健康診断や家庭で血圧を測ったとき、
「上が高い」「下が高い」「130や140という数字はどう見ればいい?」
と気になったことはありませんか?
血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力を数値で表したものです。
高血圧はとても身近な健康問題であり、自覚症状がほとんどないことも多いため、
自分の普段の血圧を知り、日々の変化を確認すること
が大切です。
今回は、血圧の「上」と「下」の意味、正常血圧から高血圧までの基準、家庭血圧の測り方、減塩やDASH食、運動などの生活習慣まで、血圧について知っておきたい基本をまとめて解説します。
高血圧とは?「上」と「下」・正常値と基準を知ろう
血圧を測ると、
「120/70mmHg」
のように2つの数字が表示されます。
この2つには、それぞれ意味があります。
-
上の血圧(収縮期血圧):心臓が収縮して血液を送り出したときの血圧
-
下の血圧(拡張期血圧):心臓が拡張して次の血液を受け入れているときの血圧
血圧を見るときは、
収縮期血圧と拡張期血圧の両方を確認する
ことが基本です。
高血圧の基準は140/90mmHg以上
日本では、診察室で測定した血圧について、
- 上の血圧が140mmHg以上
- 下の血圧が90mmHg以上
のどちらか、または両方に当てはまる場合が高血圧の診断基準です。
家庭で測定する場合は診察室より基準が少し低く、
家庭血圧135/85mmHg以上
が高血圧の基準になります。
実際の診断では、1回だけの測定値ではなく、複数回の血圧や家庭血圧なども含めて判断されます。
正常血圧・高値血圧・高血圧を一覧で確認
血圧は「正常」か「高血圧」かの2つだけではなく、数値によって段階的に分類されています。
| 分類 |
診察室血圧 |
家庭血圧 |
| 正常血圧 |
120未満 かつ 80未満 |
115未満 かつ 75未満 |
| 正常高値血圧 |
120~129 かつ 80未満 |
115~124 かつ 75未満 |
| 高値血圧 |
130~139 または 80~89 |
125~134 または 75~84 |
| I度高血圧 |
140~159 または 90~99 |
135~144 または 85~89 |
| II度高血圧 |
160~179 または 100~109 |
145~159 または 90~99 |
| III度高血圧 |
180以上 または 110以上 |
160以上 または 100以上 |
| (孤立性)収縮期高血圧 |
140以上 かつ 90未満 |
135以上 かつ 85未満 |
例えば診察室血圧が130/80mmHgの場合、高血圧の診断基準である140/90mmHgには達していませんが、「高値血圧」の範囲に入ります。
自分の数字がどの位置にあるのかを知っておくと、毎日の血圧をより理解しやすくなります。
豆知識:「上だけ高い」血圧もある
上の血圧(収縮期血圧)は高い一方で、下の血圧(拡張期血圧)は90mmHg未満という状態は、
「(孤立性)収縮期高血圧」
と呼ばれます。
年齢とともに血管の性質が変化すると、上の血圧を中心に高くなることもあります。
血圧は上と下の両方を見ることで、自分の状態をより詳しく理解できます。
豆知識:「診断基準」と「目標血圧」は別の数字
ここは、とても混同されやすいポイントです。
2025年に日本高血圧学会のガイドラインが改訂され、高血圧の方の降圧目標は原則として
診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満
となりました。
一方、高血圧を診断するときの基準は
診察室140/90mmHg以上、家庭135/85mmHg以上
です。
つまり、
「140/90は高血圧の診断基準」「130/80未満は原則的な降圧目標」
と整理すると分かりやすくなります。
実際の治療目標は、年齢や健康状態、ほかの病気の有無なども考慮しながら、医師が個別に判断します。
なぜ血圧は高くなる?原因と体への影響
血圧は一日中同じ数字ではありません。
運動、緊張、気温、睡眠、食事、飲酒、時間帯などによっても変化します。
そのため、
繰り返し測定して自分の血圧の傾向を見る
ことが大切です。
高血圧にはさまざまな要因が関係する
日本人の高血圧の多くを占める「本態性高血圧」には、複数の要素が関係すると考えられています。
- 加齢
- 遺伝的な体質
- 食塩の摂り過ぎ
- 体重の増加
- 運動不足
- 飲酒
- 喫煙
- 睡眠やストレスなどの生活環境
こうした要素をひとつずつ見直していくことが、日々の血圧管理にもつながります。
また、腎臓やホルモンに関係する病気、睡眠時無呼吸症候群、薬剤など、特定の原因によって血圧が高くなる
二次性高血圧
もあります。
血圧を定期的に確認する意味
高血圧は、自覚症状を感じない状態で経過することも多いのが特徴です。
血圧が高い状態が長期間続くと、血管や心臓などへの負担が積み重なり、脳卒中、心臓病、腎臓病などのリスクと関係します。
だからこそ、
体調だけでなく血圧という数字を定期的に確認する
ことが、自分の状態を知るための大切な方法になります。
家庭血圧が大切な理由と正しい測り方
血圧は病院や健康診断だけでなく、
家庭で継続して測定すること
にも大きな意味があります。
診察室では緊張などによって普段より血圧が高くなる
「白衣高血圧」
がみられることがあります。
反対に、診察室では高くないものの、家庭や日常生活では血圧が高くなる
「仮面高血圧」
というケースもあります。
そのため、日常生活に近い状態で測れる家庭血圧は、
普段の血圧を知るための大切な情報
になります。
家庭で血圧を測る基本
家庭では、できるだけ同じ条件で測定すると変化を比較しやすくなります。
-
朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前・服薬前
-
夜:就寝前
-
椅子に座り、1〜2分ほど安静にしてから測る
-
足を組まず、自然な姿勢で座る
-
腕帯を心臓とほぼ同じ高さにする
-
朝・夜ともに原則2回測定し、測定値を記録する
家庭血圧は、継続して記録することで
自分の普段の血圧や変化の傾向
が分かりやすくなります。
豆知識:血圧は毎回少し変わる
血圧は、数分の違いでも変化することがあります。
昨日との違いや1回目・2回目の違いだけを見るより、
できるだけ同じ条件で測定を続け、全体の傾向を見る
ことがポイントです。
家庭血圧計を選ぶ場合は、一般的には上腕にカフを巻くタイプが家庭での血圧管理に用いられています。
血圧を意識した食事|減塩・カリウム・DASH食
血圧管理では、毎日の食生活も大切なポイントです。
特に意識したいのが、
食塩の量と、食事全体のバランス
です。
まず意識したい「減塩」
日本人の食生活では、しょうゆ、味噌、漬物、麺類の汁、加工食品、惣菜などから食塩を摂る機会が多くあります。
高血圧の方では、
食塩摂取量を1日6g未満
にすることが推奨されています。
令和6年「国民健康・栄養調査」では、日本人の食塩摂取量の平均は
1日9.6g
でした。
この数字は過去12年間で最も低い水準まで減少しています。
健康日本21(第三次)が掲げる平均1日7gという目標に向けて、日々の食事からさらに減塩を意識することができます。
豆知識:食塩小さじ1杯で約6g
一般的な食塩は、
小さじ1杯がおよそ6g
です。
実際の食生活では、料理に直接加える塩だけでなく、しょうゆや味噌、パン、麺類、ハムやソーセージ、加工食品などにも食塩が含まれています。
こうした
「見えない塩分」
も含めて考えることがポイントです。
食品を購入するときに栄養成分表示の
「食塩相当量」
を見る習慣をつけると、毎日の食塩量を意識しやすくなります。
野菜や果物からカリウムを
野菜や果物、豆類、いも類などに多く含まれる
カリウム
は、体内のナトリウムとのバランスに関係するミネラルです。
減塩とともに、野菜や果物を含むさまざまな食品を組み合わせることで、食生活全体のバランスを整えやすくなります。
なお、腎機能が低下している方や、医師からカリウム摂取について指示を受けている方は、その指示に従ってください。
注目される「DASH食」とは?
血圧を意識した食生活として世界的に知られているのが、
DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
です。
DASH食では、野菜や果物、低脂肪の乳製品、魚、豆類、全粒穀物などをバランスよく取り入れます。
こうした食品から、
カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、不飽和脂肪酸
などを幅広く摂ることが特徴です。
ポイントは、特定の食品ひとつに注目するのではなく、
毎日の食事全体の組み合わせを整えていくこと
です。
減塩とともに、野菜、果物、魚、豆類、全粒穀物などを取り入れる食事を意識すると、DASH食の考え方を日常生活にも取り入れやすくなります。
運動・体重・飲酒・睡眠|毎日の生活で意識したいこと
血圧を考えるときには、食事だけでなく日常生活全体を見ることも大切です。
体を動かす習慣をつくる
ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、
無理なく継続できる身体活動
を日常生活へ取り入れることがすすめられています。
例えば、
- いつもより少し長く歩く
- 近い距離なら徒歩で移動する
- 階段を利用する
- 長時間座り続ける時間を減らす
など、毎日の小さな活動から始めることもできます。
適正な体重を意識する
体重の増加、とくに内臓脂肪の増加は血圧とも関係します。
毎日の食事や身体活動とともに、
自分の体重を定期的に確認する
ことも健康管理のひとつです。
飲酒量を意識する
飲酒習慣も血圧と関係します。
お酒を飲む方は、日々の飲酒量や頻度を把握し、
自分の生活の中で飲酒量を意識する
ことが大切です。
禁煙も健康管理の大切なポイント
喫煙は血管や循環器の健康に関係する重要な要素です。
禁煙を選ぶことは、血圧だけでなく、将来の循環器の健康を考えるうえでも大切な生活習慣のひとつです。
睡眠も健康管理の一部
睡眠時間や睡眠の質も、血圧を含む健康状態と関係します。
毎日の起床・就寝リズムを整え、
十分な睡眠時間を確保する
ことも意識してみましょう。
また、大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気などがある場合には、睡眠時無呼吸症候群が関係していることもあります。
食事、運動、体重、飲酒、禁煙、睡眠を別々に考えるより、
毎日の生活全体を少しずつ整えていく
という考え方が取り入れやすいでしょう。
高血圧の治療・受診の目安と毎日の血圧管理
高血圧の管理では、生活習慣を整えることに加えて、必要に応じて医薬品による治療が行われます。
血圧を下げる薬にはさまざまな種類があり、その人の血圧、年齢、腎機能、心臓や血管の状態、ほかの病気の有無などを考慮して選択されます。
治療を受けている方は、医師と相談しながら血圧を記録し、
自分に合った目標に向けて継続して管理する
ことが大切です。
血圧が高い状態が続くときは医療機関へ
診察室で
140/90mmHg以上
の値が続く場合や、家庭で
135/85mmHg以上
の状態が続く場合は、医療機関で相談しましょう。
また、血圧が著しく高く、
胸の痛み、息苦しさ、激しい頭痛、視覚の異常、意識の変化、手足のまひ、言葉が出にくいなどの症状
がある場合には、速やかな医療対応が必要です。
高血圧の健康管理は「測ること」から
高血圧は、自覚症状だけでは気づきにくい健康問題です。
だからこそ、
自分の血圧を知ること、そして継続して測ること
が健康管理の第一歩になります。
今回のポイントをまとめると、
- 上の血圧は収縮期血圧、下の血圧は拡張期血圧
- 診察室140/90mmHg以上が高血圧の診断基準
- 家庭血圧135/85mmHg以上が高血圧の診断基準
- 上の血圧だけが高い「(孤立性)収縮期高血圧」もある
- 診断基準と原則的な降圧目標は意味が異なる
- 家庭では朝・夜に継続して血圧を測る
- 減塩とともに食生活全体のバランスを意識する
- DASH食では野菜・果物・魚・豆類・全粒穀物などを組み合わせる
- 運動・体重・飲酒・禁煙・睡眠も総合的に考える
- 高い血圧が続く場合は医療機関で相談する
血圧は日々変化する数字だからこそ、
一回の数字だけを見るより、自分の普段の血圧とその傾向を知ること
が大切です。
定期的な健康診断と家庭での血圧測定を上手に組み合わせながら、将来の健康のために日頃から血圧を意識してみましょう。
参考情報
-
日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」
-
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「高血圧」
-
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「栄養・食生活と高血圧」
-
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」