肝臓は、グリコーゲンとして蓄えたブドウ糖を必要に応じて血液中へ放出します。

さらに、乳酸やアミノ酸、グリセロールなどから新たにブドウ糖をつくる糖新生という仕組みもあります。

空腹時にはインスリン分泌が低下し、グルカゴンなどのホルモンが働くことで、必要なブドウ糖が供給されます。

つまり血糖値は、食事から入ってくる糖と、肝臓から供給される糖の両方によって調節されています。


食後血糖とは?

食事をしたあとの血糖値を食後血糖と呼びます。

食後血糖の上がり方は、

  • 炭水化物の量
  • 食品の種類
  • 食物繊維
  • 脂質やたんぱく質との組み合わせ
  • 食べる速度
  • 胃から腸へ食物が移動する速度
  • インスリン分泌
  • インスリンの効きやすさ
  • 食後の身体活動

など、さまざまな要因の影響を受けます。

同じ食品を食べても、食べる量や一緒に食べる料理、個人の代謝状態によって血糖値の動きは変わります。


「血糖値スパイク」とは?

近年よく見かけるのが「血糖値スパイク」「グルコーススパイク」という言葉です。

一般には、食後に血糖値が短時間で大きく上昇し、その後変化する様子を表す言葉として使われています。

医学的な評価では、

  • 食後血糖
  • 食後高血糖
  • 血糖変動
  • 空腹時血糖
  • HbA1c

などを目的に応じて確認します。

豆知識|「血糖値スパイク」は一般的な表現

糖代謝の状態を医学的に評価するときは、空腹時血糖、HbA1c、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)など、所定の検査を組み合わせて確認します。

健康診断の数値を見るときも、どの検査を、どの条件で測定した数字なのかを確認すると理解しやすくなります。


空腹時血糖・随時血糖・OGTTの違い

血糖値は、測定するタイミングによって意味が異なります。

検査 どんな検査? 主に分かること
空腹時血糖 一定時間食事をしていない状態で測定 空腹時の糖代謝状態
随時血糖 食事時間を問わず測定 その時点の血糖値
75gOGTT 75gのブドウ糖を飲み、一定時間後の血糖値を測定 ブドウ糖負荷に対する糖代謝の反応

健康診断では空腹時血糖がよく使われますが、必要に応じてHbA1cやOGTTなどを組み合わせて評価します。


HbA1cとは?血糖値との違い

HbA1cはヘモグロビン・エーワンシーと読みます。

赤血球に含まれるヘモグロビンの一部にブドウ糖が結びついたものを測定する指標です。

血糖値が採血したその時点の状態を示すのに対し、HbA1cはおおむね過去1~2か月程度の平均的な血糖状態を反映する指標として使われます。

豆知識|HbA1cは少し長い時間軸で血糖状態を見る

食事によって血糖値はその都度変化しますが、HbA1cは赤血球とブドウ糖の関係を利用した指標なので、1回の食事だけで大きく変化するものではありません。

そのため血糖値とHbA1cを合わせて見ることで、その時点の状態と、ある程度長い期間の状態を異なる角度から確認できます。

HbA1cは赤血球の状態にも影響される

HbA1cは血糖状態を知る重要な指標ですが、赤血球の寿命や状態によっても値が変化する場合があります。

鉄欠乏、溶血、失血、輸血、腎性貧血の治療などでは、平均的な血糖状態とHbA1cの値がずれることがあります。

鉄については、 「鉄分とは?働き・多い食品・1日の摂取量・不足と鉄サプリの選び方を解説」 でも詳しく紹介しています。


血糖値・HbA1cの基準値はどう読む?

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」では、次の値を「糖尿病型」の基準としています。

検査 糖尿病型の基準
空腹時血糖値 126mg/dL以上
75gOGTT 2時間値 200mg/dL以上
随時血糖値 200mg/dL以上
HbA1c(NGSP) 6.5%以上

これらは糖代謝の状態を医学的に評価するための判定基準です。

実際の診断では、血糖値、HbA1c、症状、過去の検査結果などを確認し、日本糖尿病学会が定める診断手順に沿って判断されます。

豆知識|空腹時血糖100~109mg/dLは「正常高値」

日本糖尿病学会では、空腹時血糖値100~109mg/dLを、正常域の中でも「正常高値」として区別しています。

また、空腹時血糖110~125mg/dLなどでは、必要に応じて75gOGTTを行い、糖代謝の状態を詳しく評価します。

豆知識|「診断基準」と「治療目標」は目的が違う

糖尿病型を判定するための診断基準と、糖尿病と診断された人が治療中に目指す血糖管理目標は、それぞれ目的が異なります。

治療目標は、年齢、治療内容、低血糖のリスク、合併症、生活状況などを考慮して個別に設定されます。

そのため健康診断の基準値と、すでに治療を受けている人の管理目標を同じ数字として見るのではなく、何のための数値なのかを確認することが大切です。


日本ではどのくらい糖代謝異常がみられる?

厚生労働省の令和6年(2024年)国民健康・栄養調査では、

  • 「糖尿病が強く疑われる者」:推計約1,100万人
  • 「糖尿病の可能性を否定できない者」:推計約700万人

と報告されています。

この調査上の区分は、集団の健康状態を把握するための統計上の分類です。

一人ひとりの診断は、医療機関で行う血糖値やHbA1cなどの検査をもとに判断されます。

また、年齢が上がるほど「糖尿病が強く疑われる者」の割合が高くなる傾向も報告されています。


血糖値に影響するのは「砂糖」だけではない

血糖値について考えるとき、「甘いもの」に注目しがちですが、食後血糖に大きく関わる栄養素は炭水化物です。

ご飯、パン、麺、いも類などに多く含まれるでんぷんも、消化されるとブドウ糖になります。

一方、炭水化物には、

  • 糖質
  • 食物繊維

が含まれます。

糖質と食物繊維では体内での消化・吸収のされ方が異なるため、同じ「炭水化物」でも役割は同じではありません。

豆知識|甘くないでんぷんもブドウ糖になる

白いご飯や食パンは砂糖のような強い甘味を感じませんが、でんぷんを多く含みます。

でんぷんは多数のブドウ糖がつながった構造をしており、消化によって分解されて吸収されます。

そのため血糖値を考えるときは、「甘いかどうか」だけでなく、含まれる炭水化物の種類や量を見ることが大切です。


GI値とは?

GIはGlycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、日本語では血糖指数とも呼ばれます。

炭水化物を含む食品を食べたあと、血糖値がどの程度上昇するかを基準食品と比較して数値化したものです。

一般に、

  • GIが高い食品:食後血糖が比較的速く上がりやすい
  • GIが低い食品:食後血糖の上昇が比較的緩やか

という傾向を示します。

ただしGIは、食品の特徴を見るためのひとつの指標です。

実際の食事では、食品の量、調理方法、熟度、食物繊維、脂質・たんぱく質との組み合わせなどによって血糖反応が変わります。

日本糖尿病学会の一般向け資料でも、低GI食品を積極的に取り入れることによる糖尿病管理上の有用性については、研究結果を踏まえながら慎重に評価する必要があるとされています。

そのため、GIだけで食品を評価するのではなく、食事全体の量・栄養バランス・組み合わせを見ることが実用的です。


GL(グリセミックロード)とは?

GIと一緒に知っておくと面白い指標がGL(Glycemic Load/グリセミックロード)です。

GIは食品に含まれる炭水化物の性質を比較する指標ですが、実際の食事ではどのくらいの量を食べるかも重要です。

GLは、

GI × 1食分に含まれる利用可能な炭水化物量(g)÷100

という考え方で、GIと炭水化物量の両方を取り入れます。

豆知識|GIが同じでも「食べる量」でGLは変わる

同じGIの食品でも、少量食べる場合と多く食べる場合では、摂取する炭水化物量が異なります。

GLは、「食品の性質」と「実際に食べる炭水化物量」の両方を見るための指標です。

GIやGLも食事を評価する一部分なので、食物繊維、栄養バランス、食事量などと合わせて考えます。


食物繊維と食事全体の組み合わせ

食事と血糖値を考えるときに大切なのは、特定の食品だけを取り上げることではなく、食事全体の構成を見ることです。

食物繊維を含む食品としては、

  • 野菜
  • 豆類
  • 海藻
  • きのこ
  • 全粒穀物
  • 果物

などがあります。

また、炭水化物を単独で食べる場合と、たんぱく質、脂質、食物繊維を含む料理と一緒に食べる場合では、消化・吸収の速度や食後血糖の動きが異なることがあります。

特定の食品だけに注目するより、主食・主菜・副菜などを組み合わせた食事として考える方が、日常生活には取り入れやすくなります。


食べる順番は関係する?

食後血糖については、食べる順番も研究されています。

日本糖尿病学会の一般向け情報では、食事療法の工夫のひとつとして、肉・魚などのおかずや野菜を、ご飯・パンなど炭水化物を多く含む主食より先に食べる方法が紹介されています。

また、ゆっくりよく噛んで食べることも食生活を整えるポイントのひとつです。

食べる順番と合わせて、

  • 食事量
  • 炭水化物量
  • 食物繊維
  • たんぱく質
  • 脂質
  • 食事時間
  • 食べる速さ

などを見ることで、食事全体をよりバランスよく考えられます。


運動と血糖値の関係

筋肉はブドウ糖を利用する主要な組織のひとつです。

身体を動かすと、筋肉でのエネルギー利用が増え、ブドウ糖も利用されます。

また、継続的な運動はインスリンの働きや糖代謝との関係でも研究されています。

日本糖尿病学会では、糖尿病の運動療法について、食後の運動によって筋肉でのブドウ糖利用が増え、食後血糖の調節に関わることを説明しています。

健康な人にとっても、日常的に身体活動を確保することは健康づくりの基本のひとつです。

糖尿病治療中の方では、使用している薬やインスリン、合併症などによって、運動のタイミングや内容を調整する必要がある場合があります。

治療中の場合は、運動の種類・時間・タイミングについて医師などの医療専門家へ確認してください。


CGMで測っているものは?

近年よく聞くようになったのがCGM(Continuous Glucose Monitoring/持続グルコースモニタリング)です。

腕などに小型センサーを装着し、グルコースの変化を連続的に確認できる機器があります。

豆知識|CGMは「間質液」のグルコースを測る

CGMは、皮膚の下にある間質液中のグルコース濃度をセンサーで測定し、その変化を連続的に表示します。

血液中のブドウ糖濃度の変化が間質液へ反映されるまでには時間差があるため、血糖値とCGMの値に違いが生じることがあります。

日本糖尿病学会の2026年改訂版「持続グルコースモニタリングデバイス適正使用指針」でも、CGMは間質液中のグルコースを測定する機器として説明されています。

糖尿病の診断には医療機関での血液検査を用いる

日本糖尿病学会の診断基準では、糖尿病の診断に使用する高血糖判定値には医療機関で測定した静脈血漿値を用います。

CGMは、日常生活の中でのグルコース変動を詳しく把握するために利用される機器です。

そのデータの意味や使い方は、使用目的や治療状況によって異なります。


健康診断で血糖値が気になったら

健康診断で血糖値やHbA1cが気になった場合は、まず、

  • 空腹時に測定したのか
  • 食後や随時の測定なのか
  • HbA1cはいくつだったのか
  • 過去の検査からどのように変化しているか

を確認します。

血糖値は食事や測定時間の影響を受けるため、HbA1cや必要に応じた再検査と合わせて評価することで状態を把握しやすくなります。

医療機関から再検査や受診を勧められた場合は、検査結果を持参して医師へ相談し、必要な検査を受けましょう。


まとめ|血糖値は「1回の数字」だけでなく仕組みを見る

血糖値は、食事、インスリン、肝臓、筋肉などの働きによって常に調節されています。

この記事のポイントを整理すると、

  • 血糖値は血液中のブドウ糖濃度を表す
  • 食後は炭水化物由来のブドウ糖が吸収され、インスリンなどによって調節される
  • 空腹時には肝臓からブドウ糖が供給され、必要な血糖値が保たれる
  • HbA1cは、その時点の血糖値とは異なり、過去1~2か月程度の平均的な状態を反映する
  • 診断基準と、糖尿病治療中の血糖管理目標は目的が異なる
  • GIは食品の特徴を見る指標で、GLは実際に食べる炭水化物量も含めて考える
  • 食事では炭水化物だけでなく、食物繊維・たんぱく質・脂質・量・食べ方まで合わせて見る
  • CGMは間質液のグルコースを測定し、糖尿病の診断には医療機関での血液検査を用いる

血糖値について知るときは、数字の高低だけでなく、いつ測った数値なのか、食後なのか空腹時なのか、HbA1cはどうなのか、体内でどのように調節されているのかまで理解すると、健康診断の結果も読みやすくなります。


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主な参考情報

  • 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
  • 日本糖尿病学会「糖尿病治療の手びき2026」
  • 日本糖尿病学会「糖尿病ってどんな病気?」
  • 日本糖尿病学会「2型糖尿病はどのように治療するのか?」
  • 日本糖尿病学会「健康食スタートブック ~生活の質向上を目指して~」
  • 日本糖尿病学会「持続グルコースモニタリングデバイス適正使用指針」2026年改訂版
  • 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「血糖値」「HbA1c」
  • Harvard T.H. Chan School of Public Health. Carbohydrates and Blood Sugar.
  • National Library of Medicine MeSH. Glycemic Load.

ご注意

本記事は、血糖値、HbA1c、食後血糖、GIなどについての一般的な健康・栄養情報を分かりやすく紹介することを目的としています。

疾病の診断・治療・治癒・予防を目的としたものではなく、特定の食品、健康食品、サプリメントについて血糖値を下げる、糖尿病を予防・改善するなどの効果を示すものでもありません。

糖尿病や耐糖能異常の診断は、医療機関で血糖値、HbA1c、75gOGTT、症状、既往歴などを総合して行われます。

健康診断で血糖値やHbA1cについて再検査・受診を勧められた場合や、口渇、多飲、多尿、体重減少など気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。

糖尿病治療中の方は、食事内容や運動量を大きく変更すると、使用している薬やインスリンとの関係で低血糖などが起こる場合があります。食事・運動・測定方法については、主治医や管理栄養士などの医療専門家へご相談ください。

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