「ビタミンCって、結局どんな栄養素?」
レモンやキウイフルーツなどの果物、
美容、コラーゲン、サプリメント――。
ビタミンCは、数あるビタミンの中でも
最も身近な栄養素のひとつではないでしょうか。
身近な存在だからこそ、
少し詳しく見ていくと
「果物に多い水溶性ビタミン」という一言では収まらない、
奥深い世界が広がっています。
たとえば、
- なぜ人間はビタミンCを食事から摂る必要があるのか?
- なぜコラーゲンをつくる工程にビタミンCが必要なのか?
- 植物性食品に含まれる鉄と組み合わせると、どんな意味があるのか?
- 摂取量と吸収・排泄にはどのような関係があるのか?
- 加熱、保存、乾燥によってビタミンCはどう変化するのか?
- 果物の酸っぱさとビタミンC量にはどんな関係があるのか?
- ローズヒップにはビタミンC以外にどんな成分があるのか?
- ハイビスカスの鮮やかな赤色と酸味は何から生まれるのか?
- キウイ、ベリー、マンゴー、グレープフルーツにはどんな植物成分があるのか?
- ローズヒップ果実とローズヒップオイルでは、なぜ注目する成分が変わるのか?
こうした疑問をひとつずつたどっていくと、
ビタミンCそのものから、
果物、ハーブ、植物色素、コラーゲン、食品加工、美容まで知識がつながっていきます。
この記事では、
ビタミンCの基本的な働きから、必要量、吸収、食品、調理・保存、
ローズヒップ、ハイビスカス、キウイフルーツ、ベリー、マンゴー、
グレープフルーツ、美容、ローズヒップオイルまで、
ビタミンCをひとつの記事で深く理解できる完全版として詳しく見ていきます。
1. ビタミンCとは?人間が食事から摂る必要がある理由
ビタミンCは、
水溶性ビタミンのひとつです。
化学的には主に
L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)
として知られています。
体内では、
さまざまな酵素反応を支える補助因子として働くほか、
酸化還元反応にも関わる重要な栄養素です。
そして人間には、
ビタミンCについて大きな特徴があります。
私たちは必要なビタミンCを食品から摂取する生物です。
多くの哺乳類はビタミンCを体内で合成する
人間にとって、
ビタミンCは果物や野菜などの食品から摂る栄養素です。
ところが動物の世界まで視野を広げると、
多くの哺乳類は
体内でビタミンCを合成する仕組みを持っています。
一方、
人間を含む高等霊長類、
モルモット、一部のコウモリなどでは、
進化の過程でその合成能力が失われています。
最後の一工程に関わる「GULO」
多くの動物では、
糖から複数の代謝反応を経て
ビタミンCがつくられます。
その最終段階に関わる酵素が、
L-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼ
(L-gulonolactone oxidase:GULO)です。
人間では、
この酵素を正常につくるための遺伝子が
機能する形では残っていません。
そのため、
体内で利用するビタミンC
↓
果物・野菜などの食品から摂取
という栄養上の特徴を持っています。
果物や野菜を食べるという日常的な行動は、
実は
人間の進化と栄養の仕組みにまでつながっている
のです。
ビタミンCとアスコルビン酸はどう違う?
食品表示やサプリメントを見ると、
- ビタミンC
- アスコルビン酸
- アスコルビン酸ナトリウム
- アスコルビン酸カルシウム
などの名前を見ることがあります。
一般に「ビタミンC」と呼ばれる中心的な化合物が、
L-アスコルビン酸です。
アスコルビン酸ナトリウムや
アスコルビン酸カルシウムは、
アスコルビン酸を塩の形にしたものです。
食品、栄養補助食品、食品添加物などでは、
用途や製品設計に応じて
こうした異なる形が利用されています。
「水溶性ビタミン」とはどういう意味?
ビタミンは大きく、
-
水溶性ビタミン ― 水になじみやすい
-
脂溶性ビタミン ― 油になじみやすい
という性質に分けて考えることができます。
ビタミンCは
水溶性ビタミンです。
この「水になじみやすい」という特徴は、
体内での吸収や排泄に加えて、
食品を調理・加工するときにも関係します。
たとえば、
- 洗う
- 切る
- ゆでる
- 煮る
- 乾燥する
- 保存する
- お茶として抽出する
といった工程です。
ビタミンCの性質を知ることは、
食品からどう摂るかを考える入口にもなります。
2. ビタミンCは体内で何をしている?コラーゲン・鉄・抗酸化などとの関係
ビタミンCには、
果物に含まれる身近なビタミンというイメージがあります。
その一方で体内では、
複数の重要な生化学反応に関わる栄養素
として利用されています。
代表的なものには、
- コラーゲン形成
- 抗酸化に関わる反応
- 非ヘム鉄の利用
- カルニチン合成
- 一部の神経伝達物質などの合成
- 免疫系の細胞や生理反応との関係
などがあります。
コラーゲンとビタミンC|材料を組み立てる工程を支える
美容の世界で、
ビタミンCと一緒によく登場するのが
コラーゲンです。
コラーゲンはタンパク質なので、
基本的な材料になるのはアミノ酸です。
ビタミンCは、
コラーゲンがつくられる途中で働く
プロリルヒドロキシラーゼやリシルヒドロキシラーゼ
といった酵素反応を支える補助因子として重要です。
これらの反応によって、
コラーゲン分子は安定した構造を形成しやすくなります。
分かりやすくすると、
アミノ酸 = コラーゲンをつくる材料
ビタミンC = 材料を適切に組み立てる工程を支える栄養素
という関係です。
ビタミンCとコラーゲンの関係は、
美容に加えて、
皮膚、血管、骨、軟骨など結合組織を理解する基礎的な栄養学
にもつながります。
壊血病から分かる、ビタミンCと結合組織の関係
ビタミンCが長期間不足したときに知られている代表的な欠乏症が、
壊血病(scurvy)です。
歴史上、
長い航海によって新鮮な果物や野菜を十分に摂れなかった船員などで
大きな問題となりました。
ビタミンCが不足すると、
正常なコラーゲン形成に必要な反応を
十分に支えにくくなります。
その結果、
歯ぐき、皮膚、血管など
結合組織に関係するさまざまな症状が現れます。
ビタミンCは、人間の組織を正常に保つ仕組みに関わる
基礎的な栄養素のひとつです。
抗酸化|電子を受け渡すビタミンC
ビタミンCは、
生理的な抗酸化物質としても知られています。
私たちの体では、
呼吸やエネルギー代謝など
日常的な生命活動の中でも
さまざまな活性酸素種が生じます。
活性酸素種は、
細胞の情報伝達や生体防御にも利用されています。
体内では、
その生成と処理のバランスを保つために
複数の抗酸化システムが働いています。
ビタミンCも、
電子を受け渡す酸化還元反応を通じて
その抗酸化ネットワークの一部を担っています。
さらに、
ビタミンEなど
他の抗酸化物質との相互関係についても研究されています。
植物性食品の鉄とビタミンC
食事の組み合わせとして知っておきたいのが、
鉄との関係です。
食品に含まれる鉄は、
大きく
に分けて考えることができます。
豆類、穀類、野菜などの植物性食品には、
主に非ヘム鉄が含まれています。
ビタミンCは、
食事中の非ヘム鉄を
腸管で吸収されやすい形へ変える反応に関わります。
そのため、
植物性食品とビタミンCを含む食品を
同じ食事の中で組み合わせるという考え方があります。
たとえば、
- 豆料理 + パプリカ
- 豆腐 + ブロッコリー
- 穀類や豆類 + キウイフルーツ
- 植物性食品中心の食事 + ビタミンCを含む果物
といった組み合わせです。
ひとつの栄養素だけを見るのではなく、
食品同士の組み合わせを見る。
これも栄養を考えるうえで大切な視点です。
免疫系との関係|細胞や生理反応の研究
ビタミンCは、
免疫系を構成するさまざまな細胞や
生理反応にも関わっています。
この分野では、
免疫系の細胞機能や生理反応とビタミンCの関係
について、さまざまな研究が行われています。
ここで大切なのは、
ビタミンCそのものの
生理的な役割と、
風邪など特定のテーマについて行われた
ヒト研究の結果を分けて見ることです。
ビタミンCと風邪については
多くの研究が行われていますので、
第8章で研究条件とともに詳しく整理します。
カルニチンや一部の神経伝達物質の合成にも関わる
ビタミンCの働きは、
コラーゲン形成だけにとどまりません。
脂肪酸をミトコンドリアへ運ぶ仕組みに関係する
カルニチンの合成にも関わります。
さらに、
一部の神経伝達物質などをつくる酵素反応でも
補助因子として利用されます。
こうして見ると、
ビタミンCは
複数の酵素反応と酸化還元反応に関わり、
体内で幅広く利用されるビタミン
であることが分かります。
3. どのくらい必要?吸収・排泄・不足・摂り方を詳しく見る
では、
ビタミンCは一日にどのくらい必要なのでしょうか。
日本では成人の推奨量は1日100mg
厚生労働省の
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、
成人のビタミンC推奨量は
男女とも1日100mgとされています。
日々の食生活の中で、
継続して必要量を確保していくことが基本です。
100mgは身近な食品を組み合わせて摂る
ビタミンCは、
などに含まれています。
キウイフルーツ、いちご、柑橘類、
パプリカ、ブロッコリーなどは、
日常の食事にも取り入れやすい食品です。
複数の食品を組み合わせることで、
朝・昼・夜の食事から少しずつ積み重ねることができます。
摂取量・吸収・排泄は体内で調節されている
ビタミンCの吸収には、
摂取量によって変化する特徴があります。
腸管では、
ビタミンCを取り込む輸送体などが関わっています。
摂取量が増えるにつれて、
吸収される割合や
体内に保持される割合も変化します。
吸収されたビタミンCは、
血液を通じてさまざまな組織へ運ばれます。
さらに腎臓では、
必要に応じた再吸収と
尿への排泄が行われます。
つまり、
摂取
↓
腸管からの吸収
↓
血液による輸送
↓
組織への取り込み
↓
腎臓での再吸収と排泄
という複数の仕組みによって
体内濃度が調節されています。
「摂った量」と「体内に保持される量」は、
吸収と排泄を含む体内の調節機構によって決まります。
朝・夜・食前・食後|時間より継続を意識する
食品からビタミンCを摂る場合は、
特定の時間だけに集中させるより、
一日の食事の中へ果物や野菜を継続して取り入れる
という考え方が実用的です。
サプリメントを利用する場合は、
製品に記載された一日の目安量や
使用方法を基本にします。
不足を考えるときは「食生活全体」を見る
ビタミンCは、
果物や野菜などをほとんど摂らない食生活が長期間続くと、
不足につながることがあります。
一方、
さまざまな果物や野菜を日常的に取り入れることで、
複数の食品からビタミンCを摂取できます。
そこで、
「今日はレモンを食べたか?」より、
「普段の食生活に果物や野菜が継続して入っているか?」
という視点で見ると分かりやすくなります。
サプリメントでは「配合量」まで確認する
サプリメントでは、
食品よりもまとまった量のビタミンCを
摂取できる製品もあります。
高用量を摂取した場合、
人によっては
などの消化器症状が現れることがあります。
また、
鉄を体内へ蓄積しやすい
遺伝性ヘモクロマトーシスなど、
高用量のビタミンCについて
医療上の注意が必要なケースもあります。
サプリメントを見るときは、
食生活、1回量、一日の配合量、
他のサプリメントとの重複、
自分の健康状態
を合わせて確認すると分かりやすいでしょう。
4. 食品のビタミンC|熱・水・保存・乾燥でどう変わる?
「ビタミンCは熱に弱い」
という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。
実際には、
食品中のビタミンCがどの程度保たれるかには、
温度だけでなく複数の条件が関係します。
- 加熱温度
- 加熱時間
- 水との接触
- 酸素
- 光
- 食品の切り方
- 保存温度
- 保存期間
- 食品そのものの性質
こうした条件が組み合わさって、
調理・保存後のビタミンC量が変化します。
加熱時間と水への溶出を見る
ビタミンCは、
加熱条件によって分解が進むことがあります。
さらに水溶性という性質から、
ゆでる調理では
食品から調理水へ移ることもあります。
たとえば、
野菜を多量の水で長時間ゆでると、
加熱による変化と
水への溶出の両方が関係します。
一方、
スープや煮込み料理のように
調理液ごと食べる料理では、
水へ移った成分も一緒に摂ることができます。
調理法だけでなく「調理した水をどう使うか」まで見る
と、より実用的です。
切った後の保存もビタミンCに関係する
果物や野菜を切ると、
食品内部が空気に触れる面積が増えます。
ビタミンCは酸化の影響も受けるため、
食べる少し前に切ることで
保存中の変化を小さくできます。
冷蔵などの保存温度や
保存期間も、
ビタミンCの保持に関係します。
生・蒸す・煮る・焼く|いろいろな調理法を楽しむ
果物や生野菜は、
ビタミンCを摂る分かりやすい選択肢です。
同時に、
温かい料理、蒸し野菜、スープなどにも
食べやすさや栄養面でそれぞれの特徴があります。
食品には、
- 食物繊維
- ミネラル
- カロテノイド
- ポリフェノール
- その他のビタミン
なども含まれています。
ビタミンCの残存量だけで料理全体を評価するより、
生・蒸す・煮る・焼くなど
さまざまな調理法を組み合わせる
という考え方が実用的です。
乾燥果実やハーブティーでは「加工後」を見る
ローズヒップやハイビスカスなどを知るうえで、
ここは重要なポイントです。
植物は、
生の状態
↓
乾燥・加工
↓
保存
↓
お湯による抽出
という工程を経ることで、
成分の状態や量が変化します。
生果実の食品成分表に記載されているビタミンC量と、
一杯のティーに含まれる量は、
それぞれ別の条件で考えます。
ティーとして実際にどの程度のビタミンCが含まれるかを知るには、
抽出後の飲料そのものを分析した値
を見るのが最も確実です。
酸味は「複数の有機酸」から生まれる
ビタミンCの化学名は
アスコルビン酸です。
果物やハーブの酸味には、
なども関わっています。
食品の酸っぱさは、
ビタミンCを含めた複数の有機酸がつくる味
として理解すると分かりやすくなります。
この考え方は、
ローズヒップ、ハイビスカス、
グレープフルーツなどを詳しく見るときにも役立ちます。
5. ローズヒップ|ビタミンCだけではない赤い果実の世界
ビタミンCについて調べると、
よく登場する植物のひとつが
ローズヒップです。
「ビタミンCの宝庫」
「ビタミンCの爆弾」
といった呼び方でも知られ、
ハーブティーや食品素材として長く利用されてきました。
ローズヒップを詳しく知るなら、
「レモンの○倍」「オレンジの○倍」という比較だけではなく、
植物の種類、成熟度、加工方法、そして他の植物成分まで見る
と、その個性がよく分かります。
ローズヒップは「バラの実」
ローズヒップは、
バラの花が咲いたあとに形成される
果実状の部分です。
食用やハーブ用途では、
Rosa caninaをはじめ、
複数のRosa属植物が利用されています。
成熟すると赤〜橙色になり、
など、
さまざまな形に加工されています。
ローズヒップのビタミンC量は種類・成熟度・加工で変わる
ローズヒップには、
高濃度のビタミンCが報告されているものがあります。
分析値には幅があり、
その違いには、
- 植物の種類・品種
- 栽培地域
- 気候
- 成熟度
- 収穫時期
- 生果実か乾燥原料か
- 乾燥方法
- 加工方法
- 保存条件
などが関係します。
そのためローズヒップは、
種類や状態によってビタミンC量が変化する、
ビタミンCを特徴的に含む植物素材
として見ると分かりやすいでしょう。
赤〜橙色の果実にあるカロテノイド
ローズヒップを詳しく見ると、
ビタミンCとともに
カロテノイドも登場します。
カロテノイドは、
植物の黄色、橙色、赤色などに関係する
脂溶性の色素成分です。
ローズヒップの赤〜橙色も、
こうした植物色素の存在と関係しています。
見た目の色からも、
ビタミンCとは性質の異なる植物成分
の存在が見えてきます。
フラボノイドやプロアントシアニジンなどのポリフェノール
ローズヒップでは、
- フラボノイド
- プロアントシアニジン
- その他のフェノール性化合物
なども分析されています。
ポリフェノールは、
植物がつくり出す非常に大きな化合物群です。
同じローズヒップでも、
種類、栽培条件、成熟度、加工方法によって
その構成は変化します。
ビタミンC+カロテノイド+ポリフェノール+有機酸。
このように見ると、
ローズヒップは
複数の植物成分が共存する果実
として、より立体的に理解できます。
ローズヒップの爽やかな酸味にも有機酸が関わる
ローズヒップの爽やかな酸味には、
アスコルビン酸に加えて、
クエン酸やリンゴ酸など
複数の有機酸が関係します。
その味わいも、
ローズヒップに含まれる
さまざまな成分が組み合わさって生まれる個性
のひとつです。
ローズヒップティーでは「抽出される成分」を見る
乾燥したローズヒップをティーとして利用すると、
果実に含まれる成分のうち
水へ溶けやすい成分がお湯へ移ります。
抽出される量には、
- 原料の大きさ
- 使用量
- 乾燥方法
- 保存状態
- 湯温
- 抽出時間
などが関係します。
一方、
抽出後の果実部分には
食物繊維など
水へ移りにくい成分も残ります。
果実そのものを見るのか。
乾燥原料を見るのか。
抽出したティーを見るのか。
によって、
注目する成分や量が変わってきます。
ローズヒップオイルでは「油になじむ成分」に注目
ローズヒップには、
果実やティーとは異なる利用方法として
ローズヒップオイルがあります。
ビタミンCは水溶性なので、
オイルでは脂肪酸やトコフェロール、
カロテノイドなど、
油相に存在する成分へ視点を移します。
同じローズヒップでも、
利用する部分や加工方法によって
注目する成分が変わるところが興味深いポイントです。
ローズヒップオイルについては、
第9章で植物油としての成分や
スキンケアでの使われ方まで詳しく見ていきます。
6. ハイビスカス|赤い色と酸味の正体を知る
ローズヒップと並んで、
赤いハーブティーの代表として知られているのが
ハイビスカスです。
鮮やかなルビー色と爽やかな酸味が印象的ですが、
この個性を詳しく見ていくと、
アントシアニン、有機酸、ビタミンCなど
複数の植物成分が関わっていることが分かります。
ハーブティーで使われる代表種は「ローゼル」
ハーブティーや食品用途で広く利用されている代表的な植物が、
Hibiscus sabdariffa L.です。
日本では
ローゼル
という名前でも知られています。
一般的なハイビスカスティーで使われる赤い部分は、
主に花びらではなく、
花が咲いたあとに発達する肉厚な萼(がく)や副萼です。
この部分を乾燥すると、
鮮やかな赤色と特徴的な酸味を持つ
ハーブ素材になります。
ルビー色をつくるアントシアニン
ハイビスカスの鮮やかな赤色に大きく関わっているのが、
アントシアニンです。
Hibiscus sabdariffaでは、
代表的な色素として、
- デルフィニジン-3-サンブビオシド
- シアニジン-3-サンブビオシド
などが知られています。
アントシアニンは
ポリフェノールの一群で、
植物の赤・紫・青系の色に関係します。
そのため、
ハイビスカスの赤
ブルーベリーの青紫
ブラックベリーやカラントの赤紫
には、
共通してアントシアニンという
植物色素の世界が広がっています。
酸味には「ハイビスカス酸」などの有機酸も関わる
ハイビスカスティーの特徴的な酸味には、
複数の有機酸が関係しています。
代表的なものとして、
などがあります。
中でも
ハイビスカス酸は、
ローゼルを特徴づける有機酸のひとつとして研究されています。
第4章で見たように、
食品の酸味は、
複数の有機酸が組み合わさって生まれる味です。
ハイビスカスは、
そのことを実感しやすい植物素材のひとつです。
ビタミンCも、ハイビスカスを構成する成分のひとつ
ローゼルの萼からは、
ビタミンC(アスコルビン酸)も報告されています。
植物そのものに含まれている量と、
一杯のハーブティーに抽出される量は、
それぞれ異なる条件で考えます。
実際のティーでは、
- 植物の種類
- 栽培環境
- 収穫時期
- 乾燥方法
- 保存期間
- 原料の使用量
- 湯温
- 抽出時間
などによって成分量が変化します。
そのためハイビスカスは、
アントシアニン・有機酸・ビタミンCなどを含む
複合的な植物素材
として見ると、その個性がよく分かります。
ホットとアイス|温度によって楽しみ方も変わる
ハーブティーで抽出される成分には、
水になじみやすいアントシアニンや有機酸などがあります。
ビタミンCは熱や酸素の影響を受けますが、
ハーブティーには
それぞれ性質の異なる多様な植物成分が存在します。
ホットでは香りと酸味をゆっくり楽しみ、
アイスでは鮮やかな赤色と爽やかさを楽しむ。
成分だけでなく、
色・香り・味まで含めて植物を楽しめるのが
ハーブティーの魅力です。
7. キウイ・ベリー・マンゴー・グレープフルーツ|果物から見るビタミンCと植物成分
ここまで、
ローズヒップとハイビスカスという
ハーブ素材を見てきました。
ここからは、
より身近な果物へ視点を広げます。
取り上げるのは、
- キウイフルーツ
- ベリー類
- マンゴー
- グレープフルーツ
です。
ここで注目したいのは、
それぞれの果物が持つ「ビタミンC+α」です。
果物には、
ビタミンCと一緒に
食物繊維、ミネラル、カロテノイド、ポリフェノール、
有機酸、香気成分などが共存しています。
| 果物・植物素材 |
ビタミンCとの関係 |
一緒に注目したい成分 |
| キウイフルーツ |
代表的なビタミンC源 |
食物繊維、カリウム、葉酸、ビタミンE、カロテノイド、アクチニジン |
| いちご |
ビタミンCを含む身近な果物 |
葉酸、アントシアニン、エラグ酸など |
| ブルーベリー・ブラックベリー・カラントなど |
種類によって含有量が異なる |
アントシアニン、フラボノイド、その他のポリフェノール |
| マンゴー |
ビタミンCを含む南国果実 |
βカロテンなどのカロテノイド、葉酸、ビタミンE、カリウム |
| グレープフルーツ |
ビタミンCを含む柑橘類 |
ナリンギンなどのフラボノイド、有機酸、香気成分 |
キウイフルーツ|グリーンとゴールドでも栄養の個性が違う
ニュージーランドを代表する果物のひとつが、
キウイフルーツです。
日本食品標準成分表では、
生の可食部100gあたりのビタミンCは、
とされています。
同じ「キウイフルーツ」でも、
品種によって含まれるビタミンC量が異なることが分かります。
さらにキウイには、
- 食物繊維
- カリウム
- 葉酸
- ビタミンE
- カロテノイド
なども含まれています。
キウイフルーツは、
ビタミンCを中心に複数の栄養成分を一緒に食べられる果物
として見ることができます。
キウイ特有の酵素「アクチニジン」
グリーンキウイをさらに深く見ると、
アクチニジン(actinidin)
という酵素が登場します。
アクチニジンは、
タンパク質を分解する
プロテアーゼの一種です。
生のキウイを肉料理の下ごしらえに利用すると
肉がやわらかくなりやすいのも、
こうしたタンパク質分解酵素の性質と関係します。
アクチニジンの量は品種によって異なり、
一般にグリーン系で特徴的に見られます。
ビタミンCから少し視点を広げると、
果物の中にはビタミンだけでなく酵素も存在する
ことが分かります。
緑と黄色|キウイの果肉色にも植物色素がある
グリーンキウイの緑色には、
クロロフィルが関係します。
ゴールド系では、
クロロフィルの量やカロテノイドなどの色素構成の違いによって、
黄色〜黄金色の果肉になります。
同じ果物でも、
ビタミンC量・酵素・植物色素まで見ると、
品種ごとの違いがより立体的に見えてきます。
ベリー類|「ベリー」という名前でも成分構成はさまざま
ベリー類は、
ビタミンCと植物色素の両方を見るのに
とても面白い食品群です。
一般に「ベリー」と呼ばれる果物には、
- いちご
- ブルーベリー
- ブラックベリー
- エルダーベリー
- レッドカラント
- ブラックカラント
などがあり、
植物学的な分類も成分構成もさまざまです。
いちご|ビタミンCに加えて葉酸やポリフェノール
いちごは、
身近な果物の中でも
ビタミンCを含む食品として知られています。
さらに、
- 葉酸
- アントシアニン
- エラグ酸などのポリフェノール
にも注目できます。
赤い果実色にも、
植物がつくり出す色素成分が関係しています。
ブルーベリー|青紫色をつくる多様なアントシアニン
ブルーベリーの特徴的な青紫色には、
アントシアニンが関係しています。
アントシアニンにも多くの種類があり、
ブルーベリーでは
デルフィニジン、シアニジン、マルビジンなどに由来する
複数のアントシアニンが研究されています。
つまり、
「アントシアニン」という単一の化合物を見るのではなく、
複数のアントシアニン化合物の組み合わせ
として見ることができます。
品種、成熟度、栽培環境などによって、
その構成や含有量にも違いが生まれます。
ブラックベリー|濃い色と複数のポリフェノール
ブラックベリーも、
アントシアニンを含む濃色果実です。
さらに、
エラグ酸やエラジタンニンなど
ほかのフェノール性化合物も研究されています。
黒に近い深い紫色も、
複数の植物成分から成り立つ果実の個性
として見ることができます。
カラント|赤と黒で色素の個性も変わる
カラントには、
レッドカラントやブラックカラントなどがあります。
特にブラックカラントは、
濃い紫色に関係するアントシアニンを含み、
ビタミンCを特徴的に含む果実としても知られています。
同じカラントでも、
果実の色によって
植物色素の構成に違いがあります。
ベリー類は
「ビタミンC+色素+ポリフェノール」という視点から見ることで、
果実ごとの個性がより分かりやすくなります。
マンゴー|熟すにつれて変わる「色」と成分
南国フルーツの代表格、
マンゴーにもビタミンCは含まれています。
さらに、
マンゴーを見るうえで重要なのが
カロテノイドです。
代表的なものとして、
βカロテンなどが知られています。
カロテノイドは、
黄色〜橙色をつくる
脂溶性色素の一群です。
マンゴーが熟すにつれて、
果皮や果肉の色が変化していく背景には、
クロロフィルやカロテノイドなど
植物色素の変化が関わっています。
マンゴーは成熟・追熟に伴って成分バランスが変わる
果実は成熟していく過程でも
成分構成が変化します。
マンゴーでは成熟・追熟に伴って、
などのバランスが変化します。
そのため、
同じマンゴーでも、
品種・産地・成熟度・保存条件などによって
栄養成分や味わいに違いが生まれます。
甘味が増す。
香りが豊かになる。
黄色〜橙色が鮮やかになる。
こうした変化を
植物の成熟に伴う成分変化
として見ると、
マンゴーという果実をさらに深く理解できます。
グレープフルーツ|ビタミンCと柑橘フラボノイド
グレープフルーツも、
ビタミンCを含む代表的な柑橘類です。
さらに、
柑橘類を知るうえで重要なのが
フラボノイドです。
グレープフルーツを代表する成分のひとつが、
ナリンギンです。
ナリンギンはフラバノン系の成分で、
グレープフルーツ特有の
ほろ苦さにも関係します。
グレープフルーツの味は、
- 糖による甘味
- クエン酸などによる酸味
- フラボノイドなどによる苦味
- 揮発性化合物による香り
が組み合わさってつくられています。
甘い・酸っぱい・苦い・香る。
その一つひとつに、果実を構成する成分が関わっています。
白肉と赤肉|ピンク系ではリコピンにも注目
グレープフルーツには、
白〜淡黄色の果肉を持つものと、
ピンク〜赤色の果肉を持つものがあります。
赤肉系の色に関わる代表的な色素のひとつが、
リコピンです。
リコピンは
カロテノイドの一種で、
トマトの赤色でもよく知られています。
そのためグレープフルーツは、
柑橘フラボノイドや有機酸に加えて、
品種によってはカロテノイドという視点からも楽しめる果物
です。
「ビタミンP」はフラボノイド研究の歴史に残る呼び名
古い栄養資料やサプリメントの説明では、
「ビタミンP」
という名称を見ることがあります。
これは、
柑橘類などに含まれるフラボノイド類に関連して
歴史的に使われてきた呼び名です。
現在は、
- ヘスペリジン
- ナリンギン
- ルチン
- その他のフラボノイド
など、
それぞれの化合物として研究されています。
フラボノイドをひとまとめに扱っていた時代から、
個々の化合物を詳しく調べる時代へ。
「ビタミンP」という言葉は、
栄養学や植物成分研究の歴史を知るうえで
興味深い呼称といえます。
グレープフルーツと医薬品|食品成分が薬物代謝に関わる例
グレープフルーツには、
栄養成分とは別に
知っておきたい重要な特徴があります。
それが、
一部の医薬品との相互作用です。
グレープフルーツには、
- ベルガモチン
- 6',7'-ジヒドロキシベルガモチン
などの
フラノクマリン類が存在します。
これらは、
小腸に存在する薬物代謝酵素
CYP3A4などに影響し、
一部の薬では
体内へ入る薬の量を変化させることがあります。
また、
薬の輸送に関係するトランスポーターへの影響が
研究されている医薬品もあります。
グレープフルーツと薬について
グレープフルーツとの相互作用は、
薬の種類によって異なります。
医薬品の説明書にグレープフルーツについて記載がある場合は、
その案内をご確認ください。
不明な場合は、医師・薬剤師へ確認するのが確実です。
グレープフルーツは、
ビタミンC、フラボノイド、色素、香気成分、
そして医薬品との相互作用まで学べる、
成分科学として非常に興味深い果物
です。
8. ビタミンC研究|ヒトではどこまで調べられている?
ビタミンCは、
さまざまな健康テーマについて
長年研究されてきた栄養素です。
研究を見るときは、
ビタミンCの生理的役割
↓
基礎研究
↓
ヒトを対象とした研究
↓
対象者・量・期間・評価項目
という順番で整理すると、
「どこまで分かっているのか」が見えやすくなります。
風邪に関する研究|発症率と期間を分けて見る
ビタミンCと風邪は、
長年研究されてきた代表的なテーマです。
複数の臨床試験をまとめた解析では、
一般的な生活を送る人が
ビタミンCを日常的に摂取した場合、
風邪の発症率には全体として大きな差が示されていません。
一方、
継続的にビタミンCを摂取していた人では、
風邪にかかった場合の期間について
平均的に短い方向の結果が報告されています。
代表的なレビューでは、
期間の平均差として、
が報告されています。
また、
マラソンランナー、スキーヤー、
寒冷環境で活動する兵士など、
非常に強い身体的負荷や寒冷環境にさらされる集団
では、
一般集団とは異なる傾向を示した研究もあります。
ここで重要なのは、
誰を対象にした研究なのか。
普段から摂っていたのか。
どのくらい摂ったのか。
発症率・期間・症状のどれを評価したのか。
まで確認することです。
肌|コラーゲン形成という基礎から見る
ビタミンCが
正常なコラーゲン形成に必要な栄養素
であることは、
代表的な生理的役割です。
皮膚にもコラーゲンが存在するため、
ビタミンCと美容が結びつけて語られる背景のひとつは
この働きにあります。
ヒト研究を読むときは、
- もともとの栄養状態
- 普段のビタミンC摂取量
- 追加された摂取量
- 研究期間
- 測定した肌指標
などを見ることで、
研究結果をより正確に理解できます。
食べるビタミンCと化粧品のビタミンC
美容分野では、
ビタミンCを配合した化粧品も広く利用されています。
食品から摂ったビタミンCは、
消化管から吸収され、
血液を通じて体内の組織へ運ばれます。
一方、
化粧品では、
アスコルビン酸や各種ビタミンC誘導体を
肌へ使用する化粧品成分として配合します。
化粧品では、
などが、
製品特性を考える重要なポイントになります。
食品・サプリメント・化粧品では、
同じビタミンCという名前でも、
利用される形や使用方法、評価方法が異なります。
ストレス|「酸化ストレス」と心理的ストレスを整理する
研究で使われる
酸化ストレスとは、
活性酸素種の生成と、
それを処理する抗酸化システムとのバランスに関係する
生化学的な概念です。
仕事、人間関係、生活環境などによる
心理的ストレスは、
また別の視点から評価されます。
ビタミンCは、
体内の抗酸化ネットワークに関わります。
一方、
温かいハーブティーを飲む時間や
香りを楽しむ習慣には、
食事とは別の生活上の楽しみがあります。
栄養素としての働きと、
生活習慣として感じる心地よさを分けて考える
ことで、
情報を整理しやすくなります。
口内炎・疲労・飲酒後の体調などを見るときの考え方
| テーマ |
ビタミンCとの関係を見るポイント |
| 口内炎 |
ビタミンCは正常なコラーゲン形成や結合組織の維持に必要な栄養素です。
口内炎には物理的刺激、感染、鉄・葉酸・ビタミンB群などの栄養状態を含め、さまざまな要因があります。
繰り返す場合や長く続く場合は、原因を確認することが大切です。
|
| 疲労 |
ビタミンCの著しい不足では倦怠感などがみられることがあります。
日常の疲労は、睡眠、食事、活動量、心理状態、体調などを含む複数の要因から考えます。
|
| 飲酒後の体調 |
アルコールは複数の酵素系によって代謝されます。
飲酒後の状態には、飲酒量、水分、食事、睡眠なども関係します。
|
| 肌 |
ビタミンCは正常なコラーゲン形成に必要です。
肌を対象とした研究では、対象者、摂取量、期間、評価指標などを確認して読みます。
|
こうしたテーマも、
対象者、摂取量、期間、評価項目など
それぞれの研究条件を確認しながら読む
ことが大切です。
9. ローズヒップオイル|果実のビタミンCとは別に見る植物オイルの魅力
ここで再び、
ローズヒップへ戻ります。
今度は、
果実やハーブティーではなく
ローズヒップオイルです。
この違いを知ると、
第1章から登場してきた
水溶性と脂溶性
という考え方が、とても分かりやすくなります。
果実とオイルでは注目する成分が変わる
ローズヒップ果実では、
ビタミンCをはじめ、
ポリフェノール、有機酸、カロテノイドなど
果実全体の成分に注目できます。
一方、
ローズヒップオイルでは、
油に存在する成分が中心になります。
- リノール酸
- α-リノレン酸
- オレイン酸
- トコフェロール類
- カロテノイド
- 植物ステロールなど
果実とオイルでは、
同じローズヒップでも成分を見る視点が変わる
ということです。
リノール酸とα-リノレン酸|ローズヒップオイルを特徴づける脂肪酸
ローズヒップ種子油では、
不飽和脂肪酸が多く含まれることが報告されています。
特に、
-
リノール酸 ― オメガ6系脂肪酸
-
α-リノレン酸 ― オメガ3系脂肪酸
-
オレイン酸 ― オメガ9系脂肪酸
などが主要な脂肪酸として分析されています。
脂肪酸の割合は、
- Rosa属植物の種類
- 栽培地域
- 原料の状態
- 抽出方法
- 精製方法
などによって変化します。
ローズヒップオイルは、
多価不飽和脂肪酸を特徴的に含む植物油
として理解すると分かりやすいでしょう。
「ローズヒップオイル」でも原料部分や製法は製品ごとに違う
ローズヒップオイルという名称でも、
製品によって原料部分や製法に違いがあります。
たとえば、
- 種子を主体にしたオイル
- 果実由来部分を含む原料を利用したもの
- 圧搾によって得られるもの
- 溶媒抽出を利用したもの
- 超臨界CO2抽出を利用したもの
- 精製工程を経たもの
などがあります。
こうした条件によって、
脂肪酸、色素、香り、トコフェロールなどの組成にも違い
が生まれます。
ローズヒップオイルを見るときは、
植物名に加えて、
原料部分や抽出方法まで確認すると
製品の個性がより分かりやすくなります。
ビタミンという視点では「トコフェロール類」
ローズヒップオイルを
ビタミンという視点から見ると、
トコフェロール類が興味深い成分です。
トコフェロールは、
ビタミンEを構成する化合物群です。
さらにローズヒップ種子油では、
カロテノイドや植物ステロールなども研究されています。
果実 → ビタミンCなどの水溶性成分にも注目
オイル → 脂肪酸・トコフェロール・カロテノイドなどの脂溶性成分に注目
という違いが見えてきます。
植物油としてのローズヒップオイル
植物油は、
肌表面や角質層になじむ
エモリエント成分として
化粧品に利用されています。
ローズヒップオイルも、
植物オイルとして、
- 肌をなめらかに整える
- 乾燥を防ぐ
- 肌を柔らかく保つ
- 油分を補い、うるおいを保ちやすい状態へ整える
といったスキンケアに利用されています。
ローズヒップオイルの特徴は、
植物油として含まれる脂肪酸や脂溶性成分から見る
と分かりやすくなります。
ローズヒップオイルとビタミンA関連成分を整理する
ローズヒップオイルは、
ビタミンA関連の話題と一緒に紹介されることがあります。
医薬品として用いられる
トレチノイン(all-trans-retinoic acid)は、
明確な化学構造と医薬品としての位置づけを持つ物質です。
ローズヒップオイルについては、
脂肪酸、トコフェロール類、カロテノイド、
植物ステロールなど、
植物油として実際に分析されている成分
を中心に見ることで、
その特徴をより正確に捉えることができます。
多価不飽和脂肪酸と保存方法
リノール酸やα-リノレン酸などの
多価不飽和脂肪酸は、
酸素、光、温度などの影響を受けます。
そのため、
ローズヒップオイルを含む植物油は、
- 直射日光を避ける
- 高温を避ける
- 使用後は容器をきちんと閉める
- 製品に記載された保存方法を守る
- 開封後は適切な期間内に使用する
といった扱いが大切です。
肌へ初めて使用する場合は、
少量から使用し、
自分の肌との相性を確認しながら使用するとよいでしょう。
10. 毎日に取り入れるビタミンC|食品・ティー・サプリメントの考え方とまとめ
ここまで見てきたように、
ビタミンCは
さまざまな食品から日常的に摂ることができる栄養素です。
いろいろな食品を組み合わせる
日本人の食事摂取基準では、
成人のビタミンC推奨量は
1日100mgです。
ビタミンCは、
- キウイフルーツ
- いちご
- 柑橘類
- パプリカ
- ブロッコリー
- いも類
など、
さまざまな食品に含まれています。
いろいろな果物や野菜を組み合わせて、
毎日の食生活の中で継続して摂る
という考え方が取り入れやすいでしょう。
「ビタミンC+α」で植物を見る
この記事で取り上げた植物を振り返ると、
-
ローズヒップ ― ビタミンC、カロテノイド、ポリフェノール、有機酸など
-
ハイビスカス ― アントシアニン、ハイビスカス酸などの有機酸、ビタミンC
-
キウイフルーツ ― ビタミンC、食物繊維、カリウム、葉酸、ビタミンE、アクチニジン
-
ベリー類 ― ビタミンC、アントシアニン、エラグ酸など種類ごとに異なるポリフェノール
-
マンゴー ― ビタミンC、カロテノイド、葉酸、ビタミンEなど
-
グレープフルーツ ― ビタミンC、ナリンギンなどのフラボノイド、有機酸、赤肉種ではリコピン
と、
それぞれに違った個性があります。
自然の食品には、
複数の栄養成分や植物成分が一緒に存在しています。
フルーツティーでは「原料」と「一杯のティー」を分けて見る
ローズヒップ、ハイビスカス、
ベリー、マンゴーなどは、
フルーツティーやハーブティーの素材としても利用されています。
ティーでは、
乾燥・保存・抽出という工程を経るため、
生の果物とは成分量や成分構成が変化します。
ビタミンC量を正確に知りたい場合は、
生果実の成分表ではなく、
抽出後の飲料そのものを分析した値
を見るのが確実です。
一方、
フルーツティーには、
- 果実やハーブの香り
- 植物由来の色
- 自然な酸味
- 複数素材を組み合わせた味わい
という楽しみがあります。
サプリメントでは「配合量」と全体の処方を見る
サプリメントには、
ビタミンC単独の製品に加えて、
複数の栄養成分を組み合わせた製品もあります。
選ぶときは、
- 1回あたりのビタミンC量
- 一日の目安量
- 一緒に配合されている成分
- 他のサプリメントとの成分重複
- 普段の食生活
まで見ると、
その製品の位置づけが分かりやすくなります。
ビタミンCを知ると、植物の見え方が変わる
今回、
ビタミンCというひとつの栄養素から出発しました。
そこから、
人間が食事から摂る理由。
コラーゲン形成を支える仕組み。
鉄との組み合わせ。
吸収・再吸収・排泄。
熱・水・酸素・保存との関係。
へと話が広がりました。
さらに植物へ目を向けると、
色素、有機酸、酵素、ポリフェノールなど、
ビタミンC以外にも多彩な成分が共存している
ことが見えてきます。
そして、
ローズヒップ果実から
ローズヒップオイルへ視点を移すと、
水溶性成分の世界から、
脂肪酸・トコフェロール・カロテノイドなど
脂溶性成分の世界へ。
同じ植物でも、
どの部分をどのような方法で利用するかによって、
注目する成分が変わります。
「この食品にはビタミンCがどれくらい入っている?」
から
「この植物には、どんな成分が組み合わさっている?」
へ。
この視点を持つと、
ビタミンCは栄養学だけでなく、
植物科学、食品、ハーブティー、美容、
そして成分そのものを理解する入口
になります。
ご覧いただく際のポイント
本記事は、
ビタミンC、食品成分、植物素材および関連研究について
一般的な情報を紹介することを目的としています。
疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。
研究で使用されたビタミンCの量、形態、
対象者、期間、評価項目などは研究ごとに異なります。
研究結果は、それぞれの研究条件に沿ってご覧ください。
食品から通常摂取する量と、
研究やサプリメントで用いられる量が異なる場合もあります。
サプリメントなどを利用して体調に異変を感じた場合は、
使用を中止してください。
妊娠・授乳中の方、治療中の方、
薬を継続して服用している方などは、
必要に応じて医師・薬剤師などへご相談ください。
グレープフルーツは、
一部の医薬品との相互作用が知られています。
薬を服用している方は、
医薬品の説明書や医師・薬剤師からの案内をご確認ください。
ローズヒップ果実の栄養成分と、
ローズヒップオイルの植物油・化粧品素材としての特徴は、
それぞれの性質に沿って紹介しています。
参考文献・資料
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